海と魔法の街 2
小さな寝息をたてる彼は何だか幼く見えた
私の1番よく知る“彼”は金に脱色したクセ髪で
生え際は黒くプリンになっていた
大きな琥珀色が埋まったような茶色い瞳だった
そして今私の前で眠る彼は
美しいハニーブロンドにクセのない髪
閉じた瞼には金色の長いまつ毛が生えていた
「そう、金髪なの…」
吸い寄せられるように彼の顔を見つめていると
長いまつ毛が震えて瞼が開く
そこに埋まっていたのは琥珀ではなく…
「ラピスラズリ…」
「おはよう、目が覚めたんだね」
形の良い唇でふわりと笑う彼の顔を見つめる
美しい金髪に青い瞳はよく映えていた
「あぁ私、金髪蒼眼なんて 王道王子様 みたいなのがタイプだったのね…」
「王道王子様?あぁ…えーと、僕の容姿がお気に召したのでしたら光栄…です…?」
彼は困ったように笑う
「そう、幼い寝顔だと思っていたけれど…
“彼”は目覚めてもまだ幼さが残るのね」
目覚めても彼は 思っていたよりも少し幼かった
そう、めざ…め、ても? あれ?目覚めて…
「!?」
「はぁ?何だよ、人の顔見つめてブツブツと…
王子様だの、幼いだの好き勝手言いやがって」
そこには、優しい微笑みは消え
半分呆れ顔で睨みつける少年がいた