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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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25.恐れていた事態

 33歳のジャックス・ラスバートは上官であるローレンの副官を務める近衛騎士団副団長であるが、元々ローレンとは盗賊団時代からの団長と副団長と言う関係であるので、付き合いはかれこれもう15年以上にも及ぶ。

 彼もまたローレンと一緒に騎士団によって盗賊団を壊滅させられた1人で、同じく皇帝からの申し出により一緒に騎士団に入団して、現在は近衛騎士団の副団長に就任している。

 そんな彼はローレンと長い付き合いと言う事もあり、普段の執務から今の様な戦場での活動に至るまで以心伝心で徹底的にサポートする事が出来る。

 ローレンと同じく口数は少ないが自信家な性格でありプライドが高く、自分の持っているテクニックに自信があると常日頃から思っている。


 ただ、そのプライドの高さに甘んじる事無くテクニックを維持する為に毎日鍛錬は欠かさず、知識の方に関しても資料庫で文献を読み漁っている姿が目撃される事が多い。

 ちなみに、彼とローレンの部下であった盗賊団の大半も騎士団に入団して近衛騎士団員として部下になっているのでその部下達との付き合いも長く、王宮騎士団と比べても非常に統率が取れている行動が出来るのが近衛騎士団なのだ。


 そんなジャックスと戦っているラルソンには気掛かりな事があった。

 それは攻撃を緩めない事で、スタミナ不足が自分に先に来てしまうのでは無いのかと言う不安である。

 ジャックスは防御に徹しているので、基本的にはラルソンの剣を受け止めたり流したりかわしたりして反撃のチャンスを窺い、その時だけ攻撃に移る。

 動く量はラルソンより少ないので、その分スタミナ切れもラルソンより遅くやって来るのは分かる。

 勿論、ラルソンも生半可な身体の鍛え方はしていない。

 だがそれでもこの状況はどちらかと言えば、ジャックスの作戦勝ちになってしまうのでは無いかと言う不安がラルソンには付き纏っていた。


 そして、それは観戦している2人にも分かっている。

「将軍、ラルソンは焦っているんじゃないですか~?」

 彼と喋った人物の大半が気に障る口調で質問するジェバーに対し、彼と一緒にバトルを見物しているカルヴァルは愛用の武器の1つである斧を両手で弄びながら、冷静な口調で分析をする。

「ああ。自分のスタミナが先に切れたら終わりだからな。早めに決着をつけに行くつもりだろう。ジャックスのあの剣の威力は確実に相手の命を奪える位の代物だからな。それを恐れてラルソンは焦りの色が出て来る。その時がジャックスの勝負所だろう」


 相手のスタミナ切れによって訪れるであろうチャンスをじっくりと待つジャックスと、そのスタミナが切れてしまう前に何とか一気に勝負を決めたいラルソン。

 だがラルソンが恐れていたその事態は、まさに思いもよらない形でやって来た。

「ぐああああっ!?」

 横から聞こえて来たジアルの悲鳴に、一瞬ジャックスの注意が逸れたのをラルソンは見逃す筈も無く、握っているロングソードによる素早い突きを隙が出来たジャックスに向かって突き出す。

 が、それは横合いから突然飛んで来た大きなファイヤーボールによって阻まれてしまった。

「うあっ!?」

 まともにそのファイヤーボールを喰らってしまったラルソンは、思わず動きを止めてしまう程の熱さを感じながら後ろに吹っ飛ばされて尻もちをつく体勢になってしまう。

 バトルに乱入する形のファイヤーボールを放ったのは、カルヴァルと一緒に観戦していたジェバーであった。

「ふぅ~、危ない危ない。さぁジャックス、後は彼にとどめを刺すだけです!!」

 形勢逆転したジャックスは、そのジェバーの言葉に素早く大剣を持ち上げてラルソンを刺し抜く体勢に入った。


 しかしその時、登山道の下の方から大量の足音が響いて来るのがそこに居る6人の耳に届いた。

「な、何だ?」

 ジャックスがその足音が聞こえて来る方向に目を向けると、そこには下に居る筈のヴィンテスやパルス達の姿があった。

「おらっ!」

 それに気を取られたジャックスを、ラルソンが今度は確実に足で蹴り飛ばす。

 それと同時にジアルもまた、渾身のタックルでローレンを突き飛ばした。

「うお!?」

「ぐあっ!」

「くっ、邪魔が入りましたね。ローレン、ジャックス、ここは退きましょう!!」

 近衛騎士団の2人には疲れが溜っているのでこれ以上の戦いは不利になると判断したジェバーは、2人にそう言ってカルヴァルと共に登山道の上の方へと姿を素早く消した。


「ま、待て……くそっ!」

 ジアルは逃げて行く彼等を追いかけようとしたが、射られた太ももの激痛がそれを阻んだ。

 ラルソンも戦いが終わった事で一気に緊張の糸が切れ、ジアルと同じく彼等を追い掛けるまでには至らない。

「危ない危ない、間一髪でしたね!」

 駆け寄って来たパルスが2人の身を案じ、その横でヴィンテスが回復魔術の準備に入る。

「矢を抜きますよ。喋らないで下さいね」

 そう言って、刺さっている矢をジアルの太ももから一気に引き抜くヴィンテス。

「うあっ!」

 素早く回復上位魔術のキュアをかけ、最悪の事態は免れた。

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