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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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34.橋の架かる渓谷カーレーヴェンにて

 カーレーヴェン渓谷まで、昼食を摂った後に予定通り夕方前に到着した一行。

 バルド曰く、この辺りはパールリッツ平原に比べると 魔物の数は普段から少ないと言う。

 しかし、この渓谷でも定期的に魔物の討伐が依頼として出ている事もあり、ダリストヴェル山脈に向かう旅行者や山脈方面からやって来る観光客等にとって脅威となるのは間違い無い。

 今回、魔物の討伐はパールリッツ平原だけなのだが、ここでもし魔物に遭遇する様な事があれば戦いは避けられないだろうと3人全員が考えていた。

 だが、山脈に続く平坦なルートの異変に最初に気がついたのはリュディガーだった。

「妙だな」

「どうしたリュディガー?」

「ここを見ろ。魔物の足跡なんて全然無い。その代わりここを通った人間の足跡はかなりある様だな」

 リュディガーが指差した場所を見てみると、土の地面に確かに多数の足跡が残っているのが確認出来る。

 しかもまだまだ残って時間が経っていない、かなり新しいものだ。

 となれば、自分達よりも先にここに踏み込んだ多数の人物の存在があると言う事を物語っている。


 その横からそれを見たフェリシテが、リュディガーとは別のある事に気がついた。

「ねえちょっと待って、これって……うん、間違い無いわ。この靴底の形、明らかに見覚えがあるもの」

「そうなのか?」

「うん。 これは王宮騎士団で正式採用されている、金属製のブーツの靴底の形よ」

 王宮騎士団員の1人として活動しているフェリシテだからこそ、普段見慣れている形にこうして気づくことが出来たのだろう。

「じゃあやっぱり、王宮騎士団の連中はここを通って行ったらしいな」

「そうね。でも足跡からするとまだ新しいから、十分に追いつけると思うわ」

「だったら早く先へ進もう。急がないとまずいな」

 王宮騎士団の連中が何を考えているのか分からない今、早めにダリストヴェル山脈に到着してさっさとその考えを暴き出さなければまずい。


 だが、平坦なルートとは言えここは山脈に続く渓谷。

 自然の地形が3人の進軍スピードを自然と鈍らせる形になる。

「だああっ、ここって何でこんなに歩き難いんだよ!?」

「自然だから仕方無いだろう」

「いや、そりゃそうだけどよ……」

 ぼそっと正論を呟くリュディガーに対し、もっと気の利いた返しは出来ないのかと心の中でバルドは思ってしまう。

 かなり昔からの付き合いではあるが、こうした部分はどうにも好きになれない。

 それは良いとして、問題はフェリシテである。

 この先で自分達を罠にはめてそのまま敵に寝返ってしまうのではないか?

 そんな不安がリュディガーとバルドに襲い掛かって来る。

 今の所、そんな素振りは彼女は一切見せていないが、もしかしたら演技が上手いだけかも知れない。


 渓谷を進むにあたって助かった点と言えば、道中の魔物が小型のものしか居ない事である。

 この世界にはそれこそドラゴンを始めとした、この3人の様な人間よりも明らかに大きな体躯を持っている魔物が幾らでも居るのだ。

 そう言った大型の魔物を相手にするとなると、人間1人の力ではどうにもならない事の方が多い。

 だからこそ、冒険者たちは必然的にパーティを組んで行動することが多い。

 勿論パーティを組まずに一匹狼の冒険者として活動する者も居るが、大多数は同じ目的を持つ、もしくは行き先が同じである冒険者同士でパーティを組んで、一時的な仲間として活動するのがギルドでは当たり前になっている。

 基本的にリュディガーもバルドも一匹狼の存在ではあるが、こうして今パーティを組んでいるのも、「世界を見て回る」と言う目的が一緒だからである。

 そこにまさか、王宮騎士団の団員であるフェリシテが加入するとは思っていなかった訳だが。


 いまいち信用しきれないそんなフェリシテを含め、3人は魔物を倒しながら渓谷を進む。

 パールリッツ平原と魔物のバリエーションは余り変わらないものの、渓谷だからか鳥型の魔物が多いのが特徴だ。

 人間と違って空を飛ぶ事が出来る鳥類の魔物となると、空に飛ばれてしまったら弓か魔術かで対抗するしか無くなってしまう。

「くっそあの野郎、全然下に降りて来ようともしねえから攻撃が全然当たらねえ」

「落ち着けバルド。焦らずにじっくりとチャンスを窺うんだ」

「分かってるけどよお……」

 実際、今も鳥類の魔物のグループに3人は苦戦しながら進んでいる。

 こう言う時に 弓使いが居ればかなり楽なのだが、あいにくこの3人の中には弓使いが1人も居ない。


 いや、居ると言えば居る。

 王宮騎士団員であるフェリシテは、今の自分が得意としている魔術以外にもロングソードを始めとした武器術を一通り王宮騎士団のトレーニングの中でカリキュラムとして学ぶ事になっているのである。

 なので弓があれば彼女もこう言った場面でアーチャーになれるのだが、あいにく今の持ち物の中には弓が入っていないのだった。

「何処かで弓を買わなきゃいけないわね」

 そのフェリシテの呟いた一言を耳にしたバルドが、自分もまた一言呟いた。

「もしくはリュディガーの妹が居ればな」

「えっ?」

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