門出
ついにプロローグが終わったって感じです。
前回で変な魔術を覚え、今回で更に強くなります。
最強まっしぐらですね。
えてしてこの世は理不尽だ。
思うようにいかないのが常だ。
だから人々は妥協し満足しようとする。
だが僕は自分を騙していたくない。
足掻いて足掻いて、見苦しく、泥臭く理想を追い求めていきたいと思う。
うん。
でも、コレは。
ちょっと、理不尽…
「ふははははは!まだまだだ!くらえ!《ブロックフレア》!」
「あ、っく!《ザ・ワールド》!」
時が、止まる。
目の前には見たことないほど大きな炎球が。
はぁはぁ…
命拾いした。
さて、僕は何をしているのだろう?
なんでこんなムチャクチャなのと戦わないといけないのだろう。
僕は止まっている火球を避けて術を放った張本人を眺めた。
それは真っ青な甲冑に覆われ、背中には白く美しい翼がついてた。
顔も兜の中にほの暗い目の光があるだけ。
頭の両側面についている小さな羽がチャームポイントだと自分で語っていた。
体長は二メートルぐらいだろうか。
魔術師と同じく足は宙にういていた。
そう。
それは精霊の王。
エリファリオンだった。
ドォォォン!
「…ー!むっ?素早いな?あれを避けるとは。流石はミヤビの弟子よ」
言って再びくはは、と大笑した。
エリファリオンは何故か戦闘狂で、強い相手がいることが嬉しいのだとか。
…精霊って平和主義で争いを好まないって聞いていたのだが…
「何をぼーっとしている?次行くぞ!《アクアグローブ》!」
呪文とともに押し寄せる激流。
捻れながら何本も飛んでくるそれは、一本でも当たれば人間など粉微塵だ。
「《インデグ二ション》!」
そんな危険なもの黙って見ている道理はない!
雷の呪文が発動し、八本の水の竜を破壊した。
どうやらこの呪文は自分の好きなように大きさ、数を変えれるらしい。
…何とも、ズルいというか、なんというか。
「ほう…もうそこまで操るか…やはり汝は魔術の才能があるな…魔力がないのがおしいな…」
そう呟いたのは、高みの見物、本当に高い所で浮かびながら僕らの戦闘を見つめている、魔術師だ。
…あっちょっとカチッときた。
「むぅ…お主。本当に人間か?この魔術も聞かぬか。仕方がない…」
フッ
精霊王の体がブレた。
シュン。
そんな音が聞こえた次の瞬間にはもう僕の目の前にいた。
刀が振られる!
「っ!《ザ・ワールド》!」
…間一髪。
なんとか間に合ったようだ。
首と胴体はくっついている。
全く、危ないところだった。
この魔術には命を何度も救われている。
さて、もうこんな馬鹿げた戦いは終わらそう。
「止めだ。《インデグ二ション》」
僕の腕が光に包まれる。
少し時間を使い、今自分に出来る最出力で発動する。
その後、安全地帯まで下がることを忘れない。
「そして時は動き出す…」
バリバリバリ!
「グアアアア!」
ぷしゅー…
そんな安っぽい音をたて、精霊王は倒れ伏した。
「もう、起き上がってくれるなよ…」
試しに足でちょっとつついてみるが、動く気配がない。
どうやら、しっかり喰らったようだ。
「こら、精霊を足蹴にするでない。王様だぞ?死んだらどうする」
いつの間にか僕の近くにいた、魔術師が言った。
本当にいつも唐突だ。
「だからこそですよ、王様がこんな簡単には死なないはず」
「こんな簡単って…汝は時を止めて、逃げらんない状態でかなりでかい雷当てただろう」
「そんな…当てたって、人間の力ですよ?」
「…汝の魔術は我のだ。この世界でまともに喰らってただですむものはいない」
…
え?
もしかして、やっちゃった?
「大丈夫だ…早くキュアをかけてやれ」
どこか疲れたような表情を浮かべた魔術師が言った。
「あぁ、そんな魔術ありましたね。ではさっそく…"キュア"!」
僕はそう言うと、未だに煙がプスプスいってる精霊に治癒の光をあてた。
「っくは!ここは一体!?」
精霊王が目を覚ますなり叫んだ。
記憶がとんでるー…?
「エリファリオンさん、大丈夫ですか…?」
ちょっとおっかなびったくり尋ねた。
やっちまったかなー?
「ん、?あぁ!お主!」
「気がつきましたか…」
ほっ。
「ふむ。我が魔術は完璧だな」
「お主ら…はぁ。まぁよい。ひさびさに強き者に出合えたしな」
そう語る、精霊王の表情は嬉しそうに見えなくもない。
ま、甲冑着てるからよく顔見えないけど、なんか雰囲気が。
「おっ!そうだ。エリファリオンよ、エリアと契約をして欲しいのだ」
今思い出したようで、魔術師は精霊に目的を話す。
あぁ、そういえばそんなコトあったな…
「うん、契約?まぁ、そうだな。…よし、エリアとか言ったかお主?」
「はい」
「うむ、そうだな。お主はわしに勝っているしな……よぅし。契約してやろう!行くぞ?………《我が力を担い、我が王を着るモノよ。血の契約によりかの力を得よ》」
…
ん…?
