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こちらメイド探偵会です!  作者: 二見
海辺の殺人
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海での出会い

「夏だ! 海だ!! 合宿だー!!!」

「合宿はやりませんよ、春崎さん」


 式たち探偵会のメンバーは海に来ていた。

 彼らの活動といえば依頼があればそれをこなし、特になければ部室に集まって推理力のトレーニングを行ったりといった日常だが、もうすぐ夏休みも終わるということで、最後に思い切り遊びたいという春崎の提案で海に行くことにしたのだ。

 せっかく海に行くのなら、遠くに行った方が楽しめるし、思い出にもなるということで、車を出して遠出し、県外の海に来ている。

 ちなみに今回海に来たメンバーは、式、榊、春崎、顧問の佐倉、そして隼人もいる。

 隼人がいる理由としては、男が式一人では寂しいだろうという榊の計らいだった。

 本当は龍吾を誘っていたのだが、当然彼がこのようなイベントに足を向かわせるわけがない。そのため代役として隼人が来たというわけだ。


「元気だなあ、二人とも」


 海ではしゃぐ彼女らを、浜辺で見ている式が羨ましそうに呟く。


「あなたも遊んできたら?」


 隣に座っていた佐倉が言う。


「いえ、俺はいいですよ」

「そうですよ。一緒に遊びましょう」


 先ほどまで春崎と遊んでいた榊が式に近づき、言った。


「いや、少し休んでからにするよ」

「そうですか。まあ無理強いはしませんが……」


 そこで榊はある提案をする。


「では、式くんには私たちが着ている水着を紹介してもらいましょうか」

「……は?」


 一体何を言っているのか、理解ができなかった。


「紹介って、誰に?」

「それはもちろん、この私たちの様子を見ている人たちにですよ」

「……」


 いろいろと突っ込みたいところだが、とりあえずスルーする。


「皆さんに私たちが着ている水着を理解してもらうためには、式くんの説明力と語彙力が必要になりますよ。責任重大です」

「そんなことを言われてもなあ……」


 言われた通り、式は榊の着ている水着を紹介し始める。


「えっと、榊さんの水着は黒色で、なんかカーテンみたいなヒラヒラしたものがついているね。後は……」

「もういいです。その説明を聴いただけでダメだということがわかりましたので……」


 榊は式の語彙力のなさに呆れている。


「ちなみにこれはフリルというのですよ。覚えておいてくださいね」

「あ、そうなんだ……」

「では私はまた春崎さんと遊んできますので」


 そう言って榊は春崎のもとへと向かった。


「榊さん厳しいなあ」

「私も運転で疲れたし、少し眠らせてもらうわね」


 そう言い終え眠りについた。

 この海には学校から借りることができる車で来ていた。

 行きは佐倉が運転し、帰りは隼人が運転することになっている。


「あれ、そういえば隼人さんはどこ行ったんだろう」


 式が辺りを見渡していると、突然顔に何かがぶつかってきた。


「がっ!」


 何事かと思って跳ね除けると、それはビーチボールだった。


「ご、ごめんねえ!」


 式のもとに、ボールの持ち主らしき人物が近づいてくる。


「大丈夫だった、君?」

「あ、はい、大丈夫です……」


 大学生らしき女性がボールを回収しにきた。

 式はその女性を一目見て、思わず目を逸らしてしまう。


(す、すごい美人だなあ……)


 その女性は初見なら思わず見とれてしまうほど美人だった。

 茶髪で髪の毛は長く、腰まで伸びている。時折耳にかかった髪をかきあげる仕草が色っぽさを感じさせている。

 かきあげたときに見える耳のピアスも、また彼女の美しさを際立たせていた。


「おーい留美、ボール見つかった?」


 留美と呼ばれた女性の友人らしき人物がこちらに近づいてきた。

 その女性も留美に負けないほどの女性だ。

 黒髪のショートボブで美人というよりは可愛らしい女性と言った方が適切か。

 先ほどの発言から少なくとも留美とは同世代だろうが、髪につけているヘアピンも相まって女子高生くらいに見える。


(って、俺は何でこんなに女性をまじまじと観察しているんだ……)


 先ほどの榊とのやり取りのせいか、女性を品定めするような癖がついてしまった。


(これじゃただの変態だ)


 もう不必要にジロジロ見るのはやめよう、と思う式だった。


「あ、美紀。見つかったんだけど、この子の顔にぶつかっちゃったみたいで」

「あ、そうなんだ。ご迷惑おかけしてすみません」


 二人で礼儀正しく式に謝罪する。


「いえいえ、何ともないので大丈夫ですよ」

「本当にごめんなさい。お詫びをしたいと思いますので、お名前聞かせてもらえないでしょうか」

「名前は式って言いますけど、お詫びなんていらないですよ」


 美女二人にお詫びをしてもらうという響きは魅力的だが、特に異常もないのに好意を受けるのは申し訳なさがある。


「どうかしましたか、式くん」


 そこに、異変を察知したのか榊と春崎が戻ってきた。


「何やら見慣れない方たちと話しているので、何かトラブルかと思ったのですが」

「いや、トラブルってわけじゃないんだけど」


 式は事情を説明する。


「なるほど。では私たちと一緒に食事をしませんか? もうそろそろ昼食の時間ですし、よければご一緒しましょう」


 突然、榊はそのような提案をした。


「え、なんで?」

「ここで会ったのも何かの縁です。こういうところで繋がりを持っておけば、今後何かと役立つかもしれませんよ」


 小さな声で耳打ちをする。

 こういうところはちゃっかりしているな、と式は思った。


「そうねえ。連れもいるけどいいかしら?」

「ええ、もちろんですよ」

「じゃあちょっと呼んでくるわね」


 留美たちは連れを呼びに向かった。


「では私たちも準備しましょうか。式くんは佐倉先生を起こしてください。私は隼人兄さんを呼びますので」


 榊は携帯を取り出し、隼人に連絡する。


「相変わらず強引だね、榊さん」

「はは、まあそれが彼女のいいところでもあるから」


 仕方なしに式は佐倉を起こし、食事を食べる準備を進めた。

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