第四話 ぶは?
春の夕。 それは優しく降り注ぐ小雨にさえ、夕日の矢が美しく射抜かれ……って重いわ!
冒頭からなんや俺重いわ。 かるせいや俺ほんまに。
そやそや、はよ行かなあかん。 今日は新入生が剣道部に見学に来るんやったわ。
ピチピチの若い少年がやなって俺ピチピチやし男いらんわ! ほんまに俺。 ほんまに俺。
おっし、到着や。 なんやかんや部活の道場までは近いんよな。
よしよし、バレんように隠れとこ。 こういうのは前に出たらあかんねんな。
新入生ひーふーみーっと、なんや十人位来てるやん。 うわ、もう先生も来てるわ。
「全員集まれー! 今日は剣道部新入生歓迎会やー。 仲良く楽しく交流してくれー。 おっちゃんも……」
「どこのおっちゃん入ってきとんねんおい! 先生やろあんた」
うわ、余計な事言うてもたわー。 めっちゃ先生見てるやん。
「えー先生は社会を受け持っています」
「お前かい! ついお前言うてもたわ。 すいません」
俺浮いてるやん……。 ビンビンに新入生の目が痛いやんまずいわー。
「えー先生は小学生から習っておりましてー、中学高校とは全国まで行きましたー。 えー大学ではー世界にまで行きましたー。 ピンポンで」
「ピンポンかい! 剣道全然関係ないやん、それにピンポンて。 卓球でええやんほんまに」
「えーインターネットで」
「ネットかい! ネトゲやないかその卓球」
あかん、この社会の先生苦手やわー。 こういうボケなのか天然なのか見分けつかん先生とは俺はウマが合わんわー。 先生のちょび髭も腹立つしなー。 もう帰ろうかなー。
ん? 入り口に誰か来てるやん、違う先生やな……。 数学の先生やったか?
「……織田さん。 社会の織田先生。 ここ卓球部じゃなくて、織田先生の卓球部は三階の端の部屋ですよ。 先生ー! 織田信長先生ー!」
「第六天魔王やん!」