顧問探し
「大変です、式くん……」
深刻な表情で榊が呟く。
「ど、どうしたの」
いつもとは違う様子の榊に戸惑う式。
「重大なことに気づいてしまいました……」
「重大なこと?」
「なんとですね、私たちの探偵会には顧問の先生がいないのです!」
榊の言葉に、ぽかんとした表情を浮かべる式。
「……それがどうしたの?」
「私たちの探偵会は名目上では部活動の範疇に入るので、顧問の先生がいなければならないのです」
「それって、探偵会を設立したときはどうしてたの」
「私も担当の先生もすっかり忘れていました」
あはは、と笑う榊。
「でも、顧問の先生がいなくても今まで活動できてたんだし、要らないんじゃない?」
「いえ、もし顧問の先生がいないことに気づかれたら私たちがそれを無視した状態で活動していたと思われかねません。ここは自分たちから顧問の先生を見つけ、一刻も早く申請するのです」
迫真の表情で語る彼女に、たじろぐ。
「そんな危機的状況な顔をしなくても」
「いえ、一大事ですよ。とにかく今から顧問の先生を探しましょう。式くんもお願いします。今日はそのまま解散で大丈夫ですので」
そう言い終え、榊は急いで部室から立ち去った。
「……俺も探さなきゃダメなのかな」
あまり乗り気ではないが、仕方なく顧問探しをすることにした。
式が部室から出ると、すぐに担任の佐倉と出くわす。
「あ、佐倉先生」
「あら式くん。ちょうどよかったわ」
どうやら佐倉は式に用があるようだ。
「ちょうどよかったって、何か用ですか?」
「ええ、頼みがあるんだけど……」
佐倉は先日北條から頼まれた暗号のことを式に話した。
「なるほど」
「どうかしら、引き受けてくれる?」
式としては引き受けてもいいのだが、これはチャンスだと思い、
「引き受けますけど、こちらの頼みも聞いてもらえませんか?」
と言った。
「頼み?」
「ええ、佐倉先生に俺たちの探偵会の顧問をやってほしいんです」
式は先ほどの榊の話をそのまま佐倉に伝える。
「なるほど、顧問の先生ね」
「どうですかね」
「……わかったわ。それでいきましょう」
「ありがとうございます!」
式は大きく礼をした。
「あなたは抱き着いてこないのね……」
低く小さな声で呟く。
「え?」
「何でもないわ。じゃあ早速今日の夜私の友人と会ってくれるかしら」
「ええ、大丈夫ですよ」
「じゃあ私の車で家まで行きましょう」
この後は特にやることもないので、このまま北條の家に行くことにした。




