悪魔はそこに
ここは日本近海。昔は色んな伝説があった。その海に血が付いた本を投げると、一週間後、その本がトイレに戻り、一人ずつ家族が死ぬという噂。ネットでの噂では死体の腸だけ不自然な形で廊下にころがっているのだという。そして、海に本を投げ捨てた張本人には被害がないとかあるとか...
あらぬ噂を信じた好奇心旺盛な少年が本を投げ捨てたそうな。
そして、一週間、二週間、何も起こらず。
そして、三週間会ったある日。悲劇が彼を襲う事になる。
その少年は、噂などなかったように忘れて、友達と遊んでいた時の事。
「そういや、お前、あの噂の奴、やったんだって?」
ゲームを片手に友達が言う。
「ああ、やったけど、何もなかったよ。 ただの噂だって、ただの」
「まぁそりゃ、そうだわな」
「そういえば、今日ってお前と俺だけ? 誰か呼んでないの?」
「いや、一応、呼んだんだけどな。 おかしいなぁ。 三十分くらい前にメールでもう来るって送られてきたきりなんだよな」
「誰、呼んだの?」
「あいつだよ。 ミラノ、ミラノ」
「ああ、あいつね。 てか、あいつ、何でそんなあだ名なんだっけ?」
「確か、給食の時に何も食べないのにパスタが出た給食の時だけおかわりしてたからじゃなかったっけ?」
「それで、ミラノか あだ名を付けた奴は天才だな」
-ピンポーン
「あっあいつかな。 ちょっと、行ってくるわ」
「了解」
ドアを開けると、全身ずぶ濡れのミラノが居た。
「どうした?」
ミラノは何も言わずにただ歩いていた。
「おいおい。 床が濡れるから、風呂入ってけ」
そう言うと、風呂場の方へただただ進む。その表情は何かに怯えてるようにも見えた。
僕は触れてはいけないと思い、もう一人の友達が居る、部屋へ戻った。
「あれ? ミラノは? どうした?」
「いや、何かびしょ濡れでさ。 床濡れるのもあれだし、風呂入らしたよ」
「え 何でびしょ濡れ? 今、雨なんか降ってないだろ?」
「そうなんだけどさ、何か何も聞かないでくれオーラが出ててさ 何も聞けなかったんだよね」
これが、悲劇の始まりであった。
「そういや、ドリルってあだなの奴もいたよな?」
「ああ 居た居た。 懐かしいなぁ」
「あいつは何でドリルなんだ?」
「う~ん それは分からんな 何かドリルっぽいからじゃないの?」
「なるほどねぇ」
そんな話で盛り上がっていると、もう一人の友達がどうやら、後ろに視線を感じたらしく何気に後ろを向く
「わっ びっくりした。 ミラノじゃねぇか。何か一言言ってくれよ」
「やっぱり、お前、おかしいって。 どうした?」
俺はすでに気味悪がっていたが、今ので完全に恐怖へと変わっていた。
目の前にいる友達もそうだろう。 ミラノを見つめたまま怯えてるようにも見えた。
「わっ なんつって」
そう言いながら、ミラノが両手をお化け屋敷の幽霊が良くするうらめしや~の形で上げた。
「もう びっくりさせんなよ」
「ごめん ごめん いやだって、渡があの噂試したっていうからさぁ」
「てことはあれ演技かよ。 お前、俳優の素質あるかもな」
「え? そう?」
「あるある。 俺、あの時はマジで信じちゃってたから」
「で、どうだったの? その噂の出来栄えは?」
「あ~ 別に何も起こらなかったよ」
「そうなのかぁ。 まぁ噂だしな」
「まぁ所詮噂ってこったろ」
ただミラノはふざけていただけだった。
俺はその時、安心した。その安心とともに少しの言い切れない恐怖感を少しずつ感じていた。あの箪笥の向こうで。
あのミラノの名演技から一時間は経っただろうか。
「なぁなぁ、このアイテムどこで手にはいるんだっけ?」
「あっ確か、隠し通路にあったよ」
「出た。 攻略厨~~」
「またそれか。 結局は皆、攻略見ないとだめなんだから、別に関係ないだろう」
「まぁ確かに」
相変わらず、この二人の会話は面白いなぁ。 漫才見てるみたいだなぁ。
「何? どうした? 渡」
「いやいや、ただ閲覧してただけ」
「なんじゃそれ」
「そういや、このゲームの前のシリーズ、相当やり込んだなぁ」
「分かる、わかる。 俺なんて、千時間行った事あったからな」
「なんというか...凄いな」
「一瞬、凄いなの前に間があったのが気になるが...」
「そういや、このままじゃ面白くないし、怪談話でもする?」
「おっいいね」
ミラノもあいつも乗り気のようだ。
俺は少し、不安があったが乗ることにした。
