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0日目
天使だからってみんないい奴なわけじゃない。
望んでなったわけでもない。
天使だって職業だ。
俺は少なくともいい奴でも望んでなったわけでもない。
神様の命令だから仕方なくやっているだけだ。
「はい、この1週間分。」
そう言って神は俺に分厚い紙の束を渡す。ざっと300はありそうだ。
「相変わらず多いですね。」
ため息混じりに俺が言うと彼は苦笑しながら言った。
「世の中にはいっぱいいるからね。はい、ちゃちゃっと幸せにしてきてよ。」
「でも1週間でこの人数はちょ…」
「あ、待った」
今度は彼女になった神が紙の束をひっこめる。
「この人幸せにできたら300人チャラにしてあげる。」
そう言いながら渡されたのは、1枚の紙。
たった1人でいいのか?
「幸せにできたらだがな。」
今度は彼だ。
今までだって何人も幸せにしてきたんだ。
一人なら容易い。
もちろん俺は引き受けることにした。
「もし幸せにできなかったら倍の600人にするからね~」
そう言って手をヒラヒラ振る。
さて仕事だ。
一体どんな人物なのだろう、
浅葉唯とは。