ゲームセンターでの出会い
「伊織くんも部活、サボりですか.....?」
伊織碧が彼女ーー清水陽葵と初めて話したのは、放課後、暗がりの中、ジャラジャラとメダルゲームをしている時だった。
高校一年生となった碧の学校には妖精がいる。
妖精というのは比喩であるが、実際そう思ってしまうほど、清水陽葵は可愛らしく、清楚な少女だ。
艶の黒色のストレートヘアーはさらさらとしていて、肌は透けるような肌荒れを知らない滑らかさを持っている。目も大きく、誰もが見ても可愛いと思う美貌を誇っていた。
クラスメイトからは評判は優等生で優しく、文武両道の美少女というものが大半だ。
実際、定期試験では毎回一位を取っているし、体育の授業でも類まれなる才能を見せていた。吹奏楽部でもエースとして期待をされているらしい。
しかし、碧は清水陽葵にそこまで興味をもてなかった。確かに可愛いとは思うが、クラスでのみんなに優しく優等生である姿が作り物のように見えたからだ。
「体調が優れなくて、休んだんだ。気分転換がてらゲームセンターに寄ったんだよ」
「そうなのですね。良かったら少し一緒に遊びますか?」
「いや、体調が優れないからやめとく。じゃあね」
(関わることはもうないだろ)
碧はそう思いながら帰路についた。