おかしな冒険者さん
どこぞの社畜
「器物破損ってどれぐらいのあれなんだ? いやまだ決まったわけじゃないよね? でも指名手配とかされてたら……いやいや、ちゃんと弁償してきたし…………いやいやいや謝罪もまだだしそもそも足りるか分かんないっつーか、待て待て落ち着け。あれだ、様子見するっていうのはどうだ? 指名手配的なものになってたらそもそも村や街に入れないだろうし、村や街に入る前にその人の反応を見てみるってことで、一つ。ああ、でもあんまり大きな街とかやだな。別に情報が行き渡ってないかもしれないから小さな村とかがいいってわけじゃなくね? ほら、街にトラウマあるじゃない? 襲われたし。リハビリを兼ねて衆目の注目を集めないようなところでほとぼりが……ほとぼりってなんだよ……」
街道をブツブツと独り言を呟きながら猛スピードで連続転移中
見つけたら御一報を
「残念だが……討伐は出来ない。俺達は引き上げさせてもらう」
「そんな!? 契約はどうなる!? 不履行でギルドに訴えるぞ!」
あたしは木箱を足場に木枠の歪んだ隙間から室内を覗き見てみた。
声を上げているのはリガリルさん。この村の村長で、今回の依頼の交渉役を務めている。
対面に座っているのがクラン『黒空の星』のメンバーの人で、派遣されてきたメンバーのまとめ役を務めるオルドさん。そのサイドを固めるのがネルさんにマシレさん。
とっても強い冒険者さん達。
「不履行にはならないだろう。最悪でも未達成扱いだな」
「そんな訳あるか! こちらが強く……」
「言っておくが!」
村長の発言をオルドさんが強い声で遮る。
「情報をわざと隠したり欺いたりした依頼主の依頼は、ギルドは二度と受けないだろう」
オルドさんのその言葉に村長が額から汗を流す。
オルドさんの隣に立っているネルさんが怖い顔で追い討ちを掛ける。
「本来ならギルドに報告入れてブラックリスト入りのとこを引き上げるだけにしとくって言ってんだ。これ以上あたしらに噛みついたらタダじゃおかないよ」
「……べ、別に虚偽申請をしたわけじゃ……」
村長のしどろもどろとした発言をオルドさんが溜め息混じりにバッサリと切り捨てる。
「本来、群れの討伐をする場合、依頼書に大体の規模に討伐数を記載するか、具体的な発見例を記載、もしくは別途で調査依頼を出すかして危険性の有無をハッキリ示しておかなくてはならない。しかし受けた依頼書には『ファングボアの討伐』としか書かれていなかった。討伐数や群れの文字がない。この場合は単体を意味する」
今まで黙っていたマシレさんもウンウンと頷きながら口を開く。
「そーそー。第一、報酬が銀貨三枚ってのもおかしいでしょうよ。こりゃどう考えても一匹の値段だよ? 最初から騙す気満々だったんでしょー? これ撤回も追加もないんだから犯罪だよー?」
「そ、そんな! まだ依頼を履行してもないのに……」
あたしはそこで木枠から目を離した。
溜め息を吐き出し木箱から降りて歩く。
今回もダメだった……。
冒険者さんにボア退治の依頼を断られたりするのは、今回これで三度目になる。
と言っても、毎年畑を荒らすボアを退治してくれという依頼は、それこそ毎年出しているので、本来ならあんな風に揉めたりはしない。
でも今年は違った。
ボアが複数匹出たのだ。しかも大型のボアが大量に。
これまでのボア退治の依頼というのは、小さいやつなら複数匹出ても村で処分、中くらいのでも一匹までなら村で、それ以上の大きさや数ならギルドに依頼してと、そんな感じでやってこれたのだが……。
今回は大きいサイズのボアが二十頭程出てきたらしい。
見張りをしていたお向かいのお爺ちゃんが死に、村で一番力があったメースさんが重傷を負ってしまった。
