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A・WA・I ──自然の歌をうたうもの 毒の歌をうたうもの──  作者: カノウラン
0:あきれた二人組
9/19

魔物情報

しばらくすると、ローブの男はおもいだしたように、背嚢をどさりと地面に下ろす。


「とりあえず、今のうちに、肉の補充をしとこう。アスランはこっちからこっちを見張れ。おい、鳥女、おまえはそっちから向こうだ」


『夜のとまり木』がある後方を指さしながら、地面に腰を下ろした男が命令する。


「ミハレ?」

「あー。魔物がいたら、おしえて欲しい」

「ワカッタ」


ハーピィは大剣の男に向かってうなずいた。


「あっちの木ハ、メガスズメバチの巣。百匹くらい、まわりを飛んでイル。そのまわりハ、おばけうさぎのなわばり。見えるダケで、二十匹くらいイル。西の草むらニハ、グンタイイヌが十匹くらい。街道に出てくるとシタラ、グンタイイヌと、ブラックワームと、それを食べるヤタツバメだけ。ブラックワームは、鳥がキライ。ダカラ、今は出ナイ。ヤタツバメも、ブラックワームがいないカラ飛んでこない。デモ、夜ハ、ブラックワームがイッパイ出る」


このあたりにいる魔物のことはぜんぶおしえたつもりだったが、人間からこれといって反応はない。

ことばが通じなかったのだろうかと視線を落とす。

すると、あっけにとられた顔がふたつともハーピィを見上げていた。


「ブラックナントカが出ないって、もしかして、鳥女のおまえがここにいるおかげ?」

「ハリル、ハーピィって呼べよ。……で、もしかして、この先にいる魔物のこともわかる?」

「川よりこっち側ナラ」

「川? ハリル、地図くれ」


手渡された地図をばさりと広げると、大剣の男は指で南から街道をたどっていく。


「ここが『夜のとまり木』だろ。で、ここが次の町。川は、川はと…………これか? ここから五〇キロくらい行ったところだな」

「は? マジ? 五〇キロ? 鳥すげー!」


スゲー、とはどういう意味だろう。

わからないが、ローブの男の視線には、ハーピィの胸をほっこりとさせる感情がこもっていた。


「さて、と。問題は──」


地図をたたみながらつぶやいた大剣の男が、ローブの男の肩に腕を回す。

その身長差は、二十センチほど。

いくどか、囁きに対してローブの男がうなずく。

耳打ちを受けた彼は、ハーピィを振り仰ぎ、びっし、と指をさした。


「おい、鳥女……じゃなかった、ハーピィ。おまえの要求を言え。言っとくけど、おれたちの血肉、とかはなしな。ついでに、はっきり言っておれたちは、おまえが欲しがるようなものも、全然持ってない。金も食料も、おれたちが欲しいくらいだ!」


いまいちわからないが、木の実でも取って来い、と催促されているのだろうか。

ハーピィは、首をかしげた。



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