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白銀の王。  作者: 春乃來壱
15/31

15.名前入りの特別。





家に入り、ソファーに座りながら碧は考え事をしていた。


先程手に入った【大賢者(スキル)】で“魔力消費軽減”と“無詠唱”が出来るようになった。


ルーティアではほとんどの人が魔法を使えるが、半数は生活魔法や初級魔法までしか使えない。


ベアルト王国の王都にある貴族達が通う学園等で魔法に関する勉強をしてやっと中級魔法が使えるようになるくらいで、上級魔法が使えたら宮廷魔法士に抜擢されるくらい難しいものらしい。


更に最上級魔法、神級魔法を使える人はルーティア全体で数えても数百人程なのではないかと言われているくらいに少ない。


「…そう考えると俺のステータスって誰かにバレたらやばそうだなぁ」


最強種であるフィーとむいの魔法を見せてもらい、普通は何十年かけても習得出来るかどうかの上級、神級魔法を怪盗(スキル)のおかげでなんの苦労もせず使えるようになった。

2人に見せてもらった魔法の中にはそれこそ国ひとつ壊滅させられるほどの威力の魔法もあった。


1度見た魔法は神級魔法でも即取得、更には魔力のある限り好きなモノが生み出せることが出来るなんてことが知れたらどうなるかなんて想像にかたくない。



「かなりやばいっすねぇ。死力を尽くしてミドリくんを捕まえて利用しようとするヤツらで溢れかえりそうっすね」


「…だよねぇ、便利なんだけどな」


「バレたとしても僕らで守るんで大丈夫っすよ」


「…絶対、渡さないから大丈夫」


碧が目を伏せていると輝璃が安心させるように撫でてくる。それに笑顔を返しながら、ふと思いつく。


「ねぇフィー、人のステータスを見る魔法って存在する?」


「あるっすね、本来の使い方とは違うんで広く知られてはないっすけど“透視”なら人の物も見えるっす。レベル差がありすぎると見れなかったりもするっすけど」


「…じゃあ逆に隠すスキルは?」


碧の質問にフィーは暫し考え込む。


「うーん…僕は聞いたことないっすね。昔読んだ文献にもそんなスキルはなかったと思うっす」


「そっか、じゃあステータスを隠すスキルを作っちゃえば面倒が減るよね?」


「…あ、そうか。もし見られたとしても問題ないようにしとけば、碧が狙われる危険も少なくなるね」


輝璃が碧の考えを理解して呟く。それを聞いて3人も納得したように頷いた。


「確かにそうっすね。危険を避けられるならそれに越したことはないっすし…ミドリくん、作れそうっすか?」



「ん。やってみるね。【スキル作成】」



ーー【スキルの内容を提示してください】ーー


「“ステータスを隠すスキル”」



ーー【該当スキル無し/新しくスキルを創りますか?】ーー

【 YES / NO 】


「“YES”」


ーー【スキル創りを受諾しました】ーー


ーー【候補スキルを提示します】


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



隠蔽:自身のステータスを認めたもの以外には見れないようにする。又は自身が見せたい内容に変更した物を見せる。内容は変更可。隠蔽中でも任意の相手には本来のステータスを見せることも可能。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




ーー【“隠蔽”を習得しますか?】ーー

【 YES / NO 】



「“YES”」



ーー【隠蔽スキルを取得しました】ーー




その声と共に、碧は何度か経験した魔力がごっそり持っていかれる感覚がくると身構えるが、少しの脱力感があるだけだった。


「あれ?…“ステータス”」


不思議に思いながらステータスを開く。





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

Lv.24

名前:小鳥遊 碧

性別:男

年齢:18歳

種族:人類種

体力:15700/15700

魔力:10500/12500

攻撃力:6400

防御力:4850

命中率:Lv.5

回避率:Lv.1

幸運力:Lv.Max

状態:ー


役職:怪盗 Lv.Max

【⠀効果 】あらゆるモノを盗むことが出来る。


〖 ライト 〗〖 鎌鼬 〗〖 風詠 〗〖 結界 〗〖 ファイヤ 〗〖 ウォーター 〗〖 氷柱 〗〖 氷翼 〗〖 水破 〗〖 炎舞 〗〖 縛 〗〖 ボックス 〗〖 転移 〗〖 浄化 〗〖 ヒール 〗〖 捕縛 〗〖 飛行 〗〖 身体強化 〗〖 煉獄 〗〖 神楽 〗〖 領域 〗〖 影渡 〗〖 結界 〗〖 疾風 〗〖 星詠 〗〖 火弾 〗〖 竜巻 〗〖 黒雷 〗〖 雷神 〗〖 鑑定 〗〖 天撃 〗〖 念話 〗〖 硫酸 〗〖 跳躍 〗〖 糸操 〗〖 収納 〗〖 黒霧 〗〖 大賢者 〗〖 魔力回復 〗〖 隠蔽 〗


“亜空間・狭間” 収納数0


【大罪スキル・傲慢】

【 効果 】

無から有を作り出す。モノとモノを掛け合わせて作ることも可。

ただし、作る際には魔力を消費する。消費する魔力は作るものに比例する。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈





