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4、初めての女友達


「よしっ!じゃあ今日はHRだけだから、これで終わりだ。明日からは通常の授業とか始まるから、連絡事項とか確認しておけよ〜。」



担任はHRが終わるとすぐに出ていき、周りの人も各々帰る用意をしていた。

そんな中で、私はようやく息をつくことができた。

なんせ、HR中ずっとあのヤンキーと隣だったのだ。時々聞こえてくる舌打ちに一々ビクビクしていたため、担任の連絡事項などは全く耳に入ってこなかった。


ヤンキーはHRが終わった瞬間、あっという間に帰っていったため、教室にあった張り詰めた空気もようやく緩んだようだった。


「お疲れさま〜、あの人が隣とか最悪だねぇ」

いきなり声が聞こえてきたかと思ったら、私の前の席である人がこちらを振り向きながら笑っていた。


「あ、突然ごめんね?私、前の席の平沢綾音ひらさわあやね。ちなみに、さっき言った隣の人は八神龍生やがみたつきだよ。」

「八神龍生…?」

「そう、穂高さん。あの人には関わらない方がいいよ。」


平沢さんは自己紹介してくれたあと、私の隣――八神龍生君のことも教えてくれた。そして、急に真面目な顔になったと思ったらいきなり忠告をされた。


「八神龍生。中学の頃から大分荒れてたみたいで、ここら一帯をしめてたんだって。高校生にも負けなくて、同い年だと敵無しって聞いたよ。」


私はそれを聞いて絶句してしまった。

え…八神君ってそんなにやばい人なの…?

顔からサァーッと血の気が引くのが自分でも分かった。きっと今の私は顔面蒼白だろう。


「まぁ、関わらない方が身のためね〜。でも、多分学校に来ること自体少ないだろうし、大丈夫だと思うよ!」


顔面蒼白になった私を心配してか、平沢さんは安心させるように色々言ってくれた。女子からなかなか優しくされた記憶がない私は、内心かなり舞い上がっていた。


「平沢さん、ありがとう!…優しいね!」

「綾音でいいよ!別に普通じゃない?」

「あ、じゃあ私も美波でいいよ!ううん、嬉しかったから…綾音ちゃん、よろしくね!」

「ちゃん付けじゃなくてもいいのに…ま、いいか。こちらこそ、よろしくね美波!」


……私はいま猛烈に感動している。

あの、中学三年間まともに女友達が出来なかった私に!友達が出来たのですっ!

しかも、綾音ちゃんはいわゆる姐御肌な人で、今まで幼馴染みの大翔目当てで仲良くしてきた人達とは違う感じがした。

やっと、まともな友達が出来た…!

思わず目が潤んだ私に、綾音ちゃんはギョッとしてたけど、理由を話せば納得して同情してくれた。



「美波も色々と大変だったのねぇ…」

なんて優しく頭を撫でてくれる綾音ちゃんは、ほんとにお姉さんみたいだ。思わず「綾音ちゃんみたいな、お姉ちゃんが欲しかった。」と呟けば、「美波が妹だと、手がかかりそうだから嫌ね。」とバッサリ断られてしまった。笑っているから冗談と分かるけど、今のは心にグサッときた…。





その後しばらく会話をした私達は、結構時間が経っていたのもあって、今日はもう帰ることにした。

…初めての女友達に浮かれていて、帰り道スキップしているとこを雄大に見られて、苦笑いされたことはもう気にしない。



いっそのこと笑ってくれた方がよかったよ……

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