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トキオトメ  作者: リノキ ユキガヒ
陸軍中野学校ここにあり
22/40

任務遂行

 オープンカフェで田中と沙織が別れたのを見届けると田中の後をトメは慎重に付けた。

 彼は幾つか電車を乗り継ぐと繁華街のような所に落ち着いた。

「やっぱりな」

 トメは田中の行動が思った通りで、思わず心の中でほくそ笑んでしまった。

 田中と慎重に距離を保ちつつ「歌舞伎町」のゲートを潜った。

 夕方にも関わらず歌舞伎町は淫靡な雰囲気を醸し出しており様々な誘惑を放っていた。

 田中がどのようにして自分の欲求を発散しようか目移りしている様がトメには手に取るように解った。

「ふん。隙だらけのダラシの無い男だな」

 そう呟くと田中を罠に掛ける案を頭の中でトメは思い描いた。

 正直、田中の容姿は昭和生まれのトメからしてもハッキリいって冴えない。

 しかし容姿以上に田中から垂れ流されているダラシの無い雰囲気は、例え二枚目でも女性は見向きもしないだろう。


 そんな男だ。誘えばイチコロだろう。


 トメはそう踏んだ。問題は場所とタイミングだ。いかに自然と巡り会い、そういった雰囲気にもって行くかだ。

 すると田中は一軒のラーメン屋に入って行った。

「ハラが減っては何とやらか?」

 トメは皮肉混じりに呟くと田中が食事を終えるのを表で待つ事にした。

 その間に手持ちのタブレットで歌舞伎町周辺の地理を頭に叩き込んだ。

「成る程。これだけ近い所に『円宿(ラブホテル)』が一杯あるなら…」

 トメはタブレットをカバンに放ると再び田中の動向を見続けた。

 ほど無くすると食欲を満たした田中が出て来た。

 トメは意を決すると田中の背後に回り込み声を上げた

「キャッ」

 そして田中の背中にワザとらしくもたれ掛かる。

「おぉっ!?」

 いきなり背後から白百合のように細い腕が現れ、背中に柔らかい感触を感じた田中は思わず声を上げた。

 トメはバランスを失うように田中に抱きついた。

「ちょっと、お姉さんどうしたの?」

 田中は驚きの中にもトメの身体の感触に喜びを混ぜたようにニタニタした表情でクビだけをこちらに向けてトメに話し掛けた。

「ゴメンなさい。急にヒールのカカトが折れちゃって…」

 青山の時とは違う女性を演じるトメ。

「そうかい」

 トメは田中から一旦離れると「痛ッ」と声を挙げその場に片膝を着いた。

 すると田中からはトメの全身が俯瞰でみえる。

 肩を露わにし覗き込めば胸の所が見えそうな位大きく開いてる服、そして際どい位短かいスカートからスラリと伸びる足。

 田中の欲求を刺激せんばかりの格好だ。

 トメはその欲望にまみれた視線を感じ取ると

「足をくじいちゃったみたい…」

 と猫なで声で田中に囁いた。

「どっかで休んで行くかい?」

 と言いながら田中は手を差し伸べる。

 その手を受けとるとトメは

「この辺で休める所は…」

 と言いながら歌舞伎町のラブホテル街を見ながら呟いた。

 田中はゴクリと生唾を飲み込むと鼻息荒く

「あ、あそこでいいのかい?」

 とトメに聞き直した。

 彼女は恥ずかしそうに伏せ目がちにニコリと微笑む。


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