フッティング
難航されると思ったイベントの準備は思った以上にスムーズにいった。
「見学者との交流」という名目で原子力潜水艦の中でパーティーをするという。そしてパーティーに必要な物は全て米軍の基地内で揃うので、沙織達は招待するお客の相手に集中する事できた。
さすがエンターテイメントの本場だ。
東京から離れた横須賀でイベントは行われるのだが、客からの反応は上々でそれなりの数になっていた。
「はぁ~、早くイベントの日こないかな~」
香奈が作業の手を止め店の天井を仰ぎながらそう呟いた。
「香奈さん随分楽しみにしてるのね」
釣られるようにトメもそう答える。
二人を見ながらレジカウンターから沙織がその様子を伺う。
「あ~、当日何着て行こうかな~」
再び香奈は天井を見ながら呟く。
「留守番は任せてくださいね」
トメがそう答えると香奈はビックリしたように
「何言ってるの!トメさんも一緒だよ!!」
そう叫ぶ。
「え!私そういうの解らないから遠慮させてもらうわ」
トメが珍しく焦る感じでそう言ったが沙織が
「そんな事言わないで、是非来て欲しいの、もうトメさん用に衣装も作ってあるのよ」
優しく諭す様に言う。
「私の為に!?」
「そうだ!今からフッティングしよう!」
そう香奈が叫ぶとハンガーラックから数着の服を取り出した。
トメはなすがままに衣装を香奈と沙織の手によって着せられた。
トメに衣装を着せ終わった二人は一歩離れた所から彼女を見ると、
「お~、やっぱり軍人さんだからアーミールックが似合うね~」
香奈が声を上げる
「私の思った通りね。トメさんスタイルいいもん」
沙織も満足気な声を上げる。
「そ、そうかしら…」
トメも満更でもない表情を浮かべるが形容し難い衣装に困惑の度合いは隠せなかった。
軍服をベースにしているとは思うのだが、それがナチスドイツのようなイタリアのような中世のようなで、なんとも言いようがなかった。
しかも制帽は女性用ではなく男性用だ。
「よその国の軍服は落ち着かないわね」
トメはそう言いながら鏡で自分の
珍しそうに見た。
しかしその表情は不満ではないのは確かだ。




