表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤龍亭と天井桟敷の人々  作者: now here man
第一部 邂逅編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/26

星は目を背けている。

赤龍亭は、いつも通りだった。


夕刻を過ぎ、店内には煮込みの匂いが満ちている。

店内には俺とカティとヨシュアの3人だけ。仕事帰りの客が来るにはまだ早い時間だ。


ジョニーは、入口に近い席に腰を下ろしている。


向かいにはヨシュア。

少し背伸びをして椅子に座っている。


カティは、二人から少し離れた席。

葡萄酒を一杯、静かに飲んでいる。


昨日の夜の話は、最初から出なかった。

しばらくして、ヨシュアが口を開く。

「……あの人、捕まえなかったね。」


ジョニーは答えない。

鍋の音を聞いている。

「また、やるかもしれないのに。」


それも、事実だ。

だが、誰も否定しない。


カティが、葡萄酒を置く音だけが響く。

「それでも、終わった、…じゃろ。」

淡々とした声だった。


「終わった、ということにした。」

ジョニーは葡萄酒を一口飲む。


ヨシュアが眉をひそめる。

「それって……。」

「それ以上でも、それ以下でもない。」


マスターが、鍋の火を少しだけ弱める。

「ここは、結果を並べる場所じゃない。」

初めて、マスターが言葉を発した。

「ここは腹が減った者が来て、食って、帰る。それだけだ。」


ジョニーは、皿に視線を落とす。


昨日、路地で殴った感触を思い出していた。

正義かどうかは、どうでもよかった。


ただ、殴った。

それだけだ。


「罰は?」

ヨシュアが、食い下がる。


マスターは、肩をすくめる。


「与えなかったんですか?」

「俺は与える立場じゃない。」

沈黙が流れる。


外で何があったとしても、ここでは無関係だ。


戸が開き、別の客が入ってくる。

夜の空気が一瞬、店内に流れ込む。


しばらくして、俺たちは店を出る。


空の星は消えていた。


俺たちは、それぞれの帰路へ歩き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