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不幸な王子

「ぼくは王子なんだよ、だからえらいんだ」

「は、はい。今日も天気がいいですね、王子。外に出てみてはいかがですか?」

「いやだ。今日は城内でバカラをする」

「そうですか、私は失礼します」

そう言って執事はぼくの前から姿を消した。

「ふぅ」

執事のやつは気だるいったらありゃしない。

ディーラーとポーカーでもしようかな。

鼻を一度ならしてみる。

高級感漂う花の香りでぼくの鼻腔は心地よくなった。

いつでもぼくに望んだものを執事が運んでくる。

いつも辺りには、僕のお気に入りの焼き菓子が置いてある。

いつでも僕の室内はプラネタリウムになる。

それとコーヒーでぼくはいつも一服する。

その時に、ぜったいに壁にかけられた鏡をみてポーズする。

「ぼくってかっこいいな」

ナルシシズムかもしれない。

でもそれがぼくにとっては最高の最高で、

口内に含まれる、僕のコーヒーと焼き菓子が

不思議と踊っていた。

「うん、すばらしい。外に出るなんて間違ってる」

窓辺に立たなくとも花々が僕をいつも囲んでいるじゃないか。

室内にいるのに、外が見えるようにぼくは室内を改造したんだ。

ぼくって天才だろ? ふふ……知ってるよ。

だからでる必要なんてない。当たり前だよね。

「王子、ご飯ですよ」

もう、そんな時間か。

「置いといて」

執事には、いつも扉の前に置くように頼んでいる。

あいつとはできれば、顔を合わせたくない。

「はい、今日は美味しいので作りました」

「美味しいのだって」やったー!

ぼくは心の中で小躍りをしながらも

執事がでるのを待って、出たが

御飯を食べようと外を出た所で

僕の視界は暗くなった。

ずっとずっと暗いまま。

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