収穫目前だった作物が荒らされ、居心地の良さからかボアが畑近くに巣くってしまった。
いつもなら村のお金でギルドに依頼するんだけど、そのお金は今回の作物の補填費用として使わなければ村が終わってしまうらしい。
しかも出てきたボアは大きいやつが複数匹。ボア退治の依頼に掛かる費用は例年の十倍を超える額を用意しなければならない。
最初は領主様を頼ろうとしたんだけど……結局ダメだったみたい。なんか、作物がダメになったから守るモノがないのに私兵は出せない、とか言ってたけど……あんまりよく分からなかった。
だって、守る人ならいっぱいいるのに……。
とにかく、領主様にダメって言われたから、じゃあ自分たちでなんとかしようってなって、怪我人が増えちゃった。
それで結局いつも通り依頼を出すことにした。そう、いつも通り。
金額もそのまま。まるで一匹を退治するような依頼にしたらしく、その依頼を受けてやってくる冒険者さんは毎度怒って帰っていく。
村長はその度に「依頼を出した時は一匹だった」「群れが!? それは気づきませんで……」「村で出せるのはこれが精一杯で」と言い訳をする。何も知らずに依頼を受けてくれる冒険者さんが来るまで続けるそうだ。
なんか……嫌な気持ちになる。
だって、何も知らずにボアを討伐に向かうというのは、群れの中に飛び込んでいくということで……。
あたしと同じ気持ちなのか、トマシュさんはきちんと依頼料を上げたらどうかと言っていたが、村長はそれじゃ村が終わると言って聞き入れなかった。
お母さんが心配そうな顔で「今までの積み立てならギリギリ……もしかして……」と言っていた。よく分からないけど、お母さんは村の集まりであまり発言したりしない。なんでも、あたしとお母さんが二人暮らしだから危ないと言っていた。そっちもよく分からない。ただ、反感や注目を集めたらダメなんだそうだ。……こんな時に、五年前に死んだお父さんが生きていたら良かったのにと、いつも思う……。そしたら、お母さんの心配そうな顔も、少しは和らぐだろうから。
本当に少しずつだけど村を離れる人も出だした。知り合いや親族が他の村にいる人がそうだ。隣に住んでいたガルシアさんも、積み立てた村のお金は村のために使ってくれと、申しわけなさそうに言って出ていった。まだ今朝がたの事だ。
うちも出ていくとお母さんが言っていた。でもそのお母さんが無理がたたって倒れてしまった。少しでもお金がいるらしく、森で採った薬草や長かった髪を切って冒険者さんに売っていたのだが、薬草で儲けるには数が必要だし、売るといっても、持ち運ぶのに手間が掛かる薬草をそのまま売り払っても、買ってくれるのはギルドぐらいだ。しかも二束三文。それを省くため潰した液状の物や乾燥させた粉状の物が喜ばれるので、お母さんは一日中ボアがいる森とは反対の森に入っては薬草を探し、帰ってきたら夜通し薬草を潰していたので、疲れちゃったのか倒れて寝込んでしまった。
貯まったお金で薬を買おうとお母さんに言ったのだが、お母さんは大丈夫だからと薬を買わせてくれない。
お金は少しを棚の中に、残りは全部、緩くなった床板を外してその下の土を掘って埋めて置きなさいと言われたので、言われた通りにした。もしお母さんがダメなら……と言われたので、何でそんなこというの! と叫んで飛び出してきてしまった。
今回の冒険者さんたちは優しかったので、もしかしたらと冒険者さんが借りている家を覗いてみたのだが、引き上げると言っていたので今回もダメだったのだろう。
じんわりと瞳に涙が浮かぶ。
ダメだダメだ! お母さんを助けられるのはあたしだけなんだから! あたしがしっかりしなきゃ!
