序章
小さい頃から変わり者だと、よく言われた。
別に表だって変わった事はしていなかったと思うけれど周囲が言うのならば、そうなのだろうと否定するでもなく納得し適当に聞き流していた。
ただ、そのまま人生や社会を生きるには不便だから喜怒哀楽を上手くコントロールして皆が言う「普通」や「良い人」を演じ支障のない生活を送る事にした。
幸いそれは上手く行き私は周囲に溶け込む事ができた。
特殊な家庭環境や波瀾万丈な人生が役に立ったか中学校後半から高校生時には既に人の心情は大体把握する出来るようになった。
とはいっても、ああこの人はこういう人なんだ、とか。
こういう時は、こう言って欲しいんでしょ、だとか。
こう行動していれば好かれるなとか。
私が解るのはそんな事ばかりで次第に人間自体が嫌になっていった。
人は裏切るから。
人は汚いから。
面倒くさい。
けれど私にだって心はあるし。
情もある。
だから傷つきたくなくて演技を続けた。
けど、限界ってあるよね。
本来の「私」じゃない「私」を演じるは、やはり苦痛で。
ジワジワと私の心を蝕みドス黒い何かで侵食していく。
次第に私の心は磨り減ってボロボロ、ボロボロと崩れていく。
━━━━━ああ、もう限界かな。
そう壊れかけても人間って不思議なもんで何とか持ち直したりしちゃうんだよね。
でも、流石に限界過ぎて何度も何度も繰り返し耐えるのは思考回路をおかしくしていくから。
私は、ついに「壊れてしまった」
それでも日常は変わらない。
「私」は皆それぞれが望む「私」で。
「私」は望まれた「私」を壊れたまま、ただただ演じるのだ。
そうして世界は、人は廻る。
廻っていくのだ。
ああ、けれどいつまで。
「いつまで」
私は、こうして生きていればいいのだろうか。
人間の命に、想いに永遠はない。
だから、いつか限りある私の命も尽きるだろう。
だが、それはいつだ。
いつになったら終わるのか。
それを知らぬがまま私は日々を無駄に過ごしている。
ああ、なんてツマラナイ事か。
「何か、変わった事はないか」
そう毎日、毎日思っていた。
そんな時だった。
「彼」が現れたのは。
マイペースに、ゆっくりながらも書いて完結出来たらと思います。