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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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56.帝国の未来を決める各地の戦い(その5)

 それはこの森の木々を利用した作戦だ。

 まず、レーヴァがこちらへ向かって来る事はヴィンテスには分かっているのでそれを逆に利用して追い詰める事が前提である。

 矢をレーヴァに向かって放ち、それをレーヴァが木に隠れて避けた瞬間は視線がヴィンテスの方には向かなくなる。

 つまり、矢が飛んで来た場所は分かるのだがヴィンテスがどこに居るか迄は一瞬だけだが分からなくなるのだ。

 それを利用してレーヴァを追い詰める為に、レーヴァに向けて矢を射るヴィンテス。


 すると先程と同じくレーヴァが木の陰に隠れるので、その間に別の木の陰へとこちらも移動する。

「んっ?」

 つい今までそこに居た筈のヴィンテスの姿を見失った事に、レーヴァの表情が少しだけ変わる。

 槍を構えて何時でも対応出来る様にしてヴィンテスを探し始めるレーヴァであるが、そんな彼の耳にガサッ、と地面が擦れる音が聞こえて来た。

(そっちか!)

 即座にその方向へとダッシュするレーヴァ。しかし、その先にヴィンテスの姿は無い。

(あ、あれ?)

 まさかの聞き間違いかと思ったが、その瞬間後ろに殺気を感じる。


 素早く振り向き様に槍を振るえば、カキンと音がして矢が落とされる。

「くっ!?」

 そっちの方かと思ったが、今度は横から何かが飛んで来た。

 それは……。

(石……?)

 その飛んで来た石に気を取られたレーヴァの腹に次の瞬間、物凄い衝撃が走る。

「ぐあっ!?」

 その衝撃の主は腹に突き刺さった1本の矢であった。

「ぐぐ……うううっ……」


 クリーンヒットした矢の痛みに悶絶した所で、何者かに飛び掛られてしまう。

 それは突然現れたヴィンテスであった。

「ここまでだな」

 素早く両手を上で一纏めにして荒縄で縛りつけ、矢が刺さったままの腹はそのままに槍を奪い取って首筋へと突きつける。

「い、一体私に何をしたんですか……!?」

 ヴィンテスの作戦に嵌ってしまった事を腹の痛みと共に感じていたレーヴァだが、その肝心の内容がわからない。


 ヴィンテスはそのレーヴァの疑問に、彼が自分と戦う時に使っていた愛用の槍をレーヴァの顔のすぐ横へと突き立てて、足をきつく縛りながら答える。

「御前の素早さを逆に利用させて貰った」

「私の……素早さ……?」

 ヴィンテスの、自分の作戦内容の説明は続く。

「そうだ。御前は素早いからな。だけどこっちは遠距離攻撃が得意な弓だ。だから矢を放って、それで御前が隠れた所で俺は素早く別の木へと移動する。そしてそこで石を何個か拾って、それを俺が木の陰に居ると見せかける囮に使った訳だ」

 そう、そこにヴィンテスが居ると最初にレーヴァが勘違いしてしまった切っ掛けのあの音は、実はヴィンテスが別の木の陰に向かって石を投げた音だった。


 本当はその近くの木に隠れていたヴィンテスが、石をそこに投げてレーヴァの注意を逸らす。

 そして背後へと回りこみ矢を1本射って、そのまま射ると同時に素早く別の木の陰へ移動して、そこからまた石を投げてから間髪入れずに矢をレーヴァの腹目掛けて射ったのである。

「そうして御前がふらついた所で俺は飛び掛かり、今の様な状況になったと言う訳だ」

 足を縛り終えて、ヴィンテスが立ち上がりながらそう言った。

「く……私がそんな単純な手に引っ掛かるなんて……」

 苦しみながら悔しがるレーヴァに、ヴィンテスはやれやれと首を振って答える。

「戦場ではどんな手もありだ。さぁ、陛下の所へ行こうでは無いか。後は陛下のご判断だから俺の出る幕は無いからな」

 レーヴァを強引に立たせ、彼の愛用の槍も自分の弓と一緒に持って、別の場所で待っているであろうリュシュターの元に彼を連行し始めるヴィンテスであった。




 少し時間はさかのぼり、頂上の方で激しい戦いが幾つも繰り広げられ始めた頃。

 リュシュターを助け出したリュディガーとバルドは、先程望遠鏡でトリスを見つけた方に進んでいた。

 本当はリュシュターを護衛の元に送り届けるべく3人で彼に着いて行くつもりだったのだが、何か作戦があると言う事で彼はフェリシテと一緒に上に登って行ってしまったのだ。

 勿論、リュシュターを助け出した後に自分達の身分を明かした3人だったが、フェリシテの身分と自分を助け出したその事実を知ったリュシュターは、「それなら協力して頂きたい事があるんです」と彼女に言って2人で山の上に消えて行った。

 リュディガーとバルドも着いて行きたかったのだが、リュシュターから「彼女1人で十分ですから」と固く断られてしまったら流石に2人も無理だった。


「作戦って言ってたけど、一体陛下は何をなされるおつもりなんだ?」

「さぁなぁ、そもそもこんな場所に陛下が1人でいらっしゃったのも変だし、王宮騎士団の連中に誘拐されていてそれを俺達が助け出してたのは良いけど、その後に同じ王宮騎士団員のフェリシテを連れて行っちまうのも理解出来ねえよな」

 リュディガーとバルドは首を傾げつつも、それと同じ位に気になる事があるのでこうして下山するルートを進んでいるのだが、その途中である異変に気が付いた。

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