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とあるイベントNPCの見る世界  作者: 鷹野メツ
第一章【始まりの町レクサスとポーション騒動】
9/27

畑荒らし

用語集投稿しました。

用語集はこれからもちまちま増えていく予定なので、いちいち報告していたらキリがないです。ですので、改稿の際に報告しませんので、ご了承下さい。

「それで、お父さん。薬草が無くなったって、どういうこと?」



晩御飯を食べ終え、先程から気になっていたことを聞いた。

今は、レイ兄以外の皆が、晩御飯を食べていた時の席に座っている。レイ兄は食器を洗っているので座ってはいないが、台所で私達の話を聞いているのだろう。


「あー、そうだな。それなんだが……。分かっていると思うが、薬草はうちの畑でしか、今は採れていない」

「うん。たしかレクサスの周りには、薬草を食べる魔物がいるから、町の中の畑で育てるか、王都からくる商人さんから買わなきゃいけないんだっけ」


たしか昔、そう聞いてた気がする。……畑、お父さんに任せっきりじゃなくて、たまには自分でお世話とかした方がいいのかなあ……。


「そうだ。で、薬草を育てることができているのは、この町ではうちのとこだけだ。何故なら「薬草を育てられるほど広い畑を持っているのは、はうちぐらいだから。でしょ?」…そうだ」


薬草は、元々広大な草原に生えていたからか、余程大きい畑でないと、まず育ってくれない。薬草を育てる上で、一番大事なことだ。

……なんかお父さん、こう、遠回しにっていうか、回りくどいっていうか……何ではっきり言ってくれないんだろう。

ミツ姉もロイ兄もルーベンスも、皆が皆表情暗いし……そんなに伝えたくないことなのかな?


「お父さん、前提はちゃんと分かってるよ。……もしかして、私に伝えづらいことなの?」

「……まあ、伝えづらいことではあるな。あー、じゃあ一言で言うぞ。……畑が、荒らされてたんだ」



え……?


「だ、誰が?!そんなことしたら、薬草が……!」

「わからない。少なくとも、複数の人だというのは分かっている。足跡がついていたからな。薬草は……数が減っていたから、犯人たちが持ち去ったんだろう。残りは全部枯れていたよ」

「そんな……」



犯人は誰なのかとか、何のためにとか、色々疑問はあったけど……私は愕然とするしかなかった。

怪我を治したり、魔力を回復したりするのは、主に薬草と、薬草から作ることができるポーションでやっていた。回復魔法も、怪我を治すことに関してはポーションと同じ効果があるけれど、魔力を使うから多用は出来ないし、そもそも、皆がその才能を持っているわけじゃない。当然、回復魔法が使えない人はもちろん、使える人だって、回復はポーションに頼ることになる。


じゃあ、そのポーションが消えたら、どうなるのか。


冒険者は、まず外を気軽に歩くことは出来ないだろう。冒険者同士パーティーを組めば、無傷で魔物がいる場所を通ることが出来るかもしれないが、あって当然の強力な相棒が無くなっても問題無いなんてわけがない。

そして、薬草のもうひとつの入手手段である、商人から買い取る方法は、この町にいる冒険者が王都まで行って、商人の護衛依頼を受けこの町まで来てもらうのが、今まで通りの方法だった。


ポーションが作れなくなった今、残り少ないポーションを冒険者のパーティーに全部渡して、王都まで行ってもらうという方法もあるが……失敗したらもう後がないし、そもそもポーションがどれだけあるか、よくわかっていないのだ。

道具屋ではポーションを沢山売っていたが、異邦人さん達が現れたことによって、急激に数を減らしつつあるし……あ。


「そう、そうだよ、異邦人さん達にも、手伝って貰えばいいんだよ!」

「ナ、ナツリム?何を……?」

「うちの畑の薬草が皆枯れた、だからポーションを作ることができない。……じゃあ、王都に行って、商人さんに薬草を売って貰えばいいんだよ。町の人だけじゃ無理だけど、異邦人さん達に手伝って貰えたら、きっと無理じゃないよ!」

「そ、そうかも知れないけど……」

「じゃあ私、冒険者ギルドに依頼してくるね!」

「あ、ナツリム待って!」
















この時の私は、ちょっと冷静じゃなかったのかもしれない。


後になって考えて見ると、この時、何の警戒も抱かずに、異邦人に頼るということをするのは、ちょっとまずかった。

薬草が無くなった場合、町の人には良いことが全然ない。さっき言った通り、デメリットだらけだ。それに、この町で今、ポーションを作れるのは、私だけだ。町の人は薬草を必要としない。


今までならここで、犯人の手がかりは完全になくなってしまうのだけど……今回は今までとは、ちょっと違った。

今は町の人以外にも、人がいる。



異邦人達だ。



お父さん達が言い淀んだのも、犯人に心当たりがあったのかもしれない。

もっと、よく話を聞いて、考えるべきだったのだ。

私は無意識に、疑いたくないと思っていたのかもしれない。



とにかく私は忘れていたのだ。





世の中いい人ばかりではないのだ、ということを。










《【イベントNPC】ナツリムが、選択肢『異邦人を頼る』を選択したため、これより突発イベント『薬草を入手せよ』を開始します。》

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