カワリハテタセカイ
「昔はよかった」なんて言うつもりはありませんが。
札束を積み上げては崩してがそんなに楽しいか?
大枚はたいて退廃を買い占めた
そのさきにどんな幸せが待ってるのだろう
縦に流れない泥水に
唇を尖らせて啜ってら
喉の渇きを嫌う奴ほど
自分がいま口にしてるものが何かに気づかない
カワリハテタセカイ
蝶の背を破って這い出た蟲は
翅もなく湿った昏がりで腹を引き摺る
カワリハテタセカイ
ユートピアの面影を残さずに
文明にこじつけた禁じ手を定石に並べて
札束を懐に忍ばせりゃそんなに安心か?
生涯を費やし老害に成り下がれ
そのあげくどんな死に顔を浮かべるのだろう
縦に割られてきゃ居着くにも
肩幅 狭くなるはずなのに
尻が小さく軽い奴ほど
ひとたび腰をおろしてしまえばそれきり動かない
カワリハテタセカイ
龍の面 被って痩せた尾の蛇
しかたなくおのれの身を食んで腹を満たすよ
カワリハテタセカイ
ディストピアのふたつ名が手に馴染む
黎明をこじあけた輝きも痕跡を失い












