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新たなる航路

【竜紋の少女と伝説の四大竜】を読んでくださり、誠にありがとうございます!


今後の執筆活動の励みになるので評価と感想もよろしくお願いします!

ミーリンに連れられるがまま、ランプの灯りを頼りに暗い廊下を進んで行く。


「宮廷魔術師の知り合いが、随分と敷けた家に住んでやがるな」


ヘルガはそう吐き捨て、パイプの煙草に火をつけた。


「こんな物騒な街じゃウチみたいなのはよう目を付けられるからなぁ。こうやって目立たんようにひっそり工房構えとるんや」


ミーリンの返答にヘルガは「ふ〜ん」と適当な反応をし、ちらっとリアとルインの方へ目をやった。


視線に気がついたのか、ルインは直様ヘルガから目を逸らし、俯く。


二人の気不味い雰囲気を悟ったリアは、急いで作った笑顔で声を張り上げた。


「いやぁ、まさかルインがこんなに早く見つかるなんてな〜! ナハハ…」


悲しいかな、彼女の雰囲気改善作戦は虚しく大滑りという結果を迎えてしまった。それどころか、かえって場の雰囲気が悪化してしまったではないか。


しかし、ミーリンは別だ。彼女は後方の会話が聞こえていないのか、それとも聞く気すらないのか。鼻歌を歌いながら意気揚々と進んで行き、突然何か思い出したように口を開いた。


「せや、飛行船飛ばすのはええけど。一体どこへ行くんや?」


場は沈黙に包まれ、次に口を開いたのはシドだ。


「メストルーンから出発し、一番近い国はヨルデルシアかセイレング辺りでしょうか」


リアのバッグから頭だけをひょこっと出して聞いていたマリネルも真剣な眼差しで話し始めた。


「とりあえず、急いで全ての四大竜後継者を集めよう」


「それは、どうしてだい?」

とヘルガが問う。


「今、ボクらにとって一番の脅威はザルアだ。奴らの狙いは定かではないけど、竜紋村襲撃に次いだハドラスからの襲撃。そしてボクを殺さず捕獲しようとした事全てを結び付けてみれば、奴らの狙いはおそらく…」


「四大竜の捕獲か…」

ルインがボソッと呟くと、再び俯き体を縮めてしまった。






「着いたで〜、飛行船はこの扉の向こうや」


ミーリンの声に、一同の視線が古びた扉に集まった。


表面の所々が錆びている扉と床の僅かな隙間から、暖色の灯りが微かに漏れている。


ギギ…ギイィィィ……


扉は低い金属音を立てながらゆっくりと開けられ、一同はぞろぞろと扉を潜った。


その先には、広々とした洞窟のような空間が広がっており、頭上には数多のクリスタルが色彩豊かに煌々と光り輝いていた。


夢のように幻想的な空間にすっかり心奪われたリアは、好奇心旺盛な眼でミーリンに問う。


「さっきまで街にいたのに、なんでこんな空間が?!」


ミーリンは「ふふん」と鼻が高そうに笑みを浮かべこう続けた。

「今の扉はウチが1からから発明した魔法を動力源としないポータルや」


「貴方の学校での魔法教科の成績は最悪でしたからね。魔法を必要としない技術を学ぼうとするのも貴方くらいでしょう」


シドが愉快そうに言うと、ミーリンは顔を赤くしながら彼の左脇を強く小突いた。


「先輩は昔っから一言余計やなぁ。だから友達ができひんのとちゃうか?」

「と…友達くらい居ましたよ!」

「なんで過去形やねん…」



「水を差すようで悪いけど、飛行船はどこかな?」


リアの問いに、ミーリンは待ってましたと言わんばかりに指をパチンと鳴らした。


すると広々とした空間に散らばった無数の部品が次々と集まり、パズルのように組み合わさる。


みるみるうちに巨大な飛行船が姿を現し、リアはあんぐりと口を開けたままその様子を眺めていた。


「これが世界で最も速い飛行船【ヴィクトリア】や。皆、ウチの子に挨拶しな」


真っ白なバルーンに、メタリックな船…そんでもってデカい! とにかくデカい! 

竜紋村の村民を全員収容しても余裕ができるほどの大きさだ。


レザーのバッグを担いだミーリンが足早に飛行船の貨物用ハッチへ向かって行く。


それに続いてリア達も飛行船に乗り込むと、ミーリンは壁に取り付けられた木製のレバーを下ろしハッチを閉じた。


内装は意外にも木材がベースのシックな造りになっている。


「部屋は後で案内してやるから、とりあえずコックピットまで着いてきな」


ミーリンに連れられ長く狭い廊下を抜けると、広々としたコックピットが広がっていた。


もちろん、このような空間は田舎生まれ田舎育ちのリアにとって理解できるものではなく、ただ単に「なんか凄いっ!」という漠然とした感想しか浮かばない。


それはルイン、シド、ヘルガ、マリネルも同様である。


そんな彼女らを置いて、ミーリンはお構い無しに出発の準備を進めている。


謎のスイッチを押して、謎のレバーを上げ、謎のハンドルを回し、ホッと溜息をついた。


そうしてミーリンはリア達の方を振り向きニコッと笑って言った。


「さあ皆、大冒険に出かける用意はええか?」


「もちろんだよ!」

「行きましょう」

「レッツゴー!」

「おうよ」

「いつでも行ける…」





船は轟音を立てながらゆっくりと地面から離れ、洞窟の出口に向かって前進を始める。


そしてついに飛行船は洞窟を抜け、満天に輝く星空の元、大いなる冒険に向けて飛び立った━━

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