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プロローグ


 冒険者である少女は、刀身の折れた剣を握りしめる。足元に転がる屍の数々とは、少女の仲間だった者達である。


 そして、少女を取り囲む形で、ぐるぐる旋回しているそれらは、魔物と呼ばれる冒険者達の敵であった。


 迷宮ダンジョン[ダイスボード]ーーー地下深くの、その全容すら分かっていないダイスボードに入った冒険者達は、入って早々にも全滅の危機に瀕していた、ということである。


 最後の生き残りである少女は、ただただ恐怖に怯え、震え上がる。そして、飛びかかってきた一体の魔物を視界先に、死を覚悟した、


 その時だった。


「ギャャャッ!!?」


 魔物の悲鳴が、空間に木霊した。


『どうして魔物の悲鳴が?』


 少女はそう思った次の瞬間にも、#かの者__・__#の姿を視界に捉える。


 かの者ーーー漆黒のローブを見に纏い、身の丈以上もある大剣を突き出しては、魔物を一突きには串刺しにする。


 そして驚くべきは、その素顔である。


 かの者の素顔とは、人間や亜族の者とは似ても似つかぬ、獰猛な獣を顔をしているではないか。


 少女の理解は追い付かない。ただそんな少女の戸惑いを置き去りに、かの者は次々と魔物を駆逐していく。まるでダンスを踊っているようには軽やかに、また鬼神の如し闘いぶりでは魔物を肉塊へと変えていく。


 それはものの数秒の出来事。少女達冒険者が手も足も出なかった魔物達とは、突如として現れた獣顔によって、一瞬には駆逐されていた。


『これは夢か?』


 地面に横たわる冒険者達の屍と魔物達の屍を跨いで、近づいてくる獣顔のかの者を見て、少女はそう思う。そして、


 とある伝承が、少女の脳裏に過ぎり走った。


『地下ダンジョンには、冒険者にも魔物にも似つかない”ウルフマン(魔獣の男)”と呼ばれる者が存在する。』


 それはかつて、少女が迷宮ダンジョンに入る事を決めた際に、冒険者ギルドの人に聞いた、とある噂話、もとい伝承に過ぎない…筈だった。


 かの者を見るまでは。


「無事か、冒険者よ?」


 獣顔のーーーウルフマン(魔獣の男)を目の前にして、少女はこれが夢ではないと自覚する。


 

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