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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
53/593

50.知っていたんだよ

 目の前の敵をなぎ倒し、広場に血しぶきが飛び交う。しかしここでラルソンには気になる事があった。

(さっきのアーチャーを撃ち落した矢……一体誰の仕業だ?)

 府に落ちない点ではあるが、今はとにかく目の前の敵を片付ける事に集中して1人、また1人と敵を斬り捨てる。

 それはまたジェバーも同じ事を思っていた。

(何故だ……私達の作戦は完璧だった筈! と言う事は、こっちの勢力の中に誰か裏切り者が居ると言う事かっ!?)

 そう思ったジェバーはキョロキョロと辺りを見渡し、思い当たる1つの結論に達した。

(そうか、まさかあいつが……)


 しかし、この状況ではその張本人に話を聞きに行こうにもなかなか動けない。

 仕方無く自分で魔術を連続して広場に放ち、敵味方関係無く攻撃に巻き込んで行く作戦でジェバーは広場から離脱。

 だがその様子を見逃さなかった1人の男が居た。

(あいつ……!)

 その男は目の前の敵を斬り捨て、ジェバーを追って駆け出した。


 ジェバーは森の広場を抜けて遺跡の方へと走る。

 遺跡までは広場から1分位で辿り着くのだが、その遺跡の前に2人の男が立っていた。

 その片方の男は縄で縛られている。

「すみません将軍っ! モールティに逃げられました!」

「何だと!?」

 縛られて居ない方の男……カルヴァルは、ジェバーのその報告に感情剥き出しで驚きの声を上げた。


 しかし、そこに割って入る新たな乱入者が。

「そこまでだカルヴァル、ジェバー!」

「……やれやれ、また貴方ですか?」

 ジェバーを追いかけて来たのは兵士部隊隊長のジアルであった。

「しかし、この状況を見て下さいよ。これで貴方が手を出せるんですかねぇ?」

 そう言ってジェバーは隣に居る、縄で縛られたリュシュターを指差した。

「陛下っ!?」

「ジアル隊長……」

 心配そうな声を縛られたままリュシュターが上げる。


 その声を聞き、ジアルは槍を突き出した。

「これが最後の警告だ。今すぐに陛下を解放して降伏するんだ」

 だがそんな要求を彼等が呑む筈も無い。

「ふっ、そんな事を敵に向かって良く言えたものだな? 御前達が圧倒的に不利な状況に変わりは無いのだぞ?」

 カルヴァルはそう言いながら腰から剣を引き抜く。

「悪いが、貴様もここ迄の様だな?」


 しかし、当のジアルは平然とした顔をしている。

 それどころか、徐々にその口元に笑みが浮かんで来た。

「それは果たしてどうかな?」

「何?」

 カルヴァルが疑問の表情を浮かべるが、ジェバーにはその表情の意味がたった今心の中で繋がった。

「分かりました……」

「どう言う事だ? ジェバー」

 意味深な発言をするジェバーにカルヴァルが疑問の声を上げる。

「あの2人はこっちの人間じゃない。最初からそっちと……!」

 そして次の瞬間、カルヴァルとジェバーとリュシュターの背後に躍り出る2つの影があった。


 それに気が付いたカルヴァルとジェバーは咄嗟に横にジャンプするが、2つの影の内の1つが素早くリュシュターを抱えて走り去って行く。

 それを見てジアルも広場の方へと駆け出す。

「あ、くそっ!」

「待ちなさい!」

 当然、カルヴァルとジェバーはジアルの後を追いかける。

 そうして広場へと戻って来たジアルと、それを追いかけて来たカルヴァルとジェバーが見た物は、既に全滅させられている私兵団のメンバーと王宮騎士団の騎士達であった。

「どうだ? これでこっちが有利になっただろう?」

 ジアルはそう言って槍の先端を2人に向ける。

 ラルソン、ヴィンテス、パルスもまた同じ様に武器を向けた。


「貴様等、まさか最初から……!!」

「ぴ~んぽ~ん! 大正解~っ!」

 ジェバーの口調をわざと真似して、ラルソンがニヤニヤと笑みを浮かべる。

「バッカだなぁ? 俺達のメンバーに陛下やローレン様が入っていた事で気が付かなかったのかよ? 正真正銘の大馬鹿だな? こ~んな簡単な嘘に騙されて、わざわざ俺達を襲撃してくれるなんて。まぁおかげで御前達がこの国に反乱を起こした事が陛下にもバッチリ知られちゃった訳ですし、一緒に居た副将軍とその副官はもう逮捕しちゃいましたからね~っ! はーはっはっは!」

 ジェバーと同じく高笑いをして、すっかりキャラが変わっているラルソン。


 そして、その橋渡しとなった人物も姿を現す。

「見事だったぞラルソン、ジアル」

「ありがとうございます、ローレン様」

 武器を向けたまま、目線だけを森の方から出て来たローレンに向けて返答するジアル。

 そのローレンのすぐ後から、リュシュターとモールティを引き連れたジャックスも現れた。

「俺達が持ちかけた今までの話は、全てリュシュター陛下も御存知だったんですよ、カルヴァル将軍」

 口元に笑みを浮かべながらそう言い放つジャックスに、言われたカルヴァルとジェバーの2人が苦い表情になる。

「貴方達が提案して来たダリストヴェル山脈の襲撃計画も、陛下の誘拐をしてそれで兵士部隊を黙らせようと言う作戦も、近衛騎士団がこちらに加わると言う予定も全部、最初からそっちの作戦だったんですね!?」

「ああ、そう言う事だ」

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