涙が零れ落ちたら負けてしまう気がして、俯けていた顔を上げる。すると村の入り口に人が立っているのが目に入った。
一目に怪しい人だった。
格好は普通の村人が着ているような服だが、こんな小さな村なのだ、大体村人はみんな顔見知りだ。この人は見たことない顔。つまり余所の人。なのに、旅をしているような格好でもなければ、冒険者さんみたいな装備に身を包んでいるわけでもない。普通の、村の中を歩いている村人のような格好で、お金持ちにも見えないし護衛を雇っているようなわけでもない。
馬も連れていないということは、歩いてきたのだろう。
一番近い宿場町まで歩いて四日、大きな街だったら七日は掛かる。つまり最低でも四日は歩いてここまで来たことになる。
あの格好で? 手ぶらで? 歩いて? ボアが出るかも知れない街道を?
…………怪しすぎる。
そう、怪しい。降って沸いた影のように入り口の前にいるが、キョロキョロと村の中や、特に村の周りに張ってある柵や堀を物珍しげに眺めているのも変だ。そんなに珍しいものじゃないでしょ?
少しばかり警戒しながら眺めていたが、その怪しい人は一向に村に入ってこなかった。
なにがしたいんだろ?
頭では怪しい人と分かっているんだけど、あたしにはそんなに悪い人には見えない気がした。
人を見る目はある方だと思う。村長や村長の息子、危ない冒険者さんは一目見て関わりたくないと思ったし、その感覚は大事にしろとお父さんにも言われていた。
その感覚では、あの人は危なくないように感じる。でも、見た目や挙動は今まで生きてきて見た人の中では、一番怪しい。
このまま放って置くべきだろうか? でも少し困っているような顔もしている。
……結局、あたしは好奇心に負けてその人に近づくことにした。自分でもバカだと思う。
建物の陰から出て近づくあたしに気づいた怪しい人が話し掛けてくる。
「やあ、こんにちは」
「こ、こんにちは」
意外と丁寧に頭を下げられた。あたしも慌てて頭を下げる。
改めてよく見ても何も持っていない。腰にボロボロの布袋を下げているが、中身は入っていないのだろう。ぺったんこだ。……胸じゃないもん。あたしはまだ十二だし、お母さんは大きい。未来がある!
「ちょっと聞いてもいいかな?」
「……え、は、はい!」
自分の考えに自分で過剰に反応してしまったため、少しボーっとしてしまった。だってイトリが小さい小さいってよくバカにするから。あたしのは小さくなんてない。普通だし、将来はお母さんみたくなる。絶対大丈夫だ。
あたしが怪しい人の質問に答えようと耳を傾けていると、怪しい人は「あ、でも大人に聞いた方がいいかな……大人呼んでもらって……」とブツブツ呟いていた。
怪しい。そして失礼な。あたしは十二だ。後三年もしたらお母さんがあたしを産んだ歳になる。もう半分ぐらい大人だ。
少し悩んでいたが、あたしが眉を顰めると少し慌てて切り出してきた。まるであたしに気を使ったみたいに。まさか、そんなわけないよね。怪しい人はお父さんより一回りぐらい年上に見える。流石にこれだけ年の離れた娘を気づかったりなんてしないよね。
怪しい人は言った。
「村に入ってもいいかな?」
あたしは思った。
…………………………………………………なに言ってるんだろう。
怪しい人は言動も怪しかった。
あたしは村の中を歩いている。
怪しい人を連れて。
怪しい人の問い掛けに「……だ、大丈夫です」と答えると、怪しい人は嬉しそうに村の入り口で「失礼します」と頭を下げて村に入ってきた。
村の入り口と言っているが、別に門があるわけでもないし境があるわけでもない。街道から真っ直ぐ入ってこれる。柵が張ってないというだけで。
もちろん、モンスターが出たら移動用に作ってある柵で封鎖できるが、まさか開いてるのに入ってこない人がいるとは。
怪しい人はとっても怪しい人だった。
