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この女やることキタナイ

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 三日ほど俺は反抗を警戒され放置された。


 今さら抵抗して脱走したところで、自分の整備はできないし燃料補給もままならない。

 俺的にはミリタリー色の強いものが好みなんだが、心のあるロボットが少年勇者を見守り導いて行くというのも悪くはないし、知性あるコンピュータがパイロットの相棒として信頼関係を築いてゆくというのもアリだろう。

 という話をエディナ様にしたら、


「フーン、初見の印象より分別があるみたいじゃない、後半は何言ってるのかさっぱり分かんないけど」


バカにされた、くそう。


 エディナ様は魂注入型は人格消去が難しい上に性能も安定せず、量産機に積み込むには向かないと結論付けて諦め、人工知能の開発に絞って作業を進めていた。

 そんな矢先、帝国から「研究どないなってんじゃーい!サボってんじゃねーだろーな!」と催促が来てしまった。

 さすがに「全然進んでませーん、最初からやり直してまーす」とは言えず、俺の起動実験データを送ってお茶を濁そうという話になった。


「とりあえず、アンタは開発中の人工知能のフリしてなさいよ!人前で魂注入型だとか異世界人だったとか言ったらダメだからね、言ったら即解体よ!」

「いや、それはいいけどさ、そんなごまかしいつまでも通用しないだろ?絶対すぐバレるだろ?」

「よけいな、おせわだーーー!」


 この人、初見の印象はクールな切れ者お姉さまとか、冷酷無比なマッドサイエンティストみたいな雰囲気出してたのに、最近は割とダメな人だ。


 という訳で、燃料の魔導水を満タンに入れてもらい、演習場でデータ取りが始まった。

 巨大ロボットが体育館感覚で動き回れる空間があるとは、この研究所案外でかいな、エディナ様一人しかいないのに。


 まずは軽くランニング、腕立て伏せ、スクワットで可動範囲の確認と動きの俊敏さの確認をする。

 そして消費した魔導水から燃費の計算、加熱と冷却のバランスのチェックetc。

 巨体にも関わらず、ほぼ人間並みの動作、各種数値類も推定以上の結果が出たということでエディナ様はニヤニヤしてる。

 従来機は熟練のパイロットが動かして今の俺程度の動きしかできないらしい。

 理論上は俺をパイロットが操作し、俺がアシストすることで今の数倍の速さと精度で動け、戦力は数倍に跳ね上がるというのだが、正直ウソくさい。


 そして模擬戦闘。

 模擬とはいえ初の戦闘ということでかなり楽しみにしていた。

 対戦相手はエディナ様の操る第一世代機モスマ。

 人型というより、デフォルメされたような体系はずんぐりむっくりしてて妙に愛嬌がある。

 魔導兵器の中でも初期に開発、量産されたもので、ほぼマニュアル操作で複雑で精度の高い動きができず動作も鈍い。

 現行の動作にコアのアシストが入り細かな部分はオートマ操作になる二世代機とは、かなり性能格差がある。


 銃器は使わず、手斧と小型の盾のみを手に数合打ち合うが、モスマはあっさりと武器をはじき落され決着がつく。


「フフン、やるわね。でも次はそうはいかないよ!アンタと同型のルインでいくんだから!!」


 めっちゃ悔しそうだぞ、無駄にプライド高ぇな。


 そして格納庫から引っ張り出してきたルイン量産機と対峙。

 自分とほぼ同じ姿のモノと相対するのは妙な気分だ…いや、よく見ると手に持っている獲物が違う。


「ちょ、待て、おい!俺は模擬戦用簡易手斧のままなのに、なんでそっちは実戦用のロングソード構えてやがるんだ!?」

「何よ!アンタは今ディフェンディングチャンピオンなのよ!この程度のハンディキャップは認めなさい、器の小さい男!!」

「一勝しかしてねぇよ!そもそも勝ち負け競ってんじゃなくてデータ取りやってんだろうが!」

「負けデータも必要だから!これは必要なことなのよ!!」


 何がエディナ様をそこまで突き動かすんだ…。


 量産型ルインの動きは単調だった。ただまっすぐ突っ込んできて剣を振り回すだけ。

 要するにエディナ様は戦闘に関しては素人だった。


 俺も訓練を受けていたわけではないが、3D対戦ゲームである程度ロボット戦の動きや呼吸、駆け引きといものに通じている。その経験が生かされたのか、さっくりやって3戦3勝。

 エディナ様が泣き出したのでここで切り上げることになった。

 揃ったデータを帝国へ送り報告は完了しましたとさ。


「さて、これでしばらく時間が稼げるわ、あんたの思考パターンデータを利用して、人工知能の高度化効率化も進んだし、予定より少し時間オーバーするだけで完成できそうよ。アンタ私のために役に立てたんだから無意味な失敗作じゃなかったわよ、おめでとう」

 

 あれ以降、模擬戦で一度も勝てなかったのがよほど悔しいのか、言い方が一々トゲトゲしい。


「ありがとう、エディナ様の涙も無駄じゃなかったな」


 ばしばしばし


「忘れろ忘れろわーすーれーろぉぉぉーーーー!!」


 送ったデータは疑われることもなく、帝国上層部は上手い具合に騙された。

 それだけでなく更に開発が進むようにと、エディナ様の図々しい追加物資の要求にも応えてきたのだ。


「ヒッャハー、ちょろい、ちょろすぎるぜー!到着が楽しみ楽しみぃ」

「いや、いくらなんでも酒とツマミまで頼んじゃいかんでしょ」

「アンタ何言ってんの、私が開発を進めるために必要な物よ。それに模擬戦のデータから出てきたアンタに必要なパーツも取り寄せてるんだから、むしろ感謝しなさいよ」

「なんだと!?初耳だ」

「そりゃそうよ、始めて言ったもの。いい?アンタ量産型よりはるかに高い運動性を発揮する予定なの。今のままじゃ機体の強度が足りないってわけ。最初は開発が済んだら廃棄するつもりだったからほっといたんだけど、まだ利用価値がありそうだしね。追加物資が届いたら関節を中心に負担のかかりそうなところ強化してあげる」


 今、さらっと聞き捨てならんことを聞いたような気がしたが、深く突っ込むのは怖いので止めておこう。


 そして約束の追加物資が到着する日が来たのだが。


「うん、これよこれ!これを待っていたのよ!宴だわ、お姉さんの宴が始まるぅ」


 追加物資を搬入した後まだ数名作業服を着たガタイのいい男達と妙にキッチリした服を着た女の子が一人居残っている。

 そういやこの世界に来てから、エディナ様意外の人間を見るのは初めてだ。

 とりあえず普通のロボットのフリをして待機。

 残った人員は敬礼をして自己紹介を始める。


「エディナ博士、お目に書かれて光栄です!自分達は帝国技術士官であります。この度は博士の開発のサポート及び、帝国軍正規配備後の取り扱いをご教授いただくために馳せ参じました」

「あらそう、それはご苦労なことね。役に立ってもらうわよ」


 そして男たちは順次名前と階級を述べてゆく。


 そして最後に一人、ショートヘアーの愛嬌のある顔をした若い女の子。

 これはもしや帝国軍の制服だろうか?ミニスカニーソとは趣味が良すぎるぞ。


「自分は帝国軍所属エリサ・サニー少尉ッス!この度は試験機ルイン・リミテッドのテストパイロットを勤めさせていただくことになりましたッス!よろしくお願いしますッス!」

「な、なんだってー!初耳だ!」

 

 思わず声を上げてしまったーーー!


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