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1 願いが叶う。

この世に自分の思い通りに全てが動くことなど絶対にないのだ。それが真理、それが誠。

そう、俺は前々から思ってはいた。美少女になれたらどれだけいいだろうかと。百合を実体験してみたくてしてみたくてしょうがない。ただそれだけの思いで軽はずみな行動だったよ。


鶴の恩返しならぬ猫の恩返しなんて実際にあるとは夢にも思わなかった。


あれは、暑い暑い夏の日だった…

高校生の俺は日曜日の休みを満喫するためコンビニでアイスを買ったんだよな…

そんな中、帰り道に猫がぐったりとしてたんだ。

そう、真っ黒な黒猫。

見ていると可哀想になってきてな…

ついつい家に連れていってしまったよ。


体は泥だらけだった。

風呂で洗ってやろうと思い風呂場に行き洗った。

すごい抵抗だった。ひっ掻かれたのはいい思い出だ。

真っ黒だったのは泥のせいでもあったようだ。

洗ったら少し色が薄くなっていた。

その後今度は近くの店でキャットフードと猫用のミルクを買ってあげた。

喜んだ姿を見て癒されていた俺は何をしていたんだろうか…


キャットフードとミルクを食べた後、その猫はむくむくと成長したよ。

本当に数秒でググッとね。

だんだんと人型に近づいていくそいつは悍ましいと感じたよ。

ものの20秒でそいつは2メートル弱の男となった。

俺はこいつの体を洗っていたと思うと吐き気がしたよ。


そしてそいつはこう言ったんだ。


「ありがとう。可愛い猫を見つけてな。その猫と仲良くなるために猫の姿になっていたら想像以上にこの世界は暑かったんだ。それでのたれていた所を君が助けてくれたんだ。いやーほんとにありがとう。」


こいつは何を言っているんだ。

誰もがそう思っただろうね。

当たり前だ。


「この、固形物も実に美味だったよ。この液体は少し味気なかったが、固形物と合っていて実に良かった。」


うん、まじで何言ってるんだろう。

誰もがそう思っただろうね。

当たり前だ。


「あのままだと私は干からびていた所だったよ。お礼に願いをなんでも一つだけ叶えてあげよう。」


本当に、まじで何言ってるんだろう。

誰もがそう思ったに違いない。

当たり前すぎる。


「ん?どうした?なんでもだぞ、なんでも。」


俺は詰め寄られるため、とりあえず答えることにした。


「は、はぁ。なら俺を世界一の美少女にしてください。」


「ほぅ。君は変わった願いごとをするんだね。」


確かにそうだ。俺は変わってるとよく言われるよ。


「なら君を世界一の美少女してあげよう。明日の朝には君も美少女だ。最前線のね!」


「あ、ありがとうございます。」


「いやいや、こちらこそ命を救ってもらった身だ。僕たちは特殊だけど耐久性は人間とそう変わらないからね。」


「な、なるほど?」


「では、さらばだよ。ありがとう。最後に名前を聞いておこう。」


「葉山一葉です。」


「なるほど、では一葉くん。いや、一葉ちゃん、またね。」


???????