村に入ってきたとっても怪しい人は、丁寧にあたしにお礼を言って「もう一つ聞いてもいいかな?」と言ってきた。
昔話ならここで食べられてしまうところだ。話し掛けたらダメだったかなぁ……。
そんな不安が顔に出たのか、あたしの表情が変化したのを見たとっても怪しい人は慌てて手を振り「む、無理にとは言わないから! ダメだったら大丈夫だから!」と言った。
大丈夫っぽい。
あたしが「はい。大丈夫です」と言うと、とっても怪しい人は安心したように息を吐き出し「危うく事案っちまうとこだった」と呟いていた。よく分からなかった。その後で「泊まれる所があったら教えてほしい」と言われたので、いつも冒険者さんに貸し出す家に案内しているとこだ。もっとも、空き家なんていっぱいあるし、どこだっていいんだろうけど。
そこで、はたと気づいた。
どうしよう。いつも貸し出している家は今、他の冒険者さんが泊まっている。
あとは小屋や納屋とかになってしまう。人数が多い時や旅の人に屋根を貸す時はそっちになる。たまーに村長が自宅に招いて歓待する時もあるんだけど……そういう人ってお金持ちの商人さんとかだし……。
「ど、どうかした?」
思わず足を止めたあたしを、とっても怪しい人は心配そうに見つめてくる。
というか、心配そうに周りをキョロキョロと見回している。
なんかあたしを攫うタイミングを計ってるように見える。とっても怪しい。
でもまぁ、元々とっても怪しい人だし。とっても怪しい人が怪しい行動をとるのなんて普通だ。
あたしは気にせず小屋か納屋でもいいか声を、
「あのですね……」
「うん?」
掛けようとして、閃いた。
その思いつきにヒヤッとなる。悪い事だ。とっても悪い事。それでもあたしの家にはお金が必要で、お母さんに内緒でお金を稼げば薬が買えるかもしれない。
迷ったのは一瞬。
あたしは笑顔でとっても怪しい人に続きを話した。
「道を間違えました。すいません、こっちです」
ガクッと肩を落とすとっても怪しい人。ちょっと面白い。
間違えたと言ったにもかかわらず、文句一つ言うことなくあたしの後ろをついてくるとっても怪しい人。
あたしはとっても怪しい人を案内しながら、これからの段取りを頭の中で考える。
………………うん。多分、大丈夫。できると思う。
……バレないだろうか?
そう思うと、背中がヒヤッとすると同時に額から汗も出てくる。
なるべく平静を装わなきゃ。あたしがボロを出してどうするのだ。
自然に自然にと心がけて、村の入り口に近い一角にたどり着く。そこには三軒ほど家がかたまっている。
あたしの家もある。
その内の一軒にとっても怪しい人を誘導する。
「ここです」
あたしが家の扉を開くと、そこには――――家財道具が、まるっと無くなった殺風景な空間が広がっていた。
今朝がた出て行った、あたしの家の隣の人の家だ。
あたしはここをとっても怪しい人に貸し出そうと閃いた。
そう、お金をとって。
本来なら、家を引き払ったら、報告はすぐ村長にしないといけない。新しい村民を募集したり、家の提供をする権限が村長にあるからだ。ここも隣の人に村長への伝言を頼まれている。自分で言うにはバツが悪かったのだろう。あたしに、というよりお母さんに頼んでいった。
でもお母さんは布団から抜け出せず、報告はまだ村長の元にいっていない。
ここが空き家だと知っているのは、あたしと倒れ伏しているお母さんだけだ。
本当なら悪いことだ。
だって、依頼を受けた冒険者さんには、いつも無料で貸し出しているし、普通の旅人とかに提供している時も、入ってきたお金は村のお金として貯めているという話だ。
あたしは悪い子だ。見つかったら罰を受けるだろうし、見つからなくとも、いずれ罪の償いはしなきゃダメだろう。
ああ、お母さんお父さんごめんなさい。ごめんなさい。
