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遺跡に潜るということ


 ゆっくりと覚醒する。目を開くとまだ暗かった。


 窓の方に目をやるも朝日は見えず、どうやら少し早い時間に目が覚めたらしい。


 会社に勤めていた頃なら二度寝の喜びに幸せを感じていたのだが、今の体は一度覚醒すると二度寝が困難なものになっているので、ゴロゴロしていると逆に体調が悪くなりそうだ。


 じゃ、起きるか。


 体を起こして伸びを一つ。しかしまだ朝も早い時間のためやることがない。朝食を取ろうと思えばアイテムボックスから取れるが、ここは宿屋、朝食は出てくる。勿体無い精神を強く持つのが小心者。


 ベッドに腰掛けボケッと虚空を見上げる。テレビもネットもないと本当にやることないな異世界。


 そこで閃き。


 一応、毎日の習慣になりつつある事柄があるじゃない。どうやらまだ寝ぼけていたようだ。


 というわけで、恒例となってきた魔力放出を今朝も執り行おう。寝る前と朝起きた時はいつもやってる。寝る前はグッスリ寝れるから。朝起きた時は仕事の前って感じがするから。


 灰色犬がいた時は灰色犬に回復魔法を掛けて、ハンナちゃんが家を貸してくれていた時は森で火と戯れていたが、室内で火魔法を使うとドワーフにどやされる事を学習した俺は、回復魔法を選択する事にした。


 対象が居なくても回復魔法って発動するんだろうか? 最近Lv3に進化した俺の回復魔法。解毒もばっちこい。


 まあ、とりあえずやってみる。これ大事。


 両手を突き出しポージング。掛け声は無しで。みんな寝てる。


 全力全開。ヒーリング。


 頭の中で呪文を唱えると同時に体の中の力がものすごいスピードで吸い上げられていく。かつてない速さだ。最近は魔力がついてきてたせいか消費に時間が掛かっていたため常に炎球を複数浮かべるなんてやっていたが……これはどしたん?


 回復魔法の対象がないことと関係あるのか目減りする魔力とは対照的にエフェクトなしを実現。俺のスキルみたい。


 あっという間に底をつくMP。襲い来る倦怠感。


 さあ、今日も働くぞ。


 枕とベッドの誘惑を強く感じる月曜日の朝現象を振り払い立ち上がる。タイミングよく窓の隙間から朝日が差し込んできた。


 ダルい体に眩しい朝日。正に労働だね。


 朝食がいつから出てくるかは分からないが、とりあえず食堂で待てばいいだろう。今日の仕事は遺跡に行って石拾い。スーツ(大剣)を手に入れるために頑張ろう。


 特に荷物もないので鍵を掛け一階に。昨日夕食を取った食堂の端の方のテーブルに腰掛け食事を待つ。


 待つこと三十分。


 眠そうな顔を引きずってカディさんが出てきた。そのまま俺に気づく事なくカウンターへ行くと帳簿を開く。


「おはようございます」


「うわっ、……なんだびっくりするじゃないか。あんたかい」


 ビクッと軽く体を震わせてこちらを見つけるカディさん。


「はい、おはようさん。全く……脅かすのとかやめとくれよ? で、なんでまた朝っぱらからそんなとこ座ってんだい?」


 え、脅かす気はまるで無かったんですけど……。軽く頭を下げて謝罪しつつ理由をご説明。


「ベッドの寝心地が良かったせいか、なんか目覚めが良くてですね………。もう一度寝るに寝れなかったので少し早いかな、と思ったんですが朝食が出るまで下で待ってようかと」


「あら、嬉しいこと言ってくれるねぇ。うちの宿は寝心地良かったかい? なら外でも喧伝しとくれよ。まあ、かく言うあたいも、今日はなーんか疲れがとれてサッパリしてんだけどね。そのくせ妙に眠気が強かったせいで寝坊するとこだったよ。朝食は朝の鐘が鳴ってから三時間以内だよ。あと三十分ってとこかね」


