祥太さん
わたしは、祥太さんとほんとうに結婚していいのか、まだ祥太さんを信じきれていなくて、祥太さんにとあるお願いをしてみた。
祥太さんのお部屋にお邪魔してみたいってね。
その言葉を聞いて祥太さんは、とても驚いていたわ。
そして、なんかしどろもどろって感じでね…
今は…ちょっと部屋が散らかってて…無理なんだよねー…。
って、お断りされてしまったの。
でもさ、結婚したらわたしって…祥太さんの部屋に暮らすみたいなのよね。
だから、荷物もほとんどまとめてあるし…。
なんで、これから暮らすのはよくて…今はダメなのかしら…。
…
祥太さんの部屋に行けば、なんかわかると思ったんだけどね。
それに…
真実乃さんが言っていた薬ってなんなのかしら…
そして、真実乃さんは…なぜ祥太さんについてやたらと詳しいのかしら…。
この二人って…もしかして…
…
いやいや…そんなはず…
「あの…祥太さん…」
「あ、今オレのこと祥太さんって言った⁉︎なにか思い出した?」
祥太さんは、目を丸くして少し喜んでいるようにみえた。
わたし、この人のこと祥太さんって呼んでいたんだ?
さん付けなんだ?
真実乃さんは、呼び捨てだよね?
たしか…祥太って呼んでましたよね?
なぜ婚約者のわたしがさん呼びで、真実乃さんが呼び捨てなんだろう…。
…
「桜子?具合悪い?」
「えっ、あー…ううん。大丈夫」
「そう?病み上がりなんだから、辛かったらいつでも言ってね」
…
この人の表情をみている限り…いい人そうにしか見えないんだよね…。
でも…なんか色々引っかかるんだよなー…。
祥太さんは、今のところはいい人そうだけどね…
今日、一日祥太さんと一緒にいたけど…特に具合悪くならなかったな。
真実乃さんが、祥太といて具合悪くなったら薬飲みなって言ってたから、一応薬…持ってきたんだけどね。
なにもなくてよかった。
それにしても…やっぱり一度結婚する前に直接真実乃さんにあって、話をしようとおもいわたしは、真実乃さんに連絡をとってみることにした。
なかなか返信が来ない…
やっと返信が来たかと思えば、今月は無理かも…ごめんね。
だった。
あー…そっかー…、困ったなー。
…やっぱり、祥太さんに直接確かめてみるしかないか。
次のデートのときに、祥太さんに思い切って聞いてみたの。
そしたら、真実乃さんとは同僚だって教えてくれてね。
今月だけ、別の病院に研修に行っているんだとか。
なるほどねー。
だから飲み薬のことも知っていたのか。
わたしが納得していると祥太さんは、
「ほかにも聞きたいことがあれば、ぼくのわかる範囲で教えるよ?」
って優しく聞いてくれたの。
だから、わたしの名前について知らないかもしれないけど、聞いてみたのよ。
すると、祥太さんは眉をひそめて
「うーん…それは気にしたことなかったかも。ごめん…なんでも聞いてって言ったばっかりなのに」
って、申し訳なさそうに謝ってくれた。
やっぱり知らないのか。
わたしと祥太さんは、結構頻繁に会っている。
結婚式の打ち合わせでね。
まぁ、でも身内だけでの式だからそこまで大変ってわけでもないんだけどね。
それでね、祥太さんと一緒にいればいるほど…安心するっていうか、まだ一緒にいたいって気持ちになるの。
だから…だからやっぱりこの人と結婚して大丈夫なんじゃないかなって思ってる。
式からの打ち合わせの帰りに、祥太さんはなんだかソワソワしている感じだった。
?
お手洗いでも行きたいのかな?
「どうしたの?」
ってわたしが問いかけると祥太さんは、わたしの両肩に手をおいて、
「キ…キス…したら嫌だよね…?」
って緊張気味に言ってきたの。
記憶がないから気をつかってくれているんだと思うの。
やっぱり祥太さんは、優しいんだって改めて思ってね、
「嫌じゃない…かも」
って祥太さんを見上げると祥太さんは、
「ありがとう」
って言ってすぐにわたしに優しくキスをしてくれたの。
今まで何回したのかわからないけど、わたしはおぼえていないから、とっても恥ずかしかったし、ドキドキした。
キスをした後、祥太さんがわたしを優しく包み込んでくれて、とってもあたたかくて幸せな気持ちになったの。
そのあと、家の近くまで送り届けてもらったんだけど…
なんか鼻がめっちゃムズムズしてね…くしゃみがとまらなくなっちゃったの。
風邪でもひいたのかな?
今日は、早く寝よっと。
続く。