ノー!ノー!!
彼女はがっくりと肩を落としながら店内に戻って来た。
この二人になんと説明すればいいのか。
まさか時代を超えて来たなどと言っても信じてはくれないだろう…。
途方に暮れながら店内のイスに腰掛ける。
深い溜息をつくと香奈が心配そうに彼女の前に座り込んで顔を覗き込む。
「おねーサン。なんだか顔色わるいけど大丈夫?」
そう香奈がいうと沙織も
「そうね。このままでもあれだからお家まで送るわよ。なんだか心配だし。日を改めて病気にも行った方がいいし。香奈、お店閉めて、出かけるわよ」
そう優しい口調で言った。
「りょーかい!」
香奈は元気よく返事をするとお店の看板をOpenからcloseにするため表に出た。
それと同じ位のタイミングでカミナリのような音が聞こえた。
聞いた事もない音に彼女は首をすくめた。
すると沙織が微笑みながら
「大丈夫。友達が来ただけ」
と言った。
「わーぉ!ジュディ!どうしたのこんな時間に」
表で香奈が感嘆の声を挙げる。
「都内をブラブラツーリングしてたらお店の電気がまだついていたので寄ってみまシタ!」
「いらっしゃいジュディ。お茶でも飲んで行って。と言いたい所だけどこれから出ないといけないの」
沙織はそう言ってジュディを店内へ一応促す。
ジュディは店内に入ると開口一番
「Oh!タイプ100サブマシンガン!!一〇〇式機関短銃ぢゃないデスカ!!」
そう驚きの声をあげる。
ジュディはそれを手に取るとシゲシゲと見つめ、スライドをガチャリとするといぶかしげな表情を浮かべた。
「マイガッ…。これ本物ネ。なんでココにあるの。日本では実銃の所持は禁止されているはず…それにあなたはダレですカー?」
ジュディは鋭い目つきで彼女を見ると指を刺した。
一瞬たじろぐ彼女。ジュディは鋭い視線を送ったままだ。
そんな緊迫した雰囲気を知ってか知らずか?
「そーいえば、おねーサン名前なぁに」
と、香奈がアッケラカンに問いかける。
「そうね。御名前伺ってなかったわ」
沙織もそう呑気に質問を彼女に被せる。
「Waht's!?実銃を持った得体の知れない人間をあなた達は店に入れたデスかー!?」
ジュディは驚きとも呆れともいえない口調で叫んだ。
「だってそんなスチームパンクな鉄砲持ってフラフラしてたらほっとけないよ~」
「ノー!犯罪者かもしれないのに!?日本人の危機感の無さには呆れマース」
ジュディは再び似たような声をあげる。
「倒れたんだよ!」
香奈がジュディに喰いつく。
「それならアンビュランスでーす!」
「でも彼女が大丈夫って言ったし現にほら大丈夫そうだもの」
沙織がジュディをなだめるように語りかける。
「ノーノー!」
それでもジュディは納得できないのか激しく首を振る。
「待って下さい!!」
三人のやり取りを黙って見ていた彼女は突然叫んだ。
キョトンとした三人の目が彼女に向けられる。
彼女はギュッと拳を握ると静かに話し始めた。