 そう言うと奥に一旦引っ込んで、コップを持って再登場するカディさん。


「これでも飲んで待ってな」


 俺の前に置かれたコップにはレモンの薄切りのような物が浮かんでいた。レモン水かな? 一口。レモン水だな。


 レモン水を飲みながら更に待つこと三十分。


「はいよ。おまっとさん」


 朝の鐘が鳴ると同時に、カディさんが両手に料理を持って現れる。


 テーブルにパンやらスープやらなにかの唐揚げやらが並べられる。


 ……朝からボリューム満点だな。


「ふふん、驚いたかい? うちは朝飯の多さが売りだからね。冒険者連中に好評なのも分かるだろ? んじゃ、ごゆっくり」


 あの、僕も冒険者なんですが……。


 曖昧に微笑みつつパンを千切る。食べきれるかな……。


 朝食に取りかかった俺の目が、ふと宿屋の入り口でフラフラとこちらを覗く人影を捉える。


 昨日道案内してくれた少年だ。


 おう、早いな。もう来てくれたのか。


 遺跡の場所も取ってくる鉱石もよく分からないと、ドワーフの鍛冶屋を出た後で気づいた俺に、


「俺、分かるよ。案内したらまた駄賃くれるかい?」


 と笑顔で交渉してきたのだ。


 俺はこれを承諾。なんせ少年には実績がある。座り込みの爺と並ぶ信頼度だ。


 というわけで、ここに異世界に来て以来、初のパーティー結成。


 オッサンと少年。平均年齢的には周りのパーティーと大差ないと思う。


 そんな少年は鐘が鳴ると同時に宿屋に俺を迎えにくる程やる気ばっちり。俺の見る目のあること。面接で三日で勝手に辞める正社員を採用する試験管に見習わせたいくらいだぜ。一日目が見学だから実質一日しか働いてないのに出てこないんだよ。電話したら何回かかけなきゃ繋がらない上に、繋がっても「もう辞めるんで」の一点張り。せめて書類は書いて辞めてくれよ。


 俺が過去の出来事にダメージを受けている間、少年は所在なさげにこちらをチラチラ。まるで身の置き所がないと言わんばかり。


 …………ん、どした? 入ってきなよ?


 俺が食事を終えるまで待たせるわけにもいかず、少年を呼び寄せようと手招き。出来れば手伝ってくれると嬉しい。


 少年はそれに躊躇するも恐る恐る足を踏み入れてくる。


「ちょっと!」


 そこにカディさんが一喝。


 足早に奥から出てくると少年の首根っこを掴む。


 俺、汗がブワァ。


「店ん中入ってくるなんていい度胸だね! 食いもんが欲しけりゃ裏からだろ。ルールが守れない子にゃあたいは厳しいよ!」


「違います違います! すいませんカディさん俺です俺が呼び入れたんです! 俺が仕事を頼んだ子でして!」


「……あぁ? 仕事ね……」


 カディさんは少年を捕まえたまま、嫌悪感を満載にした表情で冷え切った視線を俺に向けてくる。


 あれ、なんかデスフラグ立てたっけ? 地雷踏んだ感がすげー。


「うちの宿をそんなことに使われるのは御免だね。大体朝っぱらから……」


「ち、ちげーよ! 俺はおっちゃんの案内役だ! 通り一つ向こうの建物も分かんねーおっちゃんの、道案内する約束できたんだよ!」


 殺してくれ。出来るだけ無惨に。


 瞳から光彩の消えた俺の目が捉えたのは、冷たい視線ではなくなったが、残念な人を見る目に切り替わったカディさんの瞳だった。そうですね。地図書こうか? って言うのを、もう覚えたんで。ってクールぶって断った奴の所行じゃないっスよね。


「……ほんとだろうね?」


「え、ええまあ」


「嘘じゃねーよ! 昨日だってドワーフのいる鍛冶屋に連れてったんだ。ドワーフに聞けよ、嘘じゃないって分かるから」


 いや、今の発言で充分分かったと思うよ。だからもう止めて。


 カディさんは完全に呆れ顔で少年から手を離すと、哀れな生物を見る目で俺を見てくる。俺なんて溶けて消えればいいのに。


「一応、あんたを信用するけど、スラムの子を店に入れる時は、入れた奴の責任になるからね。気をつけな。あと! 本当にうちの宿でスラムの子を買っているとこを見つけたら、ボコボコにして追ん出すからね!」


 ……あれ? この上ショタに思われてない? 心外だぞ。いくらなんでも言わせてもらおう。


「はい、分かりました。以後気をつけます」


 叱られたら謝るのが社会人。ああ、この条件反射がなければビシッと言ってやったのに。俺がプロの社会人なばかりに。


 カディさんが「紛らしい」とブツブツ呟きながら奥に戻っていくのと同時に少年がバツの悪そうな顔で近寄ってくる。


 相変わらず黒髪はボサボサで黒に近い茶色の瞳は気遣わしげにチラチラと俺を見てくる。服も昨日と同じボロボロの半袖半パンだ。


 …………いや、気にするな。どう考えても俺が迂闊だった。だが俺は気にしてない。ああ気にしてない。気にしてないとも。……男色だと?…………。


 俺が少年を席に座ったら? と促すと、少年は不思議な者を見るように俺を見てくる。


 え、なんだろ。


 しかし俺が尋ねる前に少年は素直に席に座る。少年が隣に座ったのを確認して料理の皿を少年の前に追いやる。


「良かったら食べなー」


 たぶん残ると思うしね。


 俺の発言に少年が驚いた表情になったので、


「え、なに、朝飯食べてきた系?」


 と、ちょっと心配になる。いや、無理に食わせてるわけじゃないよ? 思わず視線がアチコチ。


「…………いや、食べてない。食べたい…………食べて、いいの?」


「お、おう食え食え。全部いけ。どしこん食いされ」


 おずおずと手を伸ばす少年。しかし一口目を口にすると、後は勢いがついたのかガツガツいく。途中、喉が詰まったのかグッとなってたので背中を叩いてまだ手をつけてなかった二杯目のレモン水を勧める。


