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こちらメイド探偵会です!  作者: 二見
偽りと仮初
22/123

奥田陽子の証言

 部屋の中には神妙な面持ちをしている奥田陽子の姿があった。


「では三十分後に」


 そう言って隼人は式たち三人を残し、退出した。


「ねえ陽子、河本くんを殺害したなんて嘘だよね!!?」


 切羽詰まった表情で問い詰める春﨑。


「いいえ、桃子。私が彼を殺したの」


 必死に訴えかける春﨑の期待を裏切るかのように、奥田陽子は言い放った。


「そんな、どうして……」

「あの、奥田陽子さん。少し聞きたい事があるんですが」

「君、誰?」


 奥田陽子は式に冷ややかな目を向けた。


「春崎さんのクラスメイトの式です。同じ探偵会にも所属しています」


 式の言葉を聞いて、ハッとした表情を浮かべる。


「ああ、桃子から聞いてたあの探偵会ね。これまでに数々の事件を解決してきた凄腕の高校生探偵がいるとか」

「それ、誇大表現ですよ……」

「それで、その探偵さんが何の用?」


 素っ気なく奥田陽子が聞く。


「式くんは陽子を救うために協力してくれるんだよ!」

「救うも何も、私が犯人なんだけど……」

「まあそれは置いといて、いくつか聞きたいことがあるんです。あなたは自分が殺人犯だと言っていますが、それは凶器に指紋が付着していたからというどうしようもない証拠が出てきたから仕方なく言っているのか、それとも本当に自分が被害者を殺害したから言っているのか、どっちなんですか?」


 真剣な目つきで尋ねる式を、睨みつけるかのように奥田陽子は返す。


「……もちろん、後者よ。私が彼を殺したの。それに凶器に指紋が付いているなら、言い訳のしようもないでしょ」

「……そうですか。次に、あなたが犯人だというなら昨日の行動を聞かせてください」

「……細かくは覚えてないけど、いいわよ」


 奥田陽子は昨日の行動を語りだした。


「昨日は学校が終わったらそのままバイト先に向かったわ。それで夜九時まで働いて、そこから直接彼の家に行ったの。それで私が料理中に喧嘩をしちゃって、物の弾みで包丁で刺しちゃったの」

「……」


 青ざめた顔で話を聞く春崎。


「まず、奥田さんは学校が終わってから河本さんのアパートに行くまで一度も家に帰ってないんですね?」

「ええ」

「次に、あなたが本当に被害者を殺害したなら、その時の様子を詳しく教えてください」

「……わかったわ。できればあんまり思い出したくないけど」


 奥田陽子は淡々と語り始めた。


「彼に包丁が刺さってしまった後は、その傷口からいきなり多量の血が流れ出してきたわ。不謹慎なたとえだけど、まるで噴水が湧き出るようだった。その様子を見た私は、恐ろしくなってそのままアパートから飛びだしてしまったの」

「多量の血が流れだしたとき、まだ被害者は生きていたんですか?」

「ええ。自分に刺さった包丁を抜こうとしていたから」

「……なるほど」


 式は少し考え、


「最後にあなたと最も親しい高校の友人を教えてください」


 と聞いた。


「そうねえ」


 奥田陽子は少し考え、


「……池田千歳という子がいるんだけど、その子かな」


 と言った。


「わかりました」


 それを確認した式は、


「行こう、二人とも。これから聞き込みだ」


 と言って部屋を退出した。


「ちょ、ちょっと式くん!?」

「春崎さん、今は彼に従ってみましょう。何か考えがあるかもしれません」


 奥田陽子に一礼し、榊も退出した。


「不思議な人たちね、桃子」

「……陽子、私諦めないからね。陽子が犯人じゃないってこと、必ず証明してみせるから!」


 強く言いきって、春崎も退出した。


「……」


 その後ろ姿を、奥田陽子は悲しげな眼で見ていた。

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