朝霞龍吾
一人は身長170cmくらいの中肉中背な男で、何やら目の前にいる男と言い争いをしているようだ。
もう一人は2m近くの身長の男で、後ろ姿しか見えないものの、背の高さと特徴的な銀髪が目立っていた。
「ちょっと待ってね、二人とも。……おーい!」
里中がその二人に向かって大きな声を上げると、それに気づいた小柄な男がそそくさとその場を立ち去った。
「あ、待ちなさーい!」
里中が静止しようとするものの、それを無視して立ち去ってしまった。
もう一人の大柄な男はその場で立ち止まったままだった。
「あら、あなたは……」
その男の前まで近づくと、里中は見覚えがあることに気付いた。
「あなた確か、私の学校の生徒よね。名前は……」
「朝霞龍吾くんですよ」
後から里中を追ってきた榊が言った。
「榊さんこの人知ってるの?」
式が榊に尋ねる。
「知ってるも何も、私たちと同じクラスの生徒ですよ。式くんにも以前話したと思いますが」
そういえば、以前榊から自分の他にもう一人学校にろくに来ていない生徒がいるという話を聞いたことがあった。それがこの人物らしい。
式は朝霞龍吾と呼ばれた男を観察する。
同い年とは思えないほど身長が高い。それだけではなく、髪の毛も透き通るような銀色で長髪となっていて、顔だちと合わせて日本人離れしている様子を伺わせる。
名前が日本系なので、どこかの国とのハーフなのかもしれない。
「そうそう、朝霞くんだったわね。あなた、学校にも来ないで何やってるの」
「そうですよ。私も学校に来るように催促しているではありませんか」
「そんなことやってたんだ……」
式が呆れたような表情を浮かべる。
その様子を、朝霞龍吾は黙ってみていた。
「とりあえず、さっきの人と何をやっていたのかを話しなさい。また良からぬことを企んでいるんじゃ……」
「別に、何でもねーよ」
そう言って朝霞龍吾は立ち去った。
「榊さん、良からぬことって?」
「実は彼には色々な噂があるのです。何しろあの風貌ですから、柄の悪い人たちに目を付けられやすいようで。暴力沙汰の事件を何度も起こしているみたいです。中には暴力団を一人で壊滅させたという噂も出ているほどです」
「へえ……すごいなそれは」
朝霞龍吾の後ろ姿を見ながら、式は呟いた。
「それはそうと、先生のお家はどちらでしょうか」
「あ、そうね。まずは荷物を家まで運ばなくちゃ」
式たちは里中の家に向かった。




