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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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62.目的は?

 トリスが弓で援護するその一方で、リュディガーとバルドは何時かと同じ様に役割分担をしながら敵の集団に立ち向かう。

 流石にこんな大勢の敵に1人で立ち向かうのは無理だが、3人なら幾ばくか負担も減る。

 それでも数で圧倒的に不利なのは変わらないので、林の中に上手く誘い込んで戦うのがリュディガー、豪快に武器を振り回して戦うのがバルドである。

 トリスが弓で援護してくれているのはありがたいが、なかなか決着がつきそうに無い。

 しかもリュディガーとバルドには、もう1つの見えない敵が襲い掛かって来ていた。


「くっ!?」

 その「敵」に気が付いたのはリュディガーが先だった。

 林の中で足元が滑りやすくなっていたせいか、ズルッと地面に足を取られて体勢を崩してしまった。

 そこを敵の女の槍が狙うものの、ギリギリで身体を捻って回避に成功。

 その勢いで更に身体を回転させ、下段回し蹴りで女の足を払って仰向けに倒してからソードレイピアを女の胸に突き立ててトドメを刺す。

(くそ、油断した……!)

 リュディガーは気合いを入れ直して、向かって来る残りの敵に立ち向かう。

 だが、何だか身体がフラフラする。ソードレイピアの軌道もおかしい。

(あれ……俺、こんなに剣先がブレてたか……?)


 何時もよりも狙いが定まらない事に気が付いたその時、今までの流れを思い出してリュディガーは戦慄した。

(まさか俺……疲れて来ているのか!?)

 傭兵として活動するリュディガーは、これまでもかなり疲れるミッションをこなして来た事もある。

 しかし、今回は頂上から険しくて見通しも悪い登山道をそれなりのハイペースで下りて来た上に、リュシュターをこの集団の仲間の集団から助け出した事も重なり、知らず知らずの内にかなりの疲労が溜まって見えない敵となってリュディガーの邪魔をする。


 更にバルドの方も、新たな敵である疲れが戦闘の足を引っ張り始めていた。

 元々、武器を豪快に振り回して戦うタイプのバルドではあるものの、その命中率はハッキリ言えば大した事が無い。

 それをパワーと武器のリーチの長さから生み出される攻撃範囲で誤魔化す様な戦い方なのだが、疲れて来た事で元々悪いその命中率が更に悪くなっている。

(くそっ、当たらねえ!!)

 大柄な体躯のおかげでドッシリと安定はしているが、それでも疲れに足が負けて若干フラつく。

 そこにあの黄緑色の髪の毛をしている若い男が斬り込んで来た。

「そこだっ!!」

 部隊長の立場であるだろうその男は、今まで部下に戦いを任せて高みの見物を決め込んでいた分スタミナも温存出来ている。

 しかも、そのロングソードはかなり速いので明らかに素人では無い。

 その斬撃をバルドは咄嗟にバトルアックスで受け止め、右足でカウンター気味に部隊長を蹴り飛ばす。


「……パワーのある相手は厄介ですね」

 蹴られた腹部をパンパンと叩いて汚れを落としながら、納得した様子で頷く男。

 口調や振る舞いで何処か王族の様な雰囲気を醸し出している彼だが、そんな事はバルドに関係無いので更に追撃するべく部隊長に接近する。

 しかし、彼はバルドと大きく距離を取って部下に相手を任せる事に。

「こっちは任せますよ!」

「おい、てめっ!」

 当然バルドも彼の後を追い掛けようとするものの、まだ生き残っている部下が行く手を阻むのでその相手をしなければならなくなった。


 部隊長の男が向かったのは、林の中でようやく最後の自分に向かって来ていた敵を倒したリュディガーの元だった。

 戦いがひと段落して油断している状態の彼に、部隊長の男はコッソリと近付いてドロップキックをかました。

「ぐお!?」

「甘いですね。油断はいけませんよ!」

 忠告をしつつロングソードを振り下ろす部隊長だが、リュディガーは咄嗟に彼の足を蹴り飛ばしてその攻撃の軌道をずらしてから素早く立ち上がる。

「はぁ、はぁ……貴様は何者だ。それに何の目的があってこんな事をしている!?」

 リュディガーが怒声交じりにそう問い掛けるが、男は薄く笑みを浮かべて丁寧な口調で答える。

「これから死んで行く方に教える筈が無いでしょう?」

「……そうか。 なら力ずくででも喋らせてやる」

 いきなり襲われる理由はこっちに無い上、リュシュターを誘拐しようとしていたのも知っているので何としてでも聞き出さなければならないだろう。


 だが、男はかなりの使い手の様で、リュディガーの動きに余裕を持って反応する。

 もしリュディガーが疲れていなくても、互角の勝負になっていたかも怪しいレベルだ。

「ほらほら、足元がふらついていますよ?」

 そう指摘するだけのセリフが口から出ると言う事は、彼はまだまだ余裕があると言う証拠だ。

 対して、もうリュディガーは気力も体力も限界に近づいている。

 それでも何とか攻撃を凌いでいたが、男の武器はそれだけでは無かった。

 ロングソードを振るう右手はそのままに、コートのポケットに左手を突っ込んで何かを取り出したかと思えば、その左手をブンッと横に振るった。

「っ!?」

 自分の顔の横を掠めた何かに驚くリュディガーだが、それで一瞬動きが止まった彼に男の前蹴りが入る。

 更にリュディガーの腹を横に斬り裂こうとしてロングソードを振ったものの、疲れで足がもつれたリュディガーは前蹴りで地面に倒れ込み、しりもちをつく格好で偶然回避出来た。

「運の良い方ですね。ですが、次はありませんよ!!」

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