 あーあー、慌てて食うから。


 レモン水を飲みながら俺をマジマジと見る少年。なんだ異世界マナー。食べてる時に人の顔を凝視するとかあるの?


 と、首を傾げると、少年の目からボロボロと涙が零れ落ち始める。


「ぉおうっ!? どどどした? 嫌いなもんでもあったか? 無理すんな? 残しても大丈夫だから? なんだ? ごめんな? とくかくごめんな」


「………う、ううん。だい、大丈夫。…………食べるよ……ちが、違うん、だ……なんか」


 なになに? なにが?


 しかし少年は続きを話すことなく再び食べ始め、俺は世間の目を気にしてキョロキョロ。今日は寝坊が多いのか食堂が閑散としていたのが助かった。どう見ても子供に無理やり食べさす大人にしか見えない。小学校の頃、給食に食べれないものが出てきて昼休みずっと向き合わされたことあったなぁ。思わず謝っちゃったよ。


 少年が全部食べ終わるのを待ち、宿屋を出た。じゃあ、今日もお仕事頑張りますか。










 少年に案内されて向かった遺跡の入り口とやらは、なんと街の中にあった。


 観光名所なんだろうか?


 遺跡とやらは俺の想像と違い地下に延びているらしく、どこまで続いているのかは分からないそうだ。


 なんだそれ。迷うじゃん。


「あのドワーフのおっちゃんが言ってたカンテ鉱って石は、十階辺りで採れるってさ」


 入り口には衛兵が関所を設けて中に入る人が行列を織りなしていたので、並んで待っている間、少年がアチコチの冒険者から話を聞いてくるというコミュニケーション能力を発揮。


 なんてことだ。俺はこれを見越して子供を雇ったということか……。きっと深層意識といわれる脳の深いところでは何手も先を見越しているに違いない。……これも新しい体の特性か……いや、俺の眠れる才能が異世界にて開花された可能性がないだろうか? あり得る。きっとパソコンを扱う世界では発揮されない特殊なものが、異世界という危機的状況が直ぐ隣に存在する異常な環境のせいで、敏感を宗とする俺の精神感応があれこれ。


「……おっちゃん、大丈夫か? 怖じ気づいちまったのか?」


 異世界トリップしてきた俺のトリップを不安そうな声でストップする少年。


 トラップだ。違った。妄想だ。


 現実へと戻ってきた俺に待っていた異世界ファンタジー。潜るぜ遺跡。採るぜカンテ鉱石。


 いい仕事してくれた少年に報酬を渡す。えーと、道案内、情報収集、やる気がプライスレス。銅貨を三十枚ほど呼び出して少年に渡す。


「……あ、ちがっ、……おっ」


 両手を受け皿に報酬を受け取った少年がオタオタと何か言いたそうにしていたが、残念。順番が来たので衛兵の人に対応だ。少年は並んでいなかったので列から離れていく。


「身分証もしくは許可証の提出を」


「あ、はい」


 ギルドカードを手渡す。許可証? え、いけるよね?


 ドキドキしながらギルドカードを確かめる衛兵を見つめる。


 ギルドカードを返してくる時、衛兵が俺を上から下までお確かめ。


「……んー、たまーにお前みたいな奴が挑戦するんだが、一階層じゃ碌なもんはないぞ? それにどんな傷を負おうとも自己責任だ。低階層だからって油断してると絶対怪我する。悪いことは言わんから止めとけ」


 どうやら心配してくれてる? 異世界にいる人って人情味がすげー。危険度やばい人もすげーけどね。異世界極端。


 全俺内でいい人に分類された衛兵の人に心配を掛けないように丈夫さをアピールだ。やはり工事現場をウロウロぐらいの危険度はある模様。


「(薬草を採集する)腕には少々自信がありまして……心配して下さるのはありがたいのですが、散歩みたいなものですよ」


 ニッコリと安心させるように衛兵さんに笑い掛けるが、笑い声は俺の背後から聞こえてきた。


 なんだ? 誰かすげー冗談でもかましたか? なにそれ俺にも教えて。掴みのために知っておきたい。


 振り返ると二十代後半ぐらいの、俺の次に並んでいたオジサン(年下)冒険者グループが嘲るようにこちらを見ていた。


「へっへっへっへ、そうだよなー? 遺跡に潜るのなんて散歩みてーなもんだよな? もしてめーが中で助けを求めてようが無視してもいいってこった。きっと冗談で叫んでんだろ? なんせ散歩中だ。うはははははっ!」