ヒヤヒヤした気持ちで心臓が圧迫されているあたしを余所に、とっても怪しい人は「へ〜」と言いながら家を見回している。ベッドは残ってるし、大丈夫だよね? 縮こまった心臓が激しく膨張するようにバクンバクンと音を立てる。ああ、死んじゃう。
「いぃぃ一泊、ど、銅貨ご、五十枚、に、なります……」
値段を告げる声が引きつり、尻すぼみに小さくなっていく。とっても怪しい人がひどく驚いた顔をしたからだ。とり過ぎだろうか? 昔、お父さんとお母さんと一緒に街に行った時は一泊これぐらいの宿屋に泊まったから、そのぐらいが相場だと思っていたんだけど……そういえば、旅人に家を貸し出す時の値段も知らない。ちゃんと興味を持っていれば良かった……。
「安っ!?」
「……え?」
値段交渉というか、言い間違いましたと言って値段を下げるか、やっぱり村長に報告を入れて謝ろうかという考えがよぎったところで、とっても怪しい人はそんな事を言ってきた。
やすっ、って、安いってことだよね? …………う〜ん、そんなに安くないと思うんだけど。
「食事つきで?」
「つ、つきません。別にお代をもらっ、もらいます」
続けて質問された内容に、安過ぎて怪しまれたらと、とっさにこんな答えになってしまった。ああ違うのに。ご飯はちゃんと三食出そうと考えてたのに。
あたしがワタワタと撤回すべきかどうかを躊躇している内に、とっても怪しい人はポケットから銀貨を五枚取り出してあたしに渡してきた。
「………………………………え?」
銀貨だ。しかも五枚もある。
事態がよく飲み込めず、フラフラした視線をとっても怪しい人に向けると、そんなあたしに、とっても怪しい人は笑顔を返してきた。
「とりあえず一週間分の宿代と、残りは食事代を引いていって、足りなくなったら追加で払うってことでいいかな?」
まだ金銭を持っていると示したいのか、銅貨を数枚ポケットから取り出すとっても怪しい人。
「え、いや、あの、ちょっと」
「じゃあ、これはチップで」
見せ金かと思った銅貨を、あたしの手に更に落としてくる。……『ちっぷ』ってなんだろうか? 宿屋経営とかしている人なら常識なんだろうか?
とりあえず知っている振りをすることにした。…………あっという間にお金持ちになってしまった事とは裏腹に、胸はズキズキと痛んだ。
「……ありがとう、ございます……」
「え、あ、なんか少なかったかな? ごめん相場がよく分かんなくて」
あたしが沈んだ声を出したせいか、とっても怪しい人は慌てて追加で銀貨を取り出してきたので、あたしも慌てて手を振ってそれを拒否する。
心臓が止まってしまう!
もしかして、そうは見えないだけでお金持ちなのかもしれない。
それでもやっぱり、罪悪感が無くなるわけじゃなく、このままここに居て胸を痛め続けるよりは、料金分以上にお世話をしなきゃと、料理をするため、一旦家に帰ろうとしたあたしを、とっても怪しい人が呼び止める。なんだろう? ほんとにちっぷはいらないんだけど。
とっても怪しい人はひどく真剣な表情をしていた。とても大切なことなのだろう。もしかして気づいているのかもしれない。ああ……。
「この辺りの森に…………薬草って生えてるかな?」
この人は、どこかおかしい。
社畜計算
(一泊銅貨五十枚なら一週間で銀貨三枚と銅貨五十枚。一日に一食もらうとして、銅貨二十枚ってとこかな? 一週間で銀貨一枚と銅貨四十枚。切りよく銀貨五枚ってとこだよな?)
(ハッ!? チップをキチンと払っておかなきゃ! 外国なんていかないから忘れる常識だよね? ここ日本じゃないんだし。えーと、宿泊料の一割ぐらいだよな? 毎日渡すのがマナー)
(ええ!? めちゃくちゃ残念そうな顔してるぅ!? そうだよダメだよ足りないよ! うら若い子供の期待に答えるのが大人! サンタと魔法もあるんだよ! えっとえっと、銀貨? いやむしろ金貨か? ……おぅ、遠慮されちまったぜ……機会って二度やってくることはないんだなぁ)