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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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33.何を先にやる?

 3人がキャンプを張ったエーヴィド川を渡って、その先にあるカーレヴェン渓谷を抜ければダリストヴェル山脈に辿り着く。

 それにバルド曰く、カーレーヴェン渓谷を抜けてダリストヴェル山脈に入るだけなら橋が架からないルートを通れば良いだけだ。

 しかし、橋の建設が行われているルートはかなりの近道……つまりダリストヴェル山脈に入る最短ルートになるので、ここを通り抜ける事が出来れば大幅な時間短縮に繋がる。

 当然、橋が繋がっていない今の状況では遠回りするルートを通らなければならないので、フェリシテが言っているのは恐らくそう言う事なのだろうと2人は考える。

 しかし、今の2人には金が要るので橋の建設の仕事を請け負ったのだ。


 だが、フェリシテはそれを聞いて先にリュシュター陛下の安否を確認した方が良いんじゃないのかと提案する。

 彼女曰く、橋の建設の仕事は何時でも出来るから先に山脈に先回りして、リュシュター陛下に危機が迫っている事をこれからダリストヴェル山脈にやって来るであろう兵士部隊の隊員や味方の王宮騎士団員に伝えるべきだと言ったが、その提案にリュディガーは難色を示す。

「いや……それは危険な気がする」

「どうしてよ?」

「その兵士部隊、それから王宮騎士団員の誰が味方か分からないからだ。味方だと思っていた奴が実は敵で、俺達も背後から刺される様な事があったら伝える前に終わってしまいかねない」


 誰が敵か味方かを判断出来ていない上に、その躊躇する行動がまだリュシュターにはあるのだと言う。

「それに今の所、リュシュター陛下の姿を俺達は見かけていない。陛下が何処でどうなっているのかが分からない以上は、下手にそうした情報を流さない方が良いと思う。もしリュシュター陛下や兵士部隊のラルソン副隊長やジアル隊長をダリストヴェル山脈に誘い込んで殺すつもりなら、この辺りではまだ手は出さない筈だからな。とは言え、先回りすると言う事自体は俺も賛成だ」

 普段は無口なリュディガーだが、こうした自分の意見や反論はしっかりとするタイプなので自然と口数も多くなる。


 そんなリュディガーに対して、今度はバルドから質問が。

「仮に先回りするとして、そこから先はどうする?」

「ダリストヴェル山脈はかなり広いからな。俺は余り行った事が無いから詳しく無いんだが、確か色々と山頂までのルートがあるんだろう?」

「ああ。だけど最も山頂まで早く辿り着けるルートは馬では登れない。道が狭い上に険しいからな。こればっかりは自然には勝てねーよ。他のルートからだったら馬を使って登れるルートがあるんだが、リュシュター陛下が必ずそこを通るとも限らないからな」


 その話を聞いていたフェリシテが、女の勘でこう疑問を述べ始める。

「私はその馬でも通れるルートを通る確率が高いと思うわ。だって、リュシュター陛下はこの国のトップの方だから、わざわざきつい山道を登らせる様な事はさせてはいけないと思うのよ」

「うーん、それも確かに分かる気がするな」

 フェリシテの言い分に納得するバルドだが、リュディガーはそれよりも王宮騎士団の動きが気になるらしい。

「それは結局向こうに行ってみないと分からないな。それでリュシュター陛下をダリストヴェル山脈まで連れてったとして、そこでどうやって陛下を殺す手筈なんだ?」


 その内部事情を良く知っているであろうフェリシテに顔を向けてリュディガー聞いてみると、彼女は自分がキャッチした情報の全てを話し始める。

「ええと、私が聞いた限りだとリュシュター陛下と、それからカルヴァル王宮騎士団長の新帝国の建国に邪魔だって言う派閥の団員や隊員を殺すって話だったと思うから、そう簡単にはいかないと思うわ。恐らく勢力を分散して、少しずつ数を減らすんじゃないかと私は見ているの。その作戦の詳しい内容まで部隊長も聞いてないって言ってたから、これは私の推測なんだけどね……」

 とりあえず、ダリストヴェル山脈まで行ってみないと向こうがどんな事をしようとしているのかが分からないので、橋の建設のミッションは後回しにして先に山脈の調査と、余裕がありそうならもう1つのミッションであるその山脈での採集活動をする事に決めた。


 それは良いものの、まずはカーレーヴェン渓谷を超えてさっさとダリストヴェル山脈に入らなければ。

「渓谷を抜ける為には、橋を作っている道以外だと普通に馬で進んでも大丈夫だな」

 持参したイディリーク帝国の地図を広げて、これから自分が進む道を確認しながらバルドが遥か向こう側に見えている渓谷と山脈のシルエットを指差した。

「この距離だと、まだ昼にもなっていない今なら昼食を摂って少し進んで……ああ、夕方前には着けるから一気に渓谷を抜けちまった方が良いな」

「そうしましょう」

 フェリシテもそれに賛同するものの、リュディガーだけは何故か気が乗らない。

(何だろう……この妙な不安感は?)

 何故かあの渓谷の方から、自分の頭の中に不安を覚えてしまう様な気配が伝わって来る。

 それは待ち伏せ作戦をしているかも知れない王宮騎士団――いや反乱軍への不安からか、それとも何か別のものが原因かまでは、この時点では良く分からなかった。

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