って感じだった。


そう、だった。

朝起きて月曜日ということで憂鬱な気分。

父はもう仕事に、母は化粧中、妹は睡眠。

朝ごはんを食べて、歯を磨きに洗面台へ。

目の前には、美少女。

これが今日の流れ。


そして今。

母と対談。


「もう一度聞くわ。どちら様?」


「あなたの息子です。」


「きゅ、救急車を読んだ方がいいのかしら…」


「いや、ほんとに!」


まぁそりゃそうか…


「か、一葉の誕生日は?」


「1月30日」


「好きな食べ物は?」


「オムライス」


「将来の夢は?」


「美少女になること」


「好きなタイプは?」


「声優の花澤○菜」


「ほ、本物だわ…」


「気持ちはわかるが、どこが判断基準?」


「好きなタイプで」


「…」


まぁ、あんだけ良さを毎日のように熱弁してればそうなるか。


「な、なんでそんな美少女になるわけ?」


「ごめん、俺も意味がわからないんだ」


昨日あったことを母に話した。

夢のような物語を語るその様はなんとも言えない。


「考えられないぐらい、ぶっ飛んでる内容ね」


「あぁ、ぶっ飛んでる。どう?俺のこの姿?」


「美少女ね。」


「世界一のな」


「過言じゃないわね。」


母は思ったより受け入れてくれるようです。


「でも、やっぱ元の一葉が腹を痛めて産んだ子だから寂しさはあるわよ。まぁ中身は変わってないんだしいいんだけど。」


「まぁそーだよな…」


「まぁ可愛いし、これからよろしくね、一葉ちゃん♪」


「やめてくれ…」


「ふふっ」


「学校行く準備してくるわ」


「はーい」


とりあえず母は受け入れ成功。

俺は予想外だけど悪くないどころか最高だと思ってる。

次は妹だな。


俺は妹の部屋に向かった。

どんな反応されるか少々不安だ。


「おはよー葉月」


葉月は鉛のように重そうな瞼をゆっくりと開けめを擦りながらこっちを見た。


「おはよー…ど、どちら様ですか?」


「うん、そーなるよな」


俺は苦笑いで葉月を見た。


「だ、誰?お母さんの隠し子?」


「そんなわけねーだろ。お前の兄ちゃんです。」


「お、お、お兄ちゃん?私の?」


「そう、一葉」


「まじ?」


「まじ」


「誕生日は?」


「1月30日」


「好きな食べ物は?」


「オムライス」


「将来の夢は?」


「美少女になること」


「好きなタイプは?」


「声優の花澤○菜」


「ほ、本物だわ…」


「母さんと同じなのやめろよ」


あとは父さんでコンプリートじゃねーか。


「いや、とんでもない美少女ですね。」


「はい、そーなんです。世界一の美少女です。」


「過言じゃないわ。」


親子って似るんだな。

俺は父さんと似てるのかな。


「というわけでな。こうなった以上。俺は美少女として生きるのだよ。」


「は、はぁ」


「てことは!女の子のマナーとかー!女の子の髪とか肌とかのお手入れとかー!必要にー!なるってわーけ!」


「つ、つまり?」


「俺の、今までの美少女になるための努力は無駄じゃなかったってわけ! いろんな道具とか、いろんな知識が役立つわけ!」


「な、なるほど。めちゃくちゃイレギュラーな方面で上手くいったんだね。結果として!」


「まぁ、結果は結果だ。とゆーわけで俺は百合を実体験できるわけよ!願いが叶ったーーー!!」


「お兄ちゃんってほんと変わってるよね。」


「お前も同類だろ」


「まぁね」


「じゃあ俺学校行く準備してくるわ」


「はーい」


そう、合法で百合体験。

なんて幸せ。

そして、妹も俺と同類。

つまり女の子が好きなわけ。

そのせいで昔は色々あったけど…あいつ自体もめちゃくちゃ美人な部類だし、実現も夢じゃないんだよな。


「とりあえず、着替えるか。」


あっ俺男用の制服しか持ってねーじゃん。

まぁいっか。

何着ても今の俺なら似合うだろ。


「いや、まじで似合うやん。」


鏡で自分の姿を確認。

最強。


「これはこれでかっこいい系の女の子って感じで悪くないな。」


カバンの中には土日の宿題と今日の授業の教科書。部活の服も持った。身長は縮んでるからちょっとでかいかもしれないけどまぁ、問題なし。下着は妹とサイズが変わらなかったから問題なし。全てシナリオ通り。


「よし、では出発だ。いってきまーす。」


「はーい、行ってらっしゃい。」


そして俺は家を出る。

妹はいつも俺の後に中学校に向かう。


登校は毎回俺の親友の伊吹。

男だと思うだろ。女なんです。


「おはよー伊吹」


「おはよー…ございます。」


「誰だと思う?」


「どちら様?」


「一葉なんよ」


「…」


昨日のことを伊吹に詳しく丁寧に何度も話した。


「やばいよ、それ」


「わかってる。だけど今の俺は幸せだ。」


「でしょうね。はぁ…まぁわかったわ。これからは女の子の親友になったわけね。」


「あぁ。これからもよろしくな、伊吹!」


「うん、よろしく。か・ず・は・ちゃん♪」


「や、やめろよー!」


どっかの誰かとおんなじことするやん。


「てか、それにしても美少女だね。」


「世界一のお墨付きだ。」


「いや、ほんとにそうだと思うよ。私よりも美人なの腹立つな」


「お前も十分だろ。彼氏とはどーなんだ?」


「あ、あぁ、か、彼氏ね。うん、順調ですけど???」


「お前、やっぱ彼氏いねーだろ。」


「な、なんでそんなことゆーの…」


「わかりやすすぎな」


「だって、彼氏できた?とか聞くから!見栄張りたくなるじゃん!」


「お前、めんどくさいやつだな!」


「じゃ、親友やめちゃう?」


「ぜってーやめねー」


「ありがと♪」


これからも読んでくれると幸いです。

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