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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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51.騙した奴等と騙された奴等

 そう、あの作戦を練る為の会議で出てきた囮作戦と言うのは2重の意味があった。

 まず、ローレンとジャックスが敵に裏切ったフリをする。

 そして陛下を誘拐すると言う計画を、カルヴァルとジェバー率いる王宮騎士団と私兵団のグループに流して信用させて手を組んだと見せかける。

 その後も逐一、会議で話した計画の内容を纏めた紙をカルヴァルとジェバーの元へローレンとジャックスが持って行き、その裏切りは確実なものだと首謀者の2人に思い込ませる事に成功。

 だが、それは全て最初に調査メンバーの計画した作戦であったのだ。

 つまり、すっかり近衛騎士団も帝国を裏切るものだとばかり信じ込んでしまったカルヴァルとジェバーは、まんまと調査メンバーの手の中で踊らされていたと言う事になる。


 リュシュターが誘拐されるのも全ては調査メンバーの作戦であり、しかもそれは何とリュシュターが言い出した作戦でもあった。

 なのでそれに付け加える形でローレンが寝返ったフリを計画し、誘拐の実行メンバーを王城に残る自分達にさせて貰う。

 それはカルヴァルとジェバーにも怪しまれずに実行出来るからと言う事と、カルヴァルやジェバーに調査メンバーの作戦の内容がばれない様にしたいと言う用心の為だったのである。

 だが、リュシュターはこの山の中で王宮騎士団員達に「本当に」誘拐されてしまった事で予定が狂いそうになっていた所を、リュディガーとバルドが王宮騎士団を一掃して助け出してくれて何とか作戦を続行出来たのだった。


「最初に陛下がこの作戦の事を言い出した時には、正直私も驚いた。しかしそれは成功して、まんまと罠に嵌ってくれたんだ。感謝してもしきれない。これで王宮騎士団は今までの騒動と合わせて国民からの支持が一気に地の底まで落ちる事になる。リュシュター皇帝陛下が自らの危険も顧みずに作戦を立て、それによって騙された御前達がこの帝国に反乱を起こそうとしていたのを、元々裏切ってなんかいない私達に対して自信満々に喋ってくれたのだからな」

 ローレンが自信満々と言った口調でそう言い切ると、カルヴァルとジェバーがショックの余り一瞬ふらつく。

「ははっ……俺達は騙されていたのか。それはそれは大層な事だ……」

「ええ。それでしたらもう私達は何も思い残す事はありませんね」

 ジェバーはそう言うと、荷物の中から角笛を取り出して思いっ切り吹き鳴らす。


 すると森の中から大勢の足音と雄叫びが聞こえて来た。

「な、何だ!?」

「まさか、まだ居るのかっ!?」

 私兵団も王宮騎士団も全員始末したと思っていたが、まだ増援が潜んでいた様だ。

 そしてその調査メンバーの驚く様子を見て、カルヴァルが大声で叫んだ。

「ここで御前達を全員始末してしまえば、イディリーク帝国を乗っ取る俺達のこの計画はまだ終わった事にはならないんだよ!!」


 今度こそ、正真正銘の最後のバトルが始まった。

 調査部隊のメンバーとこっち側に戻って来たローレンとジャックス、それに生き残りの兵士部隊の兵士が残りの味方だ。

 広場に更に血しぶきが舞い、更にモールティも愛用の大斧を取り出して戦いにリュシュターが巻き込まれない様にする。

「陛下、私の傍から離れない様に」

「わ、分かりました!」

 モールティは普段は余り戦わないイメージなのだが、彼もリュシュターの側近としては武術を少しでも嗜んでおかなければならない。

 なので折りたたみ式の大斧を持っており、それを戦場に出た時は大きくして豪快に振り回して戦うのである。


 実力の方は実際にどうなのかと言えば、執務の間を縫ってカルヴァルやローレン、ジアル等と特訓していたのを目撃した兵士が多数居る事からも分かる通り、彼もラルソンやジアルと同じく生半可な鍛練はしていない。

 事実、今でもリュシュターを狙って騎士が向かって来るが、彼は落ち着いて対処して的確に1人ずつ仕留めて行く。

 一方のリュシュターは護身用にロングソードを持っているのだが、彼自身が血を好まない性格である為に戦う事は無い。

 一応、陛下として武術の訓練を受けているのだが実戦はまるで駄目だ。


 そんなリュシュターがモールティに守られている一方で、ジャックスは1人の男と対峙していた。

 紫色の髪の毛の、ロングボウを持つカルヴァル私兵団の兵士だ。

「貴様、確かヘーザとか言う奴だったな?」

「あれ、僕の名前を知ってるのか? 全く、僕も有名になっちゃったもんだね」

「いや、ただ単にカルヴァルの私兵団の奴として記憶に残ってただけなんだがな」

 有名だと勘違いする私兵団のヘーザと、それに対してクールな答えを返すジャックス。


 戦いはすぐに始まる。

 この木々が生い茂る狭い森の中では、ヘーザの弓が圧倒的有利に思えるが実はそうでも無い。

 弓は広い場所だからこそ次々に射る事が出来るのであり、こう狭くては木がとても邪魔で狙いを付けられないのがデメリットだ。

 ではジャックスのバスタードソードは一体どうなのかと言えば、こちらもこの森の中では扱い難い武器だ。

 大きな武器であればあるだけ攻撃範囲が広くなるので、この木々の中では下手に振り回せばバスタードソードが木に当たってしまい、その隙を突かれてやられてしまう可能性が大である。

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