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3、お隣さん


「ねぇねぇ!一緒に登校して来てた人って彼氏っ!?」

「めっちゃイケメンだったよね!」

「どうなの!?あの人と付き合ってるの!?」


あの後、注目を浴びながらも登校して何だかんだで無事に入学式を終えた私は、HRのためにクラスに来ていた。初めてのクラスに緊張して扉を開けると、クラスにいた数人の女子が私を見つけた瞬間詰め寄ってきた。

話題は勿論、朝のこと。

あぁ…高校でも私の平穏がなくなりそうだ…


「違うよ…家が隣で、幼馴染みだから今日だけ一緒だっただけ!」

「「だよねぇ〜、よかったぁ!」」


私が慌てて否定すると、彼女達は安心したように返答してきて、私狙っちゃおうかな!なんてキャピキャピとした会話が聞こえてくる。

…そろそろいなくならないとやばい。

今までの経験から、この後、彼女達から言われるお願いは大体予想できる。私はそのお願いを叶えることは絶対出来ないのだ。

だから、言われる前に逃げないと…


「ご、ごめん!もういいかな?」

「あ、うん。いいよ!引き止めてごめんね〜」


よっしゃ!きたこれ!

私はその言葉を聞いた途端、足早にその場を立ち去った。その直後に、あ。紹介してっていうの忘れた!という声が聞こえたが。

うん。私は何も聞いていない。そのお願いを彼にしたところで、聞いてくれる確率は0%だ。



私はあの場を抜けれたことに心底安心しながら、黒板に貼ってある座席表を確認して自分の席に座った。

隣の席の人はまだ来てないけど、どんな人だろう?

名前からして女子じゃなさそうだけど…。せめて大翔みたいな性悪野郎じゃない人がいいなぁ…


HRが始まるまで、私は自分の席で本を読んで待つことにした。

この本新しいシリーズ出るのずっと楽しみにしてたんだよね〜!昨日もついつい夜遅くまで読んじゃってたし。




ガタッ

隣の椅子を引く音で、本に没頭し続けていたことに気づく。

あ、お隣さんやっと来たんだ!

どんな人かワクワクしながら、私は笑顔で横を向いた。

そしてそのまま固まってしまった。


「……あぁ?んだよ?」

「…イイエ、ナンデモアリマセン。」


…やばい。やばい。これ、ガン飛ばされたよね!?

さっきと比べて教室が異様に静かなのは、絶対この人が原因だ!

教室の体感温度が2℃ほど下がった気がする…。

だ、だれか……この空気をどうにかしてくれっ!


「お〜、席につけー!HR始めるぞ!」

声をかけて教室に入ってきた担任の姿が神に見えた。

いや、ほんとに。大袈裟なんかじゃないよ…


というか、今のいままで忘れてたけど、肝心な一番の問題が解決してない……

待って、私の隣ってこの人なわけ?

バレないように隣をチラッと見る。

短髪の赤髪に複数のピアス、制服は既に軽く着崩してる…。

間違いない。この人―――



「……何、見てんだよ。」

「スミマセン。」



お隣さんは、ヤンキーでした。



…私、高校で無事に生活できるのかな?


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