老遊牧民の最後の冒険
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
ムハンマドは、魔女からすべての魔力を奪うことのできる秘薬の調合に取りかかっていた。しかし、その材料は非常に珍しく、入手困難なものばかりだった。たとえば、毒を取り除いたフグの肉、アルビノの人間の髪の毛、ゴリラの爪、ブラックマンバの毒液などである。
一方その頃、ユリシーズのもとに来客があった。彼の古い友人、レオポルドである。
レオポルドは、かつてユリシーズにあのアンティークの瓶を贈った張本人だった。そう、それこそがザヒーラが封じられていた瓶であり、それによってユリシーズとザヒーラは出会ったのだ。
レオポルドは古代の遺物マニアであり、フリーマーケットやオークション、ガレージセールを回っては、珍しい品を安く手に入れ、高く売るのが趣味だった。
もちろん、ユリシーズはすでにザヒーラの存在についてレオポルドに話していた。レオポルドはそれを聞いて、「自分は一体どれだけの本物の宝を見逃してきたのだろうか」と思わずにはいられなかった。
今回の訪問は、NASAの書類を届けに来たついでだった。というのも、レオポルドもまたNASAの職員であり、ユリシーズと同じく宇宙飛行士だったのだ。
ユリシーズはレオポルドを家に招き入れ、一緒に朝食を取ることにした。
2人が談笑しているうちに、ユリシーズの叔父であるディエゴが到着した。彼は「今日はバーベキューでもしよう」と言って、ビールとステーキを手にやって来た。
ディエゴ叔父さんは冒険家だった。若い頃には海軍に所属して世界を旅し、時には遠くペルーのアンデス山脈まで赴いて、非営利団体の教師として働いたこともある。彼はまさに世界中の隅々を見てきた男だった。
だが、そんな彼も今では60歳。さすがに体力的に長期の冒険は難しくなっていた。そこで彼は、デラウェア川沿い、ポート・ジャービス近郊に温かみのある小さな家を買い、余生を穏やかに過ごそうとしていた。
……のはずだったが、ディエゴ叔父さんの冒険心はまだくすぶっていた。
彼は最近、「ゴールドラッシュ」のような金探しをこの周辺の土地で始めようかと考えていたのだ。
その話を聞いたユリシーズは、彼を説得しようとした。
「もう十分すぎるほど冒険してきたでしょう? 今こそ、ゆっくりと休むときだよ。」
だが、ディエゴは首を振って笑っただけだった。
昼食のバーベキューを終えると、ディエゴはユリシーズとザヒーラに別れを告げて帰っていった。
ディエゴはザヒーラのことをユリシーズの「住み込みメイド」だと思い込んでいた。彼にとって、ザヒーラはとても可愛らしい娘で、ひそかに2人が恋人同士になってくれることを願っていた。
ザヒーラもディエゴのことを気に入っていた。
ディエゴが去った後、ユリシーズはアビゲイルの言葉を思い出した。
――「地球の中心部は純金でできているのよ。」
もし叔父がほんの少しでも金を見つけることができれば、その満足感からもう冒険を諦めて、穏やかな生活に落ち着いてくれるかもしれない……。
ユリシーズはザヒーラを呼んだ。
「ご主人様、なにかご用ですか?」と、彼女。
ユリシーズは彼女を見つめながら言った。
「君の力が必要だ。ちょっとした計画があるんだ。」
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