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従兄弟の愛情 ※雄大視点

今回は雄大視点です。雄大の違う一面が発覚します。

「美波姉さん、おはよう」


「あ、雄大。おはよう」


朝起きてリビングに降りていくと、美波姉さんが朝食を作ってくれていた。

朝から美波姉さんのご飯が食べれるなんて嬉しいなぁ…

内心かなり舞い上がってるけど、それを顔に出さずに何事もないように振る舞う。

美波姉さんは一つ上の高校一年生で、俺の従兄弟だ。

小さい頃からよく面倒を見てくれていて、僕も本当の姉のように慕っていた。



それが変わったのは、俺が小学6年生の春。

久しぶりに会った美波姉さんは、中学に入学したから制服を着ていた。身長も髪も伸びていて、どこか遠い存在になってしまったと感じていた。

中学に入学して綺麗になったせいか、以前みたいに接することが出来なくなった。

俺も中学に入学して、忙しくなったこともあって美波姉さんに会うことはほとんどなくなった。



そんな日々が続いていたとき、いきなり親から転校の話を聞いた。しかも、海外に行くらしい。

流石に、中学三年生になる俺を海外にまで連れていくのは気が引けるらしくて、従兄弟である美波姉さんの家に居候として住むことになった。



…正直、不安だったんだ。

急に態度を変えた俺に愛想をつかして、前みたいに笑いかけてくれなくなるのではないかと。

でも、そんなのは杞憂におわった。

美波姉さんは、家に来た俺のことを優しく出迎えてくれた。

「雄大が家族になったみたいで、嬉しいな」と笑ってくれた顔は以前と全く同じだった。



それでも、気づいてしまった。

俺は美波姉さんのことが、好きだと。

姉としてじゃなく、1人の女性として。

どんどん綺麗になっていく美波姉さんに対して、この気持ちを消すことはできなかった。

それでも、いつまでも弟のように接してくる美波姉さんに対してイライラすることもあるけど、この関係を今は壊したくないからこの気持ちはしまっておくよ。



……ただ、俺は自分の異常さに気がついているんだ。

美波姉さんが嬉しそうに学校のことを話す時、俺がどんな気持ちで聞いているか知らないんだろうね。

話の中に男の名前が出てきたときなんか、胸の中にドロドロとしたどす黒い感情が湧き上がってくるんだ。

それでも美波姉さんが怯えないように。俺を拒絶しないように。

俺は今日もこの心の内を知られないために、笑顔の仮面を貼り付けるんだ。




帰り道にスキップしている美波姉さんに偶然あって、恥ずかしがってる姿をいまも愛おしく思っている。

そのとき美波姉さんの口から出てきた幼馴染みの名前に、殺意を覚えてしまった自分に気づかないふりをして。



今日も俺はしっかり者の“従兄弟”を演じるよ。

従兄弟の雄大はヤンデレでした〜。


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