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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ2(バーレン皇国編):水の皇国
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19.いきなり騒動勃発

 ピンクのコートの集団に頼んで、「大型の魔物が現れた」と嘘の情報をあの西の町で流して貰ったのも、全ては自分達の計画を邪魔しているあの冒険者達を足止めする為であった。

 実際、その情報を流して列車を止める事に成功した上に冒険者4人組の内の2人を捕らえる事に成功した……筈だったのだが、ピンクのコートの集団のリーダーからは「化け物……」との呟きを最後に連絡が途絶えてしまったのである。

 そのリーダーの安否を確認するべく、自分の部隊から数人そちらの西の町に様子を見に行かせているのだが、こっちのネルディアに冒険者達が現れてくれた事でチャンスが巡って来た。

 だが、それはピンクのコートの部隊が失敗したと言う事でもあるので、ここで自分達まで失敗する様であれば王からの信頼もガタ落ちになってしまうだろう、と水色のコートの男は気を張って冒険者達を捕まえるべく動き出す。


 その動き出した水色のコートの男は、事前にこのネルディアの事も調べていたのでリュディガー達よりも地理に詳しい。

 何故ならこの国の貴族を操って国を混乱に陥れ、その隙に自分達が裏から手を回してこのバーレン皇国を乗っ取ってしまおうと言う算段である。

 なのにそれをここで邪魔される訳にはいかないので、そうした反乱分子の芽は早めに摘み取っておこうと決意して、まずは自分の部隊のシンボルでもある水色のコートを一旦脱いだ。

 そして、その顔に柔らかな笑みを張り付けたオレンジ色の髪の男は、人混みでぶつかってしまった偶然を装ってリュディガーとフェリシテに接近する。


 ドンッと肩がぶつかり、リュディガーとオレンジ色の髪の男がファーストコンタクトだ。

「おっと、申し訳ありません。お怪我はありませんか?」

「いや、大丈夫だ。こっちも人混みであんたは避けきれなくて申し訳無い」

 コンタクトを取る為にわざとぶつかったと悟られない様にお互いに謝罪をして、オレンジ色の髪の毛をしている男はリュディガーとフェリシテがどんな姿をしているのかを観察する。

(体型は細身ですね。使っているのはソードレイピア……魔物が闊歩するこの世界でソードレイピア1本で戦うということは、よほどその技術に自信があるのかも……)


 女の方はどうやら魔術師だということがわかり、後で自分以外の各部隊に身なりを連絡するべく頭の中に2人の背格好や服装を叩き込む。

「では、私はこれで失礼致します」

 優雅な動作で頭を下げて、オレンジ色の髪の毛の男はリュディガーとフェリシテの元からそそくさと立ち去る。

 そんな彼を見て、フェリシテがポツリと一言呟いた。

「かなり動作が綺麗だったけど、あの動きからすると何処かの貴族様かしら?」

「どうだかな」

 去って行くその男の姿を目で追いつつ興味無さ気にリュディガーが口に出し、自分達も本来の目的を果たす為に男とは反対方向に向かって再び歩き出す。

 だが、その男がまさか自分達に向かって殺気を含んだ視線を向けていた張本人であると言う事には、リュディガーもフェリシテも気がついていなかった。


「接触は成功しました。ここで捕らえられるなら捕らえて行きますが、他にも仲間が居る可能性が高いと思われます。しばらくはその2人を見張ってチャンスを伺おうと思います」

 せっかくコンタクトを取る事に成功したのだから、ここから先はなるべく慎重に行きたい所だ。

 自分の顔もバレてしまっている以上、下手に動く事は出来ない。

 しかし、既に他の部隊があの2人を捕まえるのに失敗してしまっている以上、自分達の王から早くしてくれないかとリクエストが来る事は既に予想しているので、さっさと捕まえてしまいたいと言う気持ちもある。

(まだ日没までには時間がありますからね。他の部下からの連絡も待ちましょう)

 皇都中に散らばっている自分の部下は全て魔術が得意な人員である。

 自分が率いている第4部隊は魔術が得意な人員のみで構成されているからこそ、お互いに魔術で連絡を取る事は朝飯前である。


 その魔術で早速連絡があった。

『隊長、その連絡のあった2人ですが……どうやら冒険者として活動しているらしいですね』

「そうですか。それは他の部隊から連絡を受けているので知っています。2人は何か変わった行動はしていますか?」

『いいえ。ですがギルドに入って行くのを見たので、こちらも冒険者を装って観察してみます』

「分かりました。こちらの正体がばれない様に気をつけてください」

 部下からの報告を受けて、部隊長の彼は続報を待つ事にする。

(やはり冒険者となればギルド。これは鉄則中の鉄則とも言えるでしょうね。そうなるとこれから先、この国に留まる事はせずに他の国に向かう可能性も高いと思います。もし私達がここで逃がしてしまったとしても、他の国に散らばっている部隊に連絡を取っておけばそちらで何とかしてくれるでしょう)

 だが、なるべく他力本願はしたくないのが彼の本音だ。

 その為にも出来ればここで捕まえてしまいたいので、まずは捕まえやすそうな方から捕まえてしまう事に決めた。

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