「えっと…なにもありませんが?」
「…うむぅ?」
そう唸る精霊が首を傾げる。
いや、全然可愛くないんで。
甲冑が首傾げるってったって、獲物を見定めているようにしか見えん。
「………ん~、なんかな、アレだ、この契約な、四の精霊達の眷属にエリアを主とするようにするってヤツでな?四の精霊にやってもらうんだけど、なんか音信不通なのだ…」
なにげに凄いことしようとしていたんだね…
てゆうか
「音信不通…?精霊とですか?」
「うむ、てれぱすぃが通じぬ」
「なんですか、てれぱすぃって…」
「ふはは!説明しよう!」
「うわっ!」
変な声を出すな!
驚いたじゃないか!
「ふふふてれぱすぃとはな…」
僕の驚きなど知ってか知らずか、魔術師はどや顔で説明し始めた。
なんかちょっとやだ。
まぁそう思った所で説明は続く。
魔術師は自慢げに自分のエピソードを交えながら語る。
まぁ要約すると、あれだ。
魔術、また魔術装置なしで遠く離れたひととも意志の疎通が可能らしい。
ちなみに範囲無制限。
は、どんだけ。
「なるほど、じゃなんで音信不通なんです?」
「うむぅ…わからない……」
「ええぇ!?いんですか?」
「まぁいいんじゃないのか?何かあったとして、精霊がどうこうなるとは思えん」
そんなもんかぁ…?
「しかし、そうなると計画が…」
顎にあてなにやら思案しているらしい魔術師が呟いた。
しばらく思案しているとなにか閃いたらしい、目が見開いた。
「うむ!精霊の加護が得られないなら我謹製の道具を使えばいい!」
なに?そのパンがないならお菓子を食べればいいじゃん的理論。
かの暴君も真っ青だ。
「おぉ!こちらではあの迷言は男が言ったのだったな…しかしこれは女が言う所に…」
?
なに言ってんだろう?
よくわからないが、まぁ、魔術師だし。
心の声も読めちゃうし。
てゆうか読むなよ。
愚痴を言っても先に進まないな。
僕はさっきからまだブツブツいってる魔術師に声を掛けることにした。
「もういい?」
「…ん?あぁ…いい悪かった。それで道具のことだが…」
そういって、どこからともなく腕輪やらネックレスだかを引っ張り出す。
…いやいや、どうなってんだよ。
「これは…」
嬉々として、道具の説明をする魔術師は、話しかけてはいけない気がした。
「おい。ミヤビ。これはどうだ?」
そんな中、王様が乱入してきた。
その手にはなにやら指輪が…
おいおい。
「おお?よいな!」
…おいおい。
「じゃあこっち…」
「いやいや、こちらの方が…」
…おーい。
「これ付けるなら、これも…」
「こちらも捨てがたいぞ?」
…
この当人を無視して続く会議は、遠い記憶をチクチク刺激して。
なにか、少し微笑ましく思えた。
そうして。
「よし!決まった!」
「うむ、完璧だ!」
ぐっ!とお互いの手を握る二人の表情はすげーいい顔だった。
「やっと終わり…」
いくら微笑ましいっても流石に限度というモノがある。
長かった。
「じゃ早速付けてくれ」
「はいー」
魔術師が渡してきた腕輪やらはそこまで華美な装飾はなかった。
下級な貴族が付けるぐらいだろうか?
まぁ、キラッキラしてるのを付けられても困るのでいいか。
「よし!出来ました」
最後に指輪を付けて完成。
「うむ、似合っている」
と魔術師。
ありがとうございます。
「なんかつけなれていないか?」
と王様。
その問いに少し、自分の顔が曇るのが分かった。
いけない、平常心。
「まぁいいじゃないですか、そんなことは」
そうか、悪かった。
と王様が応えた。
どうも僕の表情の変化が分かったらしい。
深く聞かなかったのは優しさか。
それともただ単に興味がないのか分からなかった。
分かる必要もないと思った。
「さ、これの使い方だが…」
「お二人様、色々ありがとうございました」
そろそろ、この精神世界とやらから出る頃だろう。
「あぁ。気にするない。我の気まぐれだ」
「わしは何もしとらん。ただ強者と戦えて良かった」
そう話す二人は優しい顔をしていた、気がした。
さぁ、じゃ行きますか。
「ではさようなら。《ルーラ》!」
ばしゅん!
僕の体は白い、全て始まりの空間から姿を消した。
僕はこれから野望のために歩んでいく。
貰いものの力だろう と全力で使う。
見ていて父さん、母さん。
必ずアトホーフェン家を復興するから…
文章中に書きませんでしたのでここで補足します。
《道具一覧》
1:オーガの腕輪
(某韓国RPG小説のアレみたいなヤツです。単純な力がヤバいことになります)
2:ルーラが使えるようになる指輪
3:御守りのネックレス
(リフレクが使えちゃいます)
で、全てです。
うーん、強くしすぎですか?
ここまで呼んでいたただき感謝感激です。
感想お待ちしております。