 先頭に並んでいる兜装備が信じていない口調でそう言うと周りの仲間がそれに合わせて笑い出す。


 俺には分かる。これは……オヤジギャグだな? しかも仲間内でしか通じない系。あーあー、そういうのは周りに人がいない個室とかでかますもんなのに。見ろ、衛兵さんはまだ二十歳なったばかりぐらいだから顔をしかめてるじゃないか。俺なんて部屋で一人の時にしか言わないぞ? 一頻り笑った後の胸に去来する虚無感との落差が嫌で、月一ぐらいに留めている。


「そうですね。散歩がてら十階まで行こうと思います」


「……ああ? なんだてめぇ、ナメてんのか?」


 おおぅ……。人間関係を円滑にしようと分からないなりに話に乗って笑顔でお返事したのに、めっちゃ睨まれた。目が合ったら絡む不良がごとく。


「おい! 揉めるなら通行は許可しないぞ! ……あんたはオーケーだ。早く行くといい。だが無理はするな、危険を感じたら引き返せよ?」


 正に絡まれんとしたところで衛兵さんが一喝。マジいい人。


 さて、じゃあ昼飯までに帰るようにしようかね。


 俺を睨みつける冒険者の視線を背に、俺は遺跡に足を踏み入れた。










 まずは炎球を浮かべて灯りを確保だ。


 生まれ出でろ蛍火! なんつって。


 いつもの轟々と燃え盛る直径三十センチの赤い炎球ではなく、直径一センチの淡い白い光を無数に生み出し光源を確保する。森で火と戯れてたらあわや火事になりそうになったため編み出した技だ。マジ焦ったよ。空間振動で火をターゲッティングしたら消えたんだけどね、思わず気体にもいけるんかい! って突っ込んじゃったよ。


 とまれこれなら歴史的建造物を焼くこともあるまい。


 明るくなった通路は、意外と整備されていた。


 さすが遺跡。


 灰色犬に案内された洞窟みたいなものかも、と思っていたが、石畳が長々と続き壁も綺麗に均されている。


 インディがジョーンズしそうなクリスタル。ちょっとワクワクしてきたよ異世界。いい仕事したなファンタジー。


 男なら遺跡に潜ってお宝奪取にワクテカしない訳がない。安全空間ですけどね。小学校時代の鍾乳洞見学的なものだろう。


 躊躇わずズンズン進む。蛍火が俺を中心に三メートルぐらいを照らす。意外と通路は広く幅が十メートルぐらいある。


 探すは階段だ。怖い方? そりゃ怪談だよ〜うわははははははは…………ふぅ。


 月一の鬱もこなしたことだし、仕事の方も真面目にこなそう。


 軽く駆け足で進むことに。昼飯に間に合わせるために。


 駆け出すこと五分。直ぐに階段を発見。当然降りる。


 仕事で来てなきゃ、ゆっくり観光がてら周りたいんだけどね。


 二階に降りて再び時間走。ペース配分が大事。


「一匹抜けた!」


「防ぐ! 詠唱は!?」


「下がれ! 放つぞ!」


 しばらく走っていたらそんな怒鳴り声が、少し先の曲がり角から聞こえてきた。


 なるほど。喧嘩だな。


 そういえば並んでいるのは冒険者ばかりだったな。やはり地元の人には珍しくないのだろう遺跡。旅から旅の冒険者に人気。冒険者は荒くれ者。互いの価値観が爆発といった流れだろう、うん。地元にある名所って正直興味持てないのは現代日本も異世界も変わりないんだなー。


 巻き込まれちゃ適わんと右に逸れる。


 しかしマナーがなってないなー。突然飛び火されることも考えて次元断層を発動。


 少し狭いなった通路を駆け足していたらカチッという音が静かな通路に響く。続いてバシュッという音と共に紫色の煙が壁から噴き出してくる。


 これは…………ガスかな? なるほど。衛兵さんはこれを心配していたのかな?


 しかし運よく、先程発動した次元断層がこれを阻む。地底湖で水を遮断していた事から分かっていたが、気体にも適応らしい。俺の呼吸ってどうなってんの?


 深く考えても仕方ない。なんせ奇跡も魔法もある異世界。便利な言葉だファンタジー。


 紫色の煙の中を気にする事なく走っていると、ポロポロと何か黒いものが落下してくる。Gかな?


