表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堅物不器用な騎士様に告白されたら城が半壊しました~物理的に危険すぎる契約婚約生活はじめます~  作者: 甘酒ぬぬ
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/14

1-3 どうしてこうなったか全然わかりません!


「――騎士カインハルト・グラスベルク。そなたは先の辺境における戦にて、寡兵(かへい)でありながら数多(あまた)の魔物を打ち破り領地を護った。その功績、王国にとり大いなるものである。よってここに国王陛下の御名において、その武勇と忠誠を称え、表彰する」


 王の補佐官が口上を述べると、壇上の玉座に座っている王が満足そうにうなずいた。


 補佐官はその所作を確認してから、ひざまずくカインハルトに一振りの儀礼剣を授与する。


 カインハルトが剣を受け取った瞬間、歓声と拍手が巻き起こった。大広間にあますことなく響き渡る。


(優秀な騎士様なのね)


 急な傷病者もなく、良い意味で手持ち無沙汰なマリエルは、救護所の受付からカインハルトの姿をぼんやりと見つめた。


 救護所と言っても衝立(ついたて)で区切っただけの簡易的なスペースだ。他の班員も暇そうにしている。タリアに至っては堂々と居眠りを決め込んでいた。


 そんな中、クラリスだけが硬い表情で救護所の奥に控えている。表彰式に興味がない、というよりも、意識して見ないようにしているようだった。


(クラリス副班長とは仲が悪いんだっけ)


 マリエルは視線を壇上へと戻す。


 礼装軍服に身を包んだカインハルトは、調剤室で見かけた時よりも優雅で勇壮だった。装いが騎士らしい高潔さと屈強さを引き立てている。男女どちらの視線も集めずにいられない。


(格好良いなぁ。女の人に酷いことを言うような人には見えないけれど)


 カインハルトには他人を寄せ付けない冷厳さがある。しかし、高潔さを求められる騎士が無闇に他者を辱めるようなことをするだろうか。


 人混みにまぎれるまでカインハルトを目で追ってしまい、マリエルは慌てて頭を揺すった。調剤室の時のように何か起こってはまずい。


「……ちゃん仕事としなきゃ」


 マリエルは自分に言い聞かせるように呟き、目蓋を閉じてゆっくりと深呼吸をした。


「――すまない。事前に頼んでおいた物品を受け取りに来たのだが」


 若干困惑したかのような男性の声がマリエルに投げかけられる。


「あっ、はい! 少々お待ちください」


 マリエルは急いで笑顔を作り、机の下から箱を取り出した。中には軟膏タイプの回復薬と解毒薬が入っている。


(引き渡しはこの一件だけよね。発注したのは――)


 眼鏡を押さえて顔を上げると、つい先ほど表彰されていたカインハルトの姿があった。小柄なマリエルよりも頭二つ分ほど身長が高く、意識して見上げないと顔が見えない。


「っ……お待たせいたしました。カインハルト・グラスベルク様ですね。ご注文いただいた軟膏タイプの回復薬十個と解毒薬五個になります。お手数ですが、中身のご確認をお願いいたします」


 声が上擦ったり詰まらないよう、マリエルは事務的な対応を心がける。


 恋衝は感情の揺らぎに反応して勝手に発動してしまう。


 男性に余計な感情をいだいてはならない。

 何が起こるかわからないのだから。

 ――あの時のように。


(少しずつ男の人にも慣れていかないと。家に引きこもらない限り、人と関わらないのは無理だもの)


 マリエルは意を決してカインハルトの顔を見上げた。


 視線がかち合う。

 何故かカインハルトの方もマリエルの顔を見つめていた。


(なんだろう。薬の数が合わなかった? それとも私、変なことでも言ったかな?)


 マリエルは落ち着かなくなり、不自然にまばたきが多くなってしまう。


 カインハルトの長い前髪がかすかに揺れ、隠れていた左目が覗く。


「──好きだ」


 変なことを口走ったのはカインハルトの方だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