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護りたい者

【竜紋の少女と伝説の四大竜】を読んでくださり、誠にありがとうございます!


今後の執筆活動の励みになるので評価と感想もよろしくお願いします!

飛行時間3時間…ミーリンにより一同はコックピットに召集された。


「船は1時間後着陸体制に入る。その前に、セイレングについて軽く説明しとこか」


【セイレング】

鉱石の貿易によりメストルーンの次に発展した国として【光の王国】とも呼ばれている。

セイレング三勇士なる、三人の騎士が中枢を担うセイレング騎士団が国の防衛の要となっており、過去にメストルーンを撤退させたとか…


「ま、そんなところやな」


その時だ…


ドオォォォォォォォォォン!


船の付近で大規模な爆発音が鳴り響き、ミーリンは予め取り付けておいたサイドミラーで周囲の状況を確認する。


「敵襲や! 4時と8時の方角に二体ずつローブの奴らが来よった!」


リアはハッとして船後方のハッチに走った。

「ザルアの奴ら…やっぱりつけてきてたのね!」


リアがハッチ開閉のレバーに触れた瞬間、左から伸びた白く細い腕がその手を止めさせた。


「ルイン!」


「お姉ちゃんはハッチを開けて。私が撃ち落とす」

ルインはリアを横目に、慣れた手つきで自分の腰にロープを括り付ける。


「でも…」


リアは葛藤していた。失敗すれば妹を失う。しかし遠距離戦に持ち込まれれば自分は役立たずに等しい事も承知していた。


そして苦悩の末、リアはルインをギュッと抱きしめて耳元で「必ず戻ってきて」と呟いた。


ルインは暖かな笑みを浮かべながら、ハッチに立った。


「大丈夫だよ。私は決して外さない」


意を決してレバーを下ろし、ハッチがガタガタと開く。


突風がハッチから吹き込み、目を開けているのもやっとだが、ルインは一呼吸置いた後何の躊躇もなくハッチから飛び降りた。


宙吊りになったルインは素早く銃をドローし、エイムを合わせる。


視界には箒に跨るローブが4体。彼らは既に炎魔法を発射する姿勢に入っている。


縄で吊るされ上下左右に揺れるが故、狙いが定まらない。


その時だ…


「インポートスペース…ロック!」

シドの声が船より響き、ルインの身体がピタッと固定された。

「これで少しは狙いやすくなったでしょう」


ルインは銃の激鉄を起こし、一人にエイムを合わせる。


そして…


「今だッ」


発砲音と共にローブは力無く箒から離れ、目下に広がる雲海へと飲み込まれていった。


間髪入れず一発…また一発と引き金を引き、放たれた弾丸はローブ達の心臓を見事に貫く。


残るは最後の一人…


だが、ルインが銃口を向ける速度をローブの魔法を放つ速度が上回った。


メラメラと燃える炎がルイン目掛けて猛スピードで接近する。


「弾丸じゃ抑えきれないッッ」


炎がルインに衝突する直前、彼女の目の前に現れたのは…リアだ。


「ファイアブレスッッ!」


リアの掌から放たれた巨大な炎球は、相手の炎魔法を容易く飲み込み、ローブは瞬く間に灰となり姿を消した。


しかし、リアは緊急のあまり命綱をつけていない。


それに気がついたルインは慌ててリアの手をガシッと掴んだ。


「ギリギリセーフ…」

「ナイスキャッチルイン!」


二人はシドによって引き上げられ、ヘルガがすぐにハッチを閉めた。


「二人とも、素晴らしい戦いぶりでした!」

シドは興奮気味にそう言うと、ルインの手を取りこう続けた。


「ルイン、貴方の勇気にも脱帽です。セイレングに着いたらゆっくり休んでください」


ルインは顔を真っ赤にして、歓喜のあまり硬直している。


「ほら、なんか言ったらどうだい?」


ヘルガが呆れたように言うと、ルインは我に返り、緊張でガチガチになりながらも答えた。


「な…なら、一緒に…デー…トで…」

ルインが最後まで言い切る前に、赤面しながら姿勢を崩した。


「おっと!」

シドがルインを既の所で抱き抱えると、ルインはこれまでになく幸せな様子で…


「お姫様抱っこ…最高…」

と吐息混じりに呟いた。


その様子を見てヘルガは悪戯な笑みを浮かべシドの左肘を小突いた。

「すっかり気に入られちまったなぁ。この色男め」


「えっ?!」


リアもシドの右肩を掴み、「妹を、宜しくお願いします」と軽く礼をしながら言った。


「リアまで?!」


話の通じない厄介女二人に挟まれ、シド…絶体絶命ッッ!


しかし恐れる事勿れ、こんな時にシドは常に脳内会議なる策を用意しているのだッッ!


〜シドの脳内にて〜


シド「これより、赤髪女と高身長女の撃退法及び今後のルインへの対応についての会議を行います」


シド子「ワタシはぁ、ルインちゃんといっそ付き合っちゃえばいいんじゃないかなぁって思いまぁす♡」


シド太郎「何を言うシド子。今後の旅において恋愛感情などと言う不純な思考は命取りになる。断固反対だ」


シド「では、俺はどうすればッッ!」


??「まずはその娘とデートするのじゃ」


シド、シド子、シド太郎「その声はッッ!」


シド神「そう、ワシじゃ。シドよ、お主はルインを好いておるのか?」


シド「そ…それは」


シド神「答えんかい!」


シド「確かに、銀髪で華奢で控えめでジト目で露出少なくて上目遣いでこちらを見つめてくる愛らしい姿を好いてはいるが!」


シド子「うわぁ…軽蔑するわ…」

シド太郎「キッショ…」


シド「ア"ァ"ン?」


シド神「決まったな。セイレングに到着次第…ルインを食事にでも誘うが良い。そして日が暮れた頃に宿の部屋に招待し、その娘と…」


シド「はぁいストップッッッ! これにて会議を終了するッッ」






「おいシド、何ぼーっとしてやがる」


ヘルガの声によってハッと我に返り、シドは自身の腕の中でスヤスヤと眠っているルインに目を落とす。


「寝ちゃったみたいだね」

そう言いながら、リアが愛おしそうにルインの頭を撫でる。


「俺が部屋まで運んで行きます。御二方はコックピットに戻っていてください」


シドはそう言い残し、船員の部屋がある階に続く金属製の階段を登っていった。


セイレング到着まで約30分…


ルインをベッドに下ろし、靴を脱がせ毛布をかける。


(容姿も、優しさも…本当にあの人に似ているな)


ルインを暫く眺めた後、徐に立ち上がったシドは部屋の扉に手をかけた。


その時だ…


「私の…王子様…」


ルインの呟きにシドがバッと振り向くと、ルインは起きている様子もなく、相変わらず幸せそうな笑みを浮かべながら眠っていた。


ただの寝言かと笑いを溢したシドは部屋を後にし、廊下を歩きながらそっと呟いた。


「残念だが、俺は追われ身の宮廷魔術師。王子様ではなくても、命に代えて君を守ってみせるさ」

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