 即死しているのかピクリとも動かない毛皮が濃い蝙蝠が道に散乱。


「お、わっ、た!」


 終了でなく。とっさに避けることが出来ずグジャやらゴギリやら生々しい音を響かせて踏んでしまう。


 ……ごめん。


 しかし車は急に止まれない。乗っているのが殆ど社会人だから社会人は急に止まれないというべきか……。


 構わず進む。


 田舎じゃ鹿やら熊やらハネても止まらないらしいからね。異世界も似たようなもんだろ。


 少し先にカラカラのミイラが。


 いや止まろう。


 こういう遺跡にありがちな骸骨は分かるけど、ミイラってなんだ?


 ミイラは三体。カラカラになった皮膚に皮装備だ。……もしかして吸血蝙蝠でしたか?


 足を止めて検分してみたが、素人に分かることなく。後で衛兵さんに報告しておこう。合掌を軽くかましておく。


 再び足を進めると再び階段。結構スイスイ進めるな。しかし警戒はしておいた方がいいだろう。まさか街の中に危険なところがあるとは。


 駆け足から全力疾走へ移行だ。危険から逃げる時は全力が基本の小心者。蛍火の数も増やして見える範囲も増やしておこう。


 さて行くぜ三階層。



 ――――走ること五時間。



 俺、分かったことがあるわ。


 通路をギュウギュウに塞いでいるジェル状の生物の前で、立ち往生している冒険者パーティーを見ながら、俺、閃き。


 遺跡、あぶねー。


 ここまであった魔物を紹介。途中で鑑定を使用したから間違いない。


 吸血蝙蝠にデカいネズミ、ゴブリン、コボルト、アシッドスネーク、双首ハウンド、ネスタランチュラ、ネクロフィアー、そんでこいつ。




氏名 ラージ・スライム

年齢 112

性別 男性

種族 スライム

職業 ガーディアン


Lv  48


HP  3318/3621

MP  210/215


STR 362

VIT 112

DEX 114

AGI 30

INT 39

LUK 244



固有スキル

・物理攻撃半減

・分裂



[詳細]




 だそうだ。ふざけろ。


 なんかボスきちゃったよ。この遺跡内で見たことないステータスだよ。生命力が半端ない。前にいるパーティーも頑張って削ってんだけど……なにせデカい。通路にギチギチな上にそれが何十メートルも続いている。


 心折れるわ。


「アルラ、まだ余力あるか?」


「帰る分のこと考えたら限界」


 リーダーっぽい浅黒い肌のマッチョが銀髪ストレートの黒いローブを着た美少女に問い掛け、銀髪の美少女が淡々と答える。


「ここまでかな〜。十階への階段は目の前なんだけどね〜。大抵近道には厄介なのいるしね〜、でも九階層って広いから今から回り道は〜」


「食糧が持ちませんよ。アナタが人一倍食べるから」


「ひどいな〜」


「いや本当に」


「……すいません」


 フルプレートメイルを着込み大盾を構えた横幅もデカい男が軽鎧をきた長い緑の髪の女の子に凹ませられていた。


 和気あいあいと喋りしつつも、盾役が触手を阻み、切り込み役の二人が剣を片手に盾役から外れた触手を切り払い、後方に控えている銀髪が魔法使いなのだろう、炎球を生み出しスライム本体を焼いている。


 スライムは図体はデカいが動きが遅く、冒険者パーティーは危なげなく対処していた。


 そうか。この先に十階の階段があるのか。じゃあ行こうかね。


 正直スーパー帰りたいが、ここまできたらカンテ鉱石を採って帰りたいと思うのが貧乏性。金貨九枚が俺を待ってる。あと頑張って恐怖に耐えた六時間を無駄にしたくない。危険手当て九百万といったところ。いくぜマグロ漁業カニ漁船! 船に二ヶ月から半年缶詰めを思えば、地下に半日がなんぼのもんじゃい。


 でも順番って大切。前の冒険者パーティーのトライが終わるまで待とう。寄生じゃないよ? 倒してくれたら嬉しいなって見てたわけじゃなく、人生の先輩として応援してただけさ。マジ頑張って。


「……おし、撤退。帰るぞ」


 リーダーっぽい浅黒いマッチョが指示を出すと大盾が前に出て敵を引き付け、切り込み役が警戒しながら下がってくる。最後尾の銀髪魔法使いが振り返り中年魔法使いを発見。


 蛍火でライトアップされるオッサン。攻撃だ! いや待って。


 無抵抗を示すべく両手を上げながら近づく。笑顔が大事。


「そこで止まって」


「どうした? ……ああん?」


「……誰よ?」


 銀髪が持っていたスマートな形の棒ような杖の先端を俺に向けお声掛けだ。暗闇から笑いながら近づくオッサンへの対処としては満点に近い。遅れて浅黒いマッチョと緑髪が気づく。


 ……これはヤバい? えと、笑顔は絶やさずいくべきだよね。あとは変に動揺するのも良くないね。そして危害を加えないことの証明…………って難しくね? もうハンズアップ中だよ?


