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 迷宮ダンジョン[ダイスボード]、そのダンジョンがいつから存在し、誰が何の為に造ったのかは、今日(こんにち)に於いても明かされてはいない。


 ただ昔からその場所にあり、財宝の眠る宝の山とだけは、冒険者にとって周知の事実であった。


 故に星の数程いるとされる冒険者達とは、まだ見ぬ財宝を追い求め、また一人、また一人ダンジョンへと入っていく。そんな冒険者の中には、その少女もまた含まれていた。


 その少女の名を[ヒポクリフト]、駆け出しの冒険者にして、魔法使い。(とし)は17歳、年齢の割には幼い顔つきの、長い黒髪の少女である。背は低く、また身体つきは冒険者として相応しくない。


 そんな彼女もまた、並み居る冒険者達同様にはダイスボードへと足を踏み入れ、そして命を落としかけた、ということであった。


「今すぐ引き返せ。道の魔物は全て消しておいた。無事に下へ降りれる筈だ」


 獣顔はヒポクリフトにそれだけを告げると、一人ダンジョンの奥へと進んでいく。そんな獣顔の背に、ヒポクリフトは言葉を投げかけた。


「あ、あなたはッ!?」


 開口一番、ヒポクリフトの口からそんな言葉が飛び出していた。ヒポクリフトは未だ、白昼夢を見ているのではないかと、獣の顔をしたかの者を見ては、そう思えて仕方なかったのである。


 獣顔はヒポクリフトの言葉に足を止め、振り返る。何を考えているのか、よく分からない顔だ。それもそのはず、獣顔の表情を読取ることなんて、人間であるヒポクリフトには分かるはずもない。


「貴様に答える義理はない」


 獣顔は一言、それだけを告げその場を後にしようとした、


 その時だった。


 バタバタと、ダンジョンの奥から何者かの足音が近付いてきていた。少なくとも一体や二体じゃない、かなり数と予想される。


 獣顔は舌打ちを鳴らすと、ヒポクリフトの元へ戻ってきては、手を差し伸べた。


「冒険者、一先ず退散だ」


「え?」


「分からぬか、魔物が血の匂いに誘われて押し寄せてきている。俺一人だったら別に問題はないが、貴様がいては話にならん」


 冷たい口調で獣顔は言った。また事の状況の危うさを孕んでいるような、そんな口振りで。


 ヒポクリフトはとにかく今は獣顔に従おうと、獣顔の手をとる。グローブ越しではあったが、手は人の形をしているようだとヒポクリフトは感じる。


「よし、いくぞ…しっかり捕まっておけ」


「…えっ!?」


 獣顔はヒポクリフトの了解を無視に、乱暴にはヒポクリフトの体を背に担いだ。2メートル程はあるだろう獣顔の背に、ヒポクリフトの小さな体がすっぽりとおさまる。


 そのまま獣顔は走り出して、激しい勢いではその場から遠ざかっていく。


 行き先は分からないが、出口の方角とは違う。


 一体どこへ向かっていくのだろうか?


 獣顔の背で一人、ヒポクリフトは不安そうには眉を顰めていた。


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