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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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39.咄嗟の機転

「反乱軍か……」

「そう、俺達は反乱軍だ。1つ聞きたいんだが、御前達は今の陛下のどう言う所が嫌なんだ?」

 自分達を反乱軍と認めた、リーダー格の騎士団員の口から出て来たその質問だが、これはリュディガーとパルドが答えなければいけない。

 しかしこれも今までの流れを見ていた事、それから何故王宮騎士団長のカルヴァルが反乱を起こしたのかと言う事を知っていればスムーズに受け答えが出来るだろうと考え、フェリシテの次に口の回るバルドが質問に答え始めた。

「嫌な所かぁ……。さっきも言ったけど基本的にはカルヴァル将軍と一緒で、今の皇帝は気が弱っちいからなかなか国を拡げようとしねえだろ。そう言う所が俺もこいつも嫌でよぉ。もっともっと領土を拡大して、いずれは世界の大陸統一って野望に俺達は賛同したんだよ。あの気弱な皇帝に代わって、カルヴァル将軍が皇帝になれば一気に大陸統一も夢じゃ無さそうだからな!」


 これも真っ赤な嘘。

 バルドは世界統一にはまるで興味が無いので心底どうでも良いのだが、だからと言ってこのままあの将軍を野放しにしておけばいずれは自分達まで戦乱に巻き込まれてしまうだろうと考えている。

 なのでその野望を阻止する為には、一時的にでもこうして自分の本音を隠さなければならない。

 バルドのその真っ赤な嘘を聞いたリーダー格の騎士団員は、満足そうな顔をして頷くと配下の騎士団員達に指示を出す。

「おい、ロープを切ってやれ!」

 彼の指示で数人の騎士団員が近寄って来て、フェリシテが縛り上げたリュディガーとバルドのロープを切ってくれた。

「分かった。なら俺達は御前等を歓迎するぞ。ええと、名前は……」

「俺はリーン。こいつはバリスだ」


 名乗るのに偽名を使ったリュディガーを見て、荷物を調べていたフェリシテが一瞬驚きの表情になる。

 しかし、彼の意図を察してすぐにポーカーフェイスに戻した。

 もしこの先で彼等の正体がバレてしまった時に、ギルドからやって来た冒険者と言う事で身元を簡単に調べる事が出来ない様にする為の作戦なのだと理解する。

(それなりに機転は利くみたいね)

 心の中で感心するフェリシテを横目に、リュディガーが王宮騎士団員達にこんな頼み事をしてみる。

「それと俺達はこの山でギルドの依頼で薬草を集めて回っているんだが、まだ集めきれていないんだ。この山での作戦が何時始まるかと言うのは聞いていないんだが、もしまだ時間があるならこの山の各地を回って薬草を集めてしまいたい」

「薬草かぁ……それってどんな奴だ?」

「あの女が調べている袋の中に今まで集めたものと、それからギルドの依頼書が入っている」


 リュディガーが袋を指差したのを見て、リーダー格の騎士団員がその袋をフェリシテから受け取って中身を確認する。

「これと……それからこれか?」

「そうだ」

「だったらまだ日没まで時間があるし、ここから上は魔物の討伐が終わっていて俺達の部隊しか居ない筈だから安全だ。安心して薬草を集めてくれ」

「そうか、助かる」

「俺達はまだ野営の準備が終わってないから手伝えないからな。それと上の方とか色々な場所に俺達の仲間の部隊が居る筈だから顔を見せておいても良いだろうな」


 それを聞いたリュディガーの頭の中に、使えそうな作戦がパッと閃いた。

「分かった。それなら何か部隊の配置図みたいなのは無いか? 部隊の配置場所が分かっていればスムーズに挨拶回りが出来ると思う」

「配置図……うーん、無いけど……確かこの山の地図も持っていたよな。それじゃ俺がその地図に描き込んでやるよ」

「助かる」

「気にすんなって。それと魔物の討伐が終わっているとは言っても、全部駆除出来た訳じゃ無いから武器は持って行けよ」


 リュディガーとバルドを味方だとすっかり信じているリーダー格の騎士団員は、色々と世話を焼いてくれている。

 どうやら悪い人間では無いらしいが、実際は敵だと言うのは忘れてはいけない。

 もしこの会話が無かったとしたら、他の部隊が配置されていると言う場所を知る事無く自分達はこの山の上に進んで行っただろう、とリュディガーは自分の閃きに感謝した。

「それじゃ俺達は上に行くけど、最終的にここに戻って来れば良いのか?」

「いいや、日が暮れたら何処か適当な近くの部隊の駐屯地で休んでくれ。他の部隊には俺が通話魔術でこっちから連絡しておくから」

「分かった。助かるぜ」


 最後までなかなか良い奴だったなぁと思いつつ、リュディガーとバルドは再び登山を開始する。

 見張り役のフェリシテと一緒に。

「貴方達、結構頭が回るタイプなのね」

「……そうか?」

 自分は無口だと自覚はしているが、かと言って別に冷静な性格だとは思っていないリュディガーはそのフェリシテの指摘に対して、どうリアクションして良いか分からない。

 そんな彼に構わずフェリシテは続ける。

「そうよ。私は適当に話を合わせて、王宮騎士団の仲間になる様に頼んでみてと言っただけなんだけど、まさかあそこまで上手い具合に事が運ぶとは思わなかったわ」

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