 とりあえずお声掛けだ。なにはともあれ話し合い。


「こんにちは。私は冒険者をやっているヤマナカと申します。えーと、順番待ちをしていただけでして……良かったら次は私がそこのスライムに挑んでも?」


「って言ってるぞ、アルラ?」


「装備、荷物、共に確認できず。魔力の流れを感知。周りに浮いてる光球と断定。変化(メタモルフォーゼ)系の魔物の可能性あり」


「……そうよね。見た感じ何も装備してないのも変だけど……この階層にいるのに荷物もないのはちょっとね」


「ちっ、挟まれたか。オール! 少し保たせてろ!」


「え〜? まあいいけどさ〜」


 いくらなんでも魔物認定は酷いと思う。オッサンだって生きてるんだよ、心があるんだよ!?


「待ってください! 私はFランクの冒険者です! これがギルドカード……」


「ますます信憑性が下がったな。Fがここまで来れるわけねーだろ」


「ですね。恐らくギルドカードは写し取った獲物から奪ったんでしょう。……知能が高そうですね」


「――イード・アル・セカル・カアチェイ……」


 懸命に無抵抗をアピールしているのに剣を構える切り込み役の二人。翻訳が機能しない言語を呟き出した銀髪。


 戦闘態勢ですね、ええ。


「エル・ニード(炎の竜巻)」


 言葉を結び終えた銀髪が杖を翳し、俺の周りに突如表れる炎の渦。俺、台風の目。


 じゃあ安心と思う間もなく迫ってくる炎。視界が炎一色に染まる。炎に包まれる俺。


「おお……すげ……」


 生まれて初めてだよ炎の中に入るとか、ちょっと場違いに反応。つか欠片も熱くねーよ。鉄壁すぎるね次元断層。


「――――やっぱ、な!」


 炎が掻き消える瞬間を狙いすましたように右の死角から飛び込んでくる浅黒いマッチョ。言葉尻と共に剣を振ってくる。


 振り切られる片手剣。砕ける刀身。驚くマッチョ。


「下がれメーネ!」


 しかし驚愕も一瞬。どうやら左から近づいていた緑髪を一喝すると何かを放ってくるマッチョ。直ぐさま転身して飛び込むように伏せる。


 響く爆音。


「おおう!? すげー」


 爆心地、俺。


 生まれてこの方、以下略。


「ちぃ! 化け物め!」


 ………………精神的には瀕死ですが?


 朦々(もうもう)と立ち上がる煙の先に、無傷のオッサンを確認したマッチョの台詞だ。会心の一撃だよ。


 飛び起きたマッチョは距離を取り腰に差していたもう一本の剣を抜く。すかさず緑髪が隣に並びこちらを警戒だ。


「アルラ」


「不可能。最低でも桁が二つは違うと認識」


「おーおー、幻獣クラスかよ。全くツいてるぜ」


「本当にどうしますか? 通路は一本道ですし……後ろは通れませんよ?」


「ね〜、キツくなってきたんだけど〜?」


「代わってやろうか? お前にもこの絶望感を味あわせてやりてーぜ」


 なんか格好いいなマッチョ。すげーパーティーしてるよこいつら。こちとら棒立ちよ。ナイスアクションに拍手とかしたくなるわ。


「あのー……そろそろやめませんか?」


 とまれここで止めておかなければ。帰りもモンスターが出るであろう遺跡で、これ以上魔力やら装備やらを消費したら危険だよね?