「あ、そっか。【大賢者】のおかげで取られる魔力が少なくなってるんだった」


大賢者は取得した瞬間からスキル所持者の意思に関係なく使用され、碧が意識していなくとも勝手に仕事をしてくれるスキルらしく、良いスキルだなと思いながら早速“隠蔽”を使っていく。


「えっと、ここをこうしてこれを消して…」


あーでもないこーでもないと操作を繰り返して、他人が見れるステータスを名前、性別、年齢、種族など基本的なものだけに限定し、役職や会得したスキル、傲慢などの欄を隠蔽した。

魔法に関してはフィーからあまりにも魔法が書いてないと不自然なので初級魔法だけでも書いておいた方がいいと言われて生活魔法と初級魔法だけ書き込んである。



「うん。これで良し!」


「あ、できたんすか?」


「ばっちり!これで見られても大丈夫だと思う」



そんな会話をしていると何処からか、ぐぅ〜と音がした。


音の鳴るほうへ向いてみると雪が顔を真っ赤にして恥ずかしそうにお腹をおさえていた。


「ち、ちがうんです!これはちょっと、あの、えっと…」


手をぶんぶん振りなんとか誤魔化そうとしていたが既に全員に聞かれてしまったので、どんどん声が小さくなっていき、下を向いたままいじけてしまった。


いじけた雪をどう慰めようと考えていたらむいが雪に笑顔で抱きついた。


「むいもお腹すいた!」


「むいちゃん……!」


むいに抱きつかれた嬉しさで恥ずかしさは消えたらしく今は機嫌を直してニコニコしながらむいの頭を撫でている。


輝璃がそれを見て珍しく肩を震わせながら笑っていた。


「嬉しそうだね、輝璃」


「…雪が楽しそうで、良かったなぁって」


「…ねぇフィー。今日のご飯も俺が作ってもいい?」


「もちろんすよ!僕も食べたいっす!」


「…何作るの?」


「オムライス。2人とも好きでしょ?」


家主の許可も得たので作ろうと立ち上がると輝璃が聞いてきたので答えると雪が勢いよくこちらを見る。ちなみにむいを撫でる手は止めてない。プロか。


「オムライスですか!?ふわふわのやつがいいです!」


「…碧。俺も、ふわふわのやつがいい」


「おむらいすってなにー?」


「それもミドリくん達の世界の料理っすか?」


「はい!みーくんが作るのはすっごく美味しいんですよ!」


「そう言ってくれると作りがいがあるよ」


「僕も手伝っていいっすか?この前作ってくれたのも美味しかったっすし、ミドリくんの世界の料理、興味あるっす」


「あ、本当?助かる」


フィーが手伝ってくれるようなので2人でキッチンに向かい作り始める。材料は置いてなかったので【傲慢(スキル)】で出した。

作り方も難しいものでは無い為、フィーもすぐ覚えたので碧の分のオムライスはフィーに作って貰った。


全員分作り終えたのでみんなの所へ持ってこうとするフィーを呼び止め、最後の仕上げをする。


「ん。これでよし、と」


「…ミドリくん達の世界は面白いこと考えるんすね」


「誰がやり始めたのかはわからないんだけど、自分の名前が書いてあるとなんだか特別みたいで嬉しくなるんだよね。俺も初めて奈那さんに作ってもらった時嬉しかったなぁ」


ケチャップで書いた文字をまじまじと見ながら言うフィーに返事をしながら3人のいるリビングへお皿を運んでいく。むいの名前を書く時に、ルーティアの文字が分からなかったのでフィーに教わりながら書いた。

それぞれの前にお皿を置くとむいが目を輝かせる。


「ねぇミドリ!これ、むいの名前書いてある!!」


「ふふっ…なんたって碧くんお手製のオムライスだからね」


得意気に胸を張りながら言った碧を見て輝璃と雪が嬉しそうに笑い始めたのでなんだか少し気恥ずかしくなりながら席に座り食べ始めた。


オムライスは好評で輝璃や雪はとても喜んでくれたし、特にむいは口にあったらしくまた作って、と言ってくれた。フィーとは碧達の世界の料理を教える約束をした。



お腹がいっぱいになって眠くなってきたのかむいがウトウトし始めたので、雪にむいを任せ、3人で寝る場所の準備をした。


お昼に比べると少し気温が下がっていたので風邪をひかないように暖かそうなふわふわの毛布を新しく【傲慢(スキル)】で創った。


それをむいと雪に掛けるとすぐに寝てしまった。

輝璃とフィーにも同じものを渡し、自身も同じものをかけて横になる。

横になって寝ようとしたが明日の事を考えてしまいソワソワして眠れない。


気分的に言うと遠足前にねられなくなるあの感じだろうか。2人とも寝たのかな、と両隣を見ると2人もまだ眠くないらしく起きていたので眠くなるまで話すことにした。


「…雪とむい、寝るの早かったね」


「さっきまではしゃいでたっすからねぇ」


「そうだね。疲れちゃってたんだね」


「…なんか、妹が増えた感じ」


「かなーり年上の妹っすね?」


「…確かにそうだね」


ーー雪達を起こさないよう小さく笑う3人の楽しげな話し声はしばらく続いた。




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