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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ1(イディリーク帝国編):20歳の若者、冒険者になる
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17.罠と女と騎士団と

 フサァッ……と。

 野営地に置かれているテントの中から、いきなり1つの人影がゆっくりと物音を立てない様にゆっくりと出て来た。

「ん?」

「お、女?」

 テントの中から出て来たのは、自分達と同じく防具を軽めに身に着けた格好の赤髪のロングヘアの女だった。

 その女は素早く辺りを見渡しつつ、リュディガーとバルドの方に向かって早足で身を屈めながら歩いて来た。

 そして2人の存在に気が付く。

「……え?」

「お、おい君……」

「くっ! 何でまだ居るのよっ!?」

 その女は細身のリュディガーに向かってタックルをかまし、強行突破をしようと試みる。


 しかし、自分と同じ位の体格の上に元々の男女の身体の違いもあって、リュディガーは押し負ける事無く結果的に女をブロックする事になってしまった。

「きゃっ!」

「……何してるんだよ」

 リュディガーにはいきなりタックルをかまされる覚えなんか無いのだが、この一連のやり取りと今の女の悲鳴によって王宮騎士団の団員に気が付かれてしまった。

「なっ、おい貴様、何をしている!?」

「くっ、まずいわね! こうなったら貴方達も戦って貰うわよ!」

「た、戦うって……状況が分かんねえよ!!」


 自分達に向かっていきなりタックルをして来た上に、先程追い出されてしまった騎士団員に見つかってしまったので、ますます修羅場が形成されて行く。

 そもそも何故自分達が王宮騎士団を敵に回さなければならないのだろうか?

 その理由を説明して貰おうとリュディガーとバルドが口を開こうとしたのだが、その前にさっきの騎士団員が向かって来る方が早かった。

「お、御前……どうやって逃げ出した!?」

「この2人のおかげで逃げ出す事が出来たのよ! この事を貴方達の上司に報告すれば貴方達も終わりね!!」

「お、おい貴様、やめんか!! くそっ……御前達、こいつ等を今すぐ黙らせろ!!」

 何故か自分達を勝手に仲間扱いしてくれたせいで、10人程の騎士団員を敵に回してリュディガーとバルドはこの女と一緒に戦う破目になってしまった。


 向こうは「黙らせる」と言っているので、言葉の意味によっては殺されてしまう。

 なのでこっちもその気になっていかなければまずいだろうと判断するものの、殺してしまったら王宮騎士団を敵に回す事になるのでかなり難しい戦いになりそうだ。

 それでも「不可抗力」として処理してしまえば良いかも知れない。

 とにかく今は騎士団の凶刃から逃れなければならないので、リュディガーとバルドはお互いに得意な戦法で戦う。

 リュディガーは林の中で木を上手く使って立ち回りつつ、素早く動いて死角から騎士団員を仕留める。

 バルドは林の外に出て、ロングバトルアックスの攻撃範囲を活かした戦い方をする。


 そして2人を強引に巻き込む形になった謎の女はと言うと、その場に突っ立ったままで右手に杖を握って何やら口元を動かしていた。

 その口が閉じられたかと思うと、いきなり騎士団の野営地のテントがオレンジ色の大きな炎に包まれた!!

「うおっ!?」

 木々の間で戦っていたリュディガーは、自分の視界の左側に見えたその炎に驚いて一瞬動きを止めてしまう。

 その間に王宮騎士団員が彼の隙を狙って攻撃して来るかと思いきや、リュディガーと同じ様に驚いて動きを止めてしまったので状況はイーブン。


 そんな硬直状態から立ち直ったのはリュディガーが早く、先手必勝とばかりに騎士団員の腹目掛けてグッサリとソードレイピアを突き刺した。

「ぐほっ!?」

 前屈みになった騎士団員の身体を前に蹴り飛ばした勢いでソードレイピアを引き抜き、残る騎士団員達も的確に片づけて行く。

 バルドもバルドで、自分の武器を活かして相手のロングソードや槍をパワー任せに叩き折りつつ、その武器ごと斬り伏せる荒っぽいやり方で1人、また1人と相手を倒して行く。


 だが、ここでリュディガーにトラブルが発生。

「ぐふっ!?」

 自分と同じ様に死角からの攻撃を繰り出した、最初に自分達を追い払った騎士団員のロングソードによって背中を斬り付けられたのだ。

 防具を着込んでいるので致命傷までには至らないものの、これによって大きく隙が出来てしまう。

「死ねえっ!!」

(くっ……ダメか!)


 旅も始まったばかりなのにこんな場所で終わるのか、と思った矢先、自分とその騎士団員の死角から何かが風を切って飛んで来た。

「ごあっ!?」

(え?)

 その物体は騎士団員の頭にクリーンヒットし、ドサリと昏倒して気を失ってしまった。

 とにかくこれでリュディガーは助かったのだが、一体誰が何を投げつけたのだろうとその物体の元に駆け寄ってみる。

 そして彼が見た物は、「普通はそんな使い方をしないだろう」としか思わない……。

(……杖?)

 魔術師が手に持っている様な、自分の胸位までありそうな長い杖。

 それを投げた人物が、リュディガーの視界に入り込んでホッと安堵の息を吐いた。

「ふう、間一髪って所ね」

 どうやら、リュディガーが昏倒している騎士団員に殺されそうになった所で、さっきのタックルして来たこの女が咄嗟に自分の杖を投げつけたら当たったらしい、と理解出来た。

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