「それじゃ、俺から話そうか。 俺の親戚で、霊感が強い人が居るんだけど、その人とその人の友達が心霊スポットに行ったんだって。 で、現地でその友達の友達と合流したらしい。 その現地にいた人は初対面だったらしんだけど、一応、そこでは二人乗せて、車を運転して」
「運転してたのは誰なの?」
「ああ 運転してたのは親戚の友達らしい。 ちなみに前の席に親戚とその友達で、後部座席にその友達の友達二人乗せてて、それで、車を発進させて、廃墟にいったらしい。
その廃墟、結構有名らしんだよな。 まぁ俺は知らないけど。 で、そこの廃墟に行って、車止めて、いったらしい。 後部座席にいた、二人の内の一人が下りてこなかったそうなんだけど、行きたくないのかなぁって思って三人で先にいったらしい。
中に入ったら、ボロボロの机とかボロボロの椅子とかで、溢れてて、まぁまさに廃墟って感じだったらしい」
「元は学校とかなの?」
「ああ そうらしい。 で、写真とか撮ったりして、その日は家に帰ったんだって。 それで、写真見たら案の定、顔かなっていう写真が何枚も見つかって、お寺に行ったら、危ないから燃やしましょうって言われて燃やしたらしい」
「それは怖いなぁ」
「でも、一番怖かったのはこれじゃないらしいんだよな」
「えっ どういうこと?」
「いや、実は後に親戚が友達にあの時、車に残った人、逆に凄いねって言ったらしいんだよ。 そしたら、その友達は三人しか居なかっただろって言ったらしくて、その親戚、霊感強いから見えたんじゃないかって話」
「おお 結構インパクトあるなぁ」
「後半こええ」
「しかも、廃墟で撮った写真思い出したらその写真に映ってた顔とその時に来てた顔が似てたって」
「うおお こわいいいぃ」
-ガタっ
そこに居る、三人が一斉に後ろを向いた。
「今、何か音しなかった?」
「いやいや、怖いから止めろって」
「怖いから三人で見に行こうぜ」
そう言い出したのはミラノだった。
俺はこの三人だったら大丈夫かなと思い着いていくことにした。
俺はここまで、広い部屋に後悔した事はない。
長い廊下がおどろ恐ろしい雰囲気を醸し出す。
-バチバチ
「うわあああ」
さっきまで何もなかった、電球が突然、点滅し始めた。
「ちょっと、これ、やばいんじゃねぇか」
「でも、気になるじゃん。 さっきの音。 三人居るんだし、大丈夫だって」
「何かあったら、おまえのせいだからな」
「はいはい」
僕は怖くて、声も上げられないのに二人は...
やっとの思いで箪笥に着いた。
「はぁ やっぱり、何もないじゃん」
「なんだ。 もう上戻ろうぜ」
そう言った瞬間だった。
-ドタドタドタドタドタドタドタドタ
俺たちの侵入を拒むかの如く、二階のあちこちから、子供の足音らしき物が聞こえる。
その音はどんどん一階に近づいてくるのが分かった。
「近づいてくるよ。 どうすんの」
「三人別々の場所に一旦、隠れろ」
-ドタドタドタドタドタドタドタドタ
ミラノは風呂場にもう一人の友達は押し入れにそして、俺はトイレに。
その音はどんどん近づいてくるのが分かった。
-ドタ ドタドタ ドタドタドタ
階段を駆け上がる音。
その音はしだいに近づいてくる。
無駄に広いトイレが恐怖感を煽る。
「助けて、助けて、助けて、神様、神様」
そう祈るしかなかった。
「うぎゃああああああ」
ミラノの叫び声だった。
俺は腰を抜かし、もう立てないでいた。
すると、もう一人の友達の叫び声も確かに聞こえた。
俺はもう耐え切れなくなり、放心状態だった。
次第に足音も小さくなり、五分、十分、十五分、時間がたっていた。
足音は完全に止まる。
-ギー
隣町の蝶津市の民家であるニュースが流れていた。
「それでは、ニュースのお時間です。 今日未明、○○市で、三人の少年の遺体が見つかりました。 遺体は見るも無残な状態になっており、三人とも腸が取り出され、不自然な形で横たわっていました。 そして、一人は風呂場にもう一人は押し入れにもう一人はお手洗いに、これを見て警察は快楽殺人者の犯行とみて、捜査を続けています。 子供しかいなかった状況からみて、子供しかいなかったことを知っている人物の犯行とみて、捜査を進めるとしております。 以上速報でした」
ホラー小説に挑戦してみました。短編ですのでご注意を。
誤字脱字があるかもしれません。もし、あるようでしたらお気軽にご注意くださいませ。
感想お待ちしております!!