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とあるイベントNPCの見る世界  作者: 鷹野メツ
第一章【始まりの町レクサスとポーション騒動】
14/27

初戦闘?

そして翌日。時刻は昼の一時十分前。


私はレクサスの町西門前で、沢山の人に囲まれていた。



「ナツちゃん!魔物もそうだけど、怪我とか病気には注意するんだよ!」

「魔物は全部他の奴らにまかしとけ!なんなら盾代わりでもよし!」

「護衛やんなら、命かけなきゃ男じゃねえ!あいつらにまかしとけよ!」


えー…っと、ちょー、っと、過激じゃないかな?

私のこと心配して言ってくれてるんだろうけど…私以外の人も心配してあげようよ…。


まあ、そんなこんなな、出発十分前。









十分後



時刻は八時丁度。


皆集まっていて、準備もばっちりみたい。


時間ギリギリになって異邦人さん達が大勢集まったのには驚いたけど……どうやら、昨日の会議室には来ていなかった、他の異邦人さん達にも声をかけていたらしい。昨日来ていた人の半分くらいは常連さんで見知った人が多かったけど、今日は初めて見る人も沢山いる。



全員に最終確認の呼びかけをしたところで、町長さんや町の人に見送られて、私達は王都へ向けて出発した。











平原を通るのは、結構楽だった。


先頭を、アンバーさんがリーダーの第一パーティーで警戒して進んで行き、その後を、私と異邦人さん達の集団がついていく。


殿には、お父さんがリーダーの第二パーティーが、周囲に気を配りながらついてくる。


気配察知の才能を持つ異邦人さんがいるようで、魔物の集団を回避して歩くことができ、談笑が出来るほどにはみんなリラックスしていた。





「それで、畑荒らしの犯人、誰か目星ついてたりするの?」


冒険者の話は基本的には、面白かった冒険とか、失敗したときの話とか、そんな感じだった。

だからなのか、自然とアイテムの話になっていって、ポーションとかの話になって。

そんな流れで、異邦人さんの誰かがそんなことを聞いてきた。


「んーと、まだ、よくわかってないんです。町の人がそんなことするはずないって、思ってるんですけど……」


でも、こんなことが起こったんだから、誰かがそんな考えをしていてもおかしくはないんだよね。


ちなみに、魔物が犯人っていうのは、絶対に違う。

町に女神様の加護を授かるための石碑は壊れていなかったし、あの荒らされ方は人間じゃないと無理だと思う。レクサスの近くにいる魔物は枯れている薬草だって全部食べてしまうから、不自然に少し減っているだけなのはおかしい。そもそも、足跡がはっきりと残っていたし。


「そっか。僕達も犯人探してるから、なにか分かったら教えるね」

「はい!ありがとうございます」


まだ知り合って短いのにこうやって手伝ってくれるし、犯人も捜してくれてるみたいだし、優しいな。

異邦人さん達といると、幸せな気持ちになるなあ。


そんなぽわぽわとした暖かい胸中に、なんだか照れてしまう。


「あ!今のナツリムちゃん、すっごい可愛かった!」

「なにい!?ちくしょー!!見逃したああああああ!!」



なんか、一気に恥ずかしくなっちゃったな……。









「お!前方にスライムの群れだ!こっちに向かってくるぞ!」


平原を体感で半分ほど越えた頃。

先頭にいたアンバーさんが、そう伝えてきた。


戦闘無しのほのぼのタイムはここで一旦終了みたい。




スライムは、物理攻撃がとても効きづらくタフだ。

その分攻撃力は低いし、魔法に対する防御力も低いのだけど。

だから私みたいに、魔法を使える人が積極的に前に出て、集中砲火をするのが基本なのだ。


でも、異邦人さんを入れても、魔法が使える人は少ないみたい。

私も杖を構えて、異邦人さん達と一緒に前に出る。


周りの人が詠唱をし始め、数発スライムの群れにあたった頃。

私も攻撃しようと詠唱し始めたところで、私の少し前、私をかばうように最前列に誰かが前に進み出た。



真っ赤な髪は、炎のように風で揺れていて。


フレイアさんはいつもの優しげな雰囲気のまま、余裕の表情でスライムの群れを眺めていた。



「ナツちゃんが戦う必要はないよ」


私に向かってにこりと笑いかけると、再び前を向いて、杖を持つ手を前に向けた。


「ファイア・ランス!」


炎の槍が、残りわずかになっていたスライム達を容赦なく貫き焼いていく。


「ああいう物理の効きにくい相手は、焼却するにかぎるんだよね」


いつもと変わらない笑みを浮かべて、そう言った。




一撃で魔物が消えていくのは、凄腕冒険者なら見慣れた光景なんだろうけど……この世界に来て、たった一週間でそれができるなんて、凄いと思った。


フレイアさんが住んでいる世界には魔法が無いって聞いてたから、なおさらだ。

……それなのに、もうこんなに強いなんて。

異邦人さんには驚かされてばかりだ。


まあでも、守ってくれたんだから。



「フレイアさん、ありがとう!」





まずはお礼を言わないとね!

だいぶあっさり片付いちゃいましたが、まあ廃ゲーマーにとっては平原はもう余裕です。


フレイアさん、名前でわかった人もいると思いますが、火魔法使いです。女っぽい名前なのは、彼おっちょこちょいなので…という設定があったり。

ちなみに彼、プレイヤーの中でも現時点ではトップクラスです。だって廃ゲーマーですから。

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