どうかしら?
駆け出しのブランドは自分達の事を知ってもらう為にイベントを行う。
とは言っても個人経営でできるイベントはたかが知れている。
大体がクラブを貸し切ったり小さいイベントホールで即売会をやったりするのが関の山だ。
一流ブランドみたいなモデルを呼んだりしての弩派手なイベントは経済的にも無理だ。
「ねぇ、みんなチョットいい」
沙織は香奈とトメに話しかける。ニコテスの面子は申し合わせた様に店内にあるいつものテーブルに
集まった。
「こういうのしようと思うんだけど…」
といいながら一枚のポスターの様なものを広げた。
「これは…イベントの告知だね」
香奈が珍しく息を飲む。
「そう、ウチが主催になってイベントをしようと思うの」
「え?オネーちゃんお金とかって大丈夫なの?」
香奈が心配そうに沙織を見る。
「ん?それは…ね」
沙織がトメを見ながら言葉を濁す。
「はぁ~、何だか憧れちゃうな~イベントなんて」
「憧れだけで終わらせないわよ、もう場所も抑えてるし」
沙織が自信ありげにそう言って企画の内容を露わにすると
「え!?このポスターガチ!?」
と、香奈が叫ぶ。
「そしてこのイベントに参加できる条件はヒトツ!」
「ヒトツ?」
香奈が首を傾げながら沙織に問い直す。
「ニコテスの服を着てる人限定!!」
「わぉ!!随分大きくでたね!!」
「たまには思い切った事をしないと!」
「はぁ~。私達がデザインした服を着た人達が一夜限りとは言え集うなんて…素敵すぎる」
ウットリとした眼差しで天井を仰ぐ香奈。
「でしょ」
「でも、沙織さん。そんな博打みたいな事して大丈夫なの。お金は大事にしなきゃ」
すると香奈がシレっとした口調で
「トメさん。ウチの売り上げを舐めてもらっちゃ困りますぜ」
そう言うと香奈は伝票の束をドサっとトメの目の前に置いた。
「ニコテスの売り上げの殆どは通信販売なんだよ。ここのところ売り上げが伸びて来てるからソロソロお客さん達が出会いの場所を求めるハズ」
「なるほど、交流会みたいものね。それが次の売り上げに繋がりと…」
「さっすがートメさん!鋭い」
「いえ、香奈さんお店の事キチンと考えてるんですね」
「あー、ヒドーイ。トメさん私の事そんな風に見てたんだー」
ほっぺたをぷぅっと膨らませて香奈はソッポを向いてしまった.
「ウフフ。売り上げが上がったのはトメさんが縫製をやってるおかげよ。その分私と香奈は販売に力が入れる事ができたの」
沙織がオットリとした口調でそう言うと香奈は、顔はソッポを向けたままだが微笑を口元に浮かべながらチラリと目をこちらに向けていた。