 しかも原因は俺ときた。いかん。マジで誤解を解かねば。


「何度も言いますが私は冒険者です。ここにはカンテ鉱石を求めてやってきました。危害を加える気は全くありませんので、この状況の平和的解決を模索しませんか?」


「……おい、アルラ」


「駄目。証明がまだ。信用不可」


「そうですね。それに炎も剣も間違いなく当たりました。なのに服に焦げ跡一つ無いことの説明がつきませんよね」


「……だよな。あー、くそっ。希望持っちまったじゃねーか」


 これはアカン。話が通じない。翻訳先生も匙を投げるレベル。


 致し方ないので強行突破だ。今がチャンスだ。


 視界跳躍発動。


 相変わらずのエフェクトなしの転移後、目の前にスライム。


「……え?」


 隣で呆然と呟いた盾役に笑顔をプレゼントだ。少しでも友好的に。人間関係円満の秘訣は笑顔だ。


 盾役に笑い掛けると直ぐに足を動かす。また襲われたら困るからね。主にこの冒険者方が。


 スライムに突っ込んでいくオッサン。流石に蛍火はスライムに当たって消えてしまう。さーてスイムスイム。


 少しは抵抗感も出てくるかと思ったが魔物の体内でもいけるのか次元断層。さすがチート(ズル)。


 なら遠慮はいらないね。再び駆け出し始める俺。昼飯は既に駄目になったが夕飯を逃すわけにもいくまい。夕飯代が勿体ないからね。


 微妙に苦しげに呻くスライムの海を抜ける。もしや俺が空けた風穴を通って冒険者方が追ってくるかと思ったが、振り返ると直ぐさま穴は塞がるところだった。


 また帰りも我慢してくれスライム。マジごめん。


 スライムの触手に追われながら行き止まりに向かうと階段が。十階層への階段だな。


 これで後は鑑定でカンテ鉱石を発見して帰るだけだな。まだ半分かよ……。


 予想より時間が掛かったことに、帰る気満々だったのに残業を言い渡される日々を思い出した。そうだった。仕事ってそうじゃなきゃ。


 気合いを入れ直して、俺は十階層に降りていった。










 スライムの中に突っ込んでいった幻獣レベルの魔物を確認したが、俺は警戒を解けないでいた。


「オール! なにボーっとしてやがる、下がれ!」


「……あ、うん。び、びっくりしてさ〜」


 あの人間に化けた魔物がスライムに突っ込んでいったお陰で、スライムが動きを止めていたのでオールは棒立ちになっていたのに攻撃を受けずに済んでいた。


「有り得ない」


「ああ、全くだ」


 隣のアルラも、珍しいことに動揺を露わにしている。


 スライムは強い酸性を持ち、あの柔らかそうに見える体には打撃や斬撃が通りにくいという特性の厄介な魔物だ。


 そのスライムの体内に突っ込んでいくなんて正気の沙汰じゃない。あれの体内には強力な酸が荒れ狂っている。獲物を捕らえて吸収するのを何度も見たことがある。


「な、なんだったんでしょう?」


 メーネが呆然と呟く。


「さあな。しかし確かに死を覚悟したからな。助かったっちゃあ、助かったな」


「ほんとだよ〜。僕なんて笑い掛けられたからね〜」


 攻撃を仕掛けられたパーティーを相手にか?


「イカレてやがる」


「撤退を推奨」


 未だに警戒を解かないアルラが、またもや珍しく意見を出してくる。


 ……それだけヤバかったってことだな。


「よし、マジで帰んぞ! この階層を出るまで休憩なしだ!」


 素早く荷物を纏めて警戒しながら八階層への階段を目指す。


「でも、やはり近道は困難だということが分かりましたね」


「同意」


「ああ、正直俺の判断ミスだった。……悪かった」


 道の先を警戒しながらだったため頭は下げなかったが、十二分に謝意を込めて謝る。


「いや〜、仕方ないんじゃないかな〜? 前情報じゃ、九階層の近道にはスライムがいるってだけだったし〜」


「同感です。それに、私たちも一本道になっていることに疑問を持ちませんでしたから……思えば二階層のエナジーバットと同じ仕掛けだったのでしょう」


 それぞれフォローを入れてくれるが、判断ミスであることは間違いない。リーダーはパーティーの命運を握っていると言っても過言ではない。僅かな判断ミスが全滅に繋がる。深く猛省して、今回の件の検討を頭の中で行う。


 二階層の近道といえば、無数に襲いかかってくるエナジーバットと毒霧が噴き出すトラップだ。トラップを避わして進めば、空中から多角的にエナジーバットに攻められ、後退を余儀なくされればトラップに引っ掛かるといったえげつない挟み撃ちだ。エナジーバット自体は弱いのもこの近道の厭らしいところだ。


 一体一体が弱いので押し切ろうと進むと、エナジーバットは数を増し、魔法などの広範囲殲滅手段を持っていないと、取り憑かれ血を根刮ぎ吸われる。


 確かにそう言う意味では、この九階層の近道も似ている。


 粘れば倒せそうなトロいスライムに通路を塞がせて消耗させ、いざ帰るとなれば幻獣レベルの知能持ちが立ちふさがる。


「……同じ系統の近道か。確かに、言われりゃ似てるよな」


「別の可能性を検討」


 メーネの意見に納得の頷きを返すと、反対側からアルラが声を掛けてくる。……ほんと珍しいな。生き残れて興奮してんのか?


