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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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60.何の話?

 そうして連行される前に、カルヴァルがラルソン、ジアル、ローレン、ジャックスに向かって口を開く。

「ああそうだ、最後に大事な事を聞くのを忘れていた。あのダリストヴェルでのラルソンとジャックスの勝負、それからジアルとローレンの勝負。あの2つの勝負はどっちとも、俺達を騙す為の演技だったって事か?」

「ああ、そうだ」

 ローレンが4人を代表して答える。

 あの作戦会議の時に、ラルソンに向かってローレンが問いかけたリュシュターを全力で守る気持ちがあるのかどうかと言う事は、その後の作戦を練って行く中で、全力で戦う演技をしてくれと言う事も示していたのである。

 勿論それだけでは無く、この最後の戦いの中で本当に全力でこの帝国とリュシュターを守る覚悟があるのかと言う事も問い掛けていたのは間違い無い。


 しかし、話はそれで終わらない。

 リュシュターには、自分がこの作戦を無事に終わらせられる様にしてくれた恩人達がまだ居るのである。

「それから……忘れてはいけない人を紹介します。フェリシテ王宮騎士団員、前へ!」

 自分の前に整列している近衛騎士団員達と兵士部隊の隊員達で構成された人混みに向かって、リュシュターが大きな声でその名前を叫ぶ。

 するとその中から、自分を助けてくれた内の1人であるフェリシテが「はい」と返事をして姿を現した。

「カルヴァル団長、彼女に見覚えは?」


 同じ王宮騎士団員の身分である彼女の事を知っているか、とリュシュターが訊ねるが、縛られて跪いている状態のカルヴァルは何処か呆然とした顔付きで彼女を見上げ、そして首を横に振った。

「……いいや、俺は団員全ての顔と名前は覚えられないから知らないな……何処の所属だ?」

「第4師団の22分隊所属です」

「そうか、だったらそれは分かったが、この女はあんたとどう言う関係なんだ?」

 全く見覚えが無い女をいきなり紹介されても、どうリアクションして良いのか困るカルヴァルは最早「あんた」呼ばわりになっているリュシュターにそう問い掛ける。


 一方のリュシュターはあんた呼ばわりされた事を気にする素振りをまるで見せず、彼女が一体何をどうした結果ここに居るのかを説明し始める。

「彼女は私の命の恩人です。私達の計画に無い誘拐を実行した王宮騎士団員の魔の手から、私を救い出してくれた1人なんですよ」

 だからこうしてご紹介したんですと言うリュシュターだが、そこでカルヴァルの顔が明らかに変わった。

「えっ、王宮騎士団が誘拐?」

「ええそうです。近衛騎士団と兵士部隊の方達に頼んでおいた偽の誘拐計画とはまた別に、私を誘拐しようとした王宮騎士団員が多数居ましてね。ここまで言えば思い出しませんか?」


 その事についても良い加減に白状してしまえ、と穏やかな口調でも有無を言わせないオーラを放つリュシュターだが、まだカルヴァルの表情は困惑したままだ。

「いや……俺達はそんな誘拐計画なんて立ててないぞ? ジェバーがやったのか?」

「いいえ!! 私も知りませんよ。何ですかその王宮騎士団員って?」

 普段のおちゃらけた口調はすっかりなりを潜め、真面目に問い掛けるジェバーにリュシュターを始めラルソンやローレンの間にも妙な空気が流れる。

「本当に知らないのか、あんたも?」

「隠すと更に罪が重くなるぞ?」


 ラルソンとローレンの2人に2方向から同時に質問されるも、ジェバーはブンブンと自由な首を横に振る。

「知りません。本当に私も知らないんです。私達が聞いた誘拐の話は、そのローレン近衛団長から持ち掛けられた偽の誘拐計画だけです。配下の王宮騎士団の団員にもそう伝えていましたが、その誘拐に関しては分かりません。逆にお聞きしますけど、その王宮騎士団の団員達はこの山の何処で陛下を誘拐したんですか?」

「ええと、それは私がローレン近衛団長から一時的に解放された後でしたね……」

 ローレンの手によって拘束された状態を演出していたリュシュターだったのだが、勿論それはフェイクである以上一旦リュシュターを登山道の中腹辺りで解放して、後は部下の近衛騎士団員に任せてジアルやラルソンと戦いに行った。


 しかし、リュシュターに対して目が届かない所までローレンやジャックスの姿が遠ざかった時、残っていた数名の近衛騎士団員がいきなり豹変して再びリュシュターを縄で縛り上げたのである。

「な……何を!?」

「大人しくしろ。ここは俺達と一緒に来て貰うぞ」

 縛られた状態で首筋に短剣を突き付けられ、フェイクの為に武器のロングソードも持って来ていなかったリュシュターは、成す術無くそのまま近衛騎士団員達に連れ去られてしまった。

 そして来た道を少しだけ戻った処で、今度は王宮騎士団員の格好をした約15名の人間と合流したのだが、この時点でリュシュターは既に違和感を覚えていた。

(まさか、この団員達は偽物……!?)

 大人しくしろと言われて連れて行かれるのは計画に無い話だったし、王宮騎士団員と合流するのもおかしな話だ。

 何がどうなっているのかさっぱり分からないのだが、縛られた状態で抵抗も出来ずそのまま別のルートから何処かに連れて行かれそうになったのだ。

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