「一つ、魔物が回遊していて偶々背後を取られた可能性。一つ、最初から誤情報を流され嵌められた可能性。一つ、本当に冒険者の可能性」


「……最後のはどうでしょう?」


「だよなぁ。流石にあれで人間とか…………うちのクランのリーダーでもあそこまでじゃないぞ?」


「もしそうなら〜、最低でもA以上ってことだよね〜? だってクランリーダーがAだし〜。根拠は〜」


「わざわざ罠に嵌めたのなら見逃す意味がない。その後の行動、共に説明不可。しかし可能性は薄く、無いに等しい」


 アルラの言葉に全員が押し黙る。それぞれが九死に一生を得たことは分かっていた。それだけあの魔物は九階層とはいえ異質だった。


 前回挑んだ時より二階層も多く進めたが、俺たちにはこの階層はまだ早かったのかもしれない。肝に命じるとしよう。


 より一層の警戒を強め、俺たちは八階層への階段へ急いだ。










 つ、疲れたー。


 遺跡に入ってから出るまで殆ど走りっぱなしだったよ。マラソンだよ。遺跡このやろう。途中で空間振動連発して倒壊させてやろうかって思うぐらい走ったわ。暫く遺跡はノーサンキュー。俺はインディじゃなかったわ。


 もはや夕暮れの光も消えようかという時に遺跡の出口から現れるオッサン。


 俺だよ。ヤマナカ。


 未だに衛兵の人が出入りする人をチェックしていた。なんと驚き朝の衛兵さんだ。十二時間以上の勤務だね。異世界ブラック。黒さが光るねファンタジー。


 せめてもの労いの言葉をお声掛け。


「お疲れ様でーす」


「おう……おう! 帰ってきたか! 二階層までいったんじゃないかって心配したんだぞ」


 やっぱりいい人じゃん。あの毒っぽい霧と吸血蝙蝠がやはり不安要素だったか。


 一応ミイラの事を報告。しかし遺跡に入る入らないの時点で自己責任らしく、遺体の回収もないとのこと。あと、衛兵さんが手につけている魔道具とやらでギルドカードをチェックしているらしく、これで大体の生存確認を行えるとのこと。何十日も出てこなければ死亡とみなし登録抹消なんだそうだ。おのれドワーフ。初めてのお使いにしては難易度インポッシブルなとこに突っ込みやがって。


「あはっ、おっちゃん!」


 人が並んでないことをいいことに衛兵さんとダベっていたら足に衝撃。少年の襲撃。


「おー……あー、あれ?」


 そういえば未だに名前を知らない。ついでに名乗ってもない。まあ偶には迂闊なこともあるよね。歯車だって遊びがなきゃ回らないんだし。


 屈み込んで少年と目線を合わせ自己紹介。


「おっちゃんな、ヤマナカっていうんだわー。お前の名前は?」


「あー……アッ、アッド。俺、アッドっていう」


「よっしゃアッド。待っててくれたのか?」


「うん!」


 え、なんだろう。めちゃくちゃ嬉しいんですけど。思えば仕事から帰ってくれるのを待っててくれた人なんて前世じゃいなかったもんね。ハンナちゃんが朝、味噌汁作って待っててくれた時も嬉しかったよな。これが父性か。成長してお父さんスケベからの洗濯物は別にしてへ至り絶望。


 へへ、その前にお母さんがいないって。


「ヤマナカのおっちゃん?」


「ん? ああ、あれだ帰ろう。……飯食ったか?」


「……まだ、だけど、別に、パン目当てじゃねーんだ! ほんとに!」


 必死にすがってくるアッド。いや、別に誰もそんなこと言ってない落ち着け。


 アッドの頭を撫でつつ落ち着かせる。


「よし、じゃあ、飯食いに行くかー」


「え、でも、俺……」


 途端に元気がなくなるアッドに慌てる俺。あれか、オッサンと食事は嫌か?


「い、嫌か? 嫌ならいいんですけど……ほんと嫌だったらすんません」


「い、嫌じゃないよ!」


「今朝号泣された方の発言ですね、ええ」


「ちがっ、もう泣かないから!」


「ほんとに?」


「ほんとに!」


「じゃあ、行こうぜ。遅いとカディさん飯出してくれねーって言ってたしなー」


「え、あ、う、うん」


 俺を掴んで揺さぶっていたアッドの手を握り、何故かこっちを微笑ましそうに見ていた衛兵さんに軽く会釈を入れて、日が落ちつつある街道を宿に向かって帰ることに。鉱石は明日渡しに行こう。夕飯代が勿体ないからね。


「なあアッド」


「な、なに?」


「明日も道案内頼んでいい?」


 いやほら、一回で道を覚えるのって大変でさ。なにせ初めて来た街だから。もう一回カディさんに聞くのは、あれだ、面子が……。


 俺の言葉に軽く驚いた後、何故か笑顔で溜め息を吐き出すアッド。


「ヤマナカのおっちゃん、本当に方向音痴な?」


「俺が? 面白い」


 その後、方向音痴の定義に論争をかましながら宿に帰り、アッドの食事を奢りつつカディさんにも意見を求めたら、


「諦めが悪いよ」


 と、こう。


 ナビがないからな。異世界が悪い。そう思うね、ええ、ほんと。


 俺は唐揚げを口にした。



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