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トキオトメ  作者: リノキ ユキガヒ
今日は帝劇。明日は…
15/40

母校

「ご馳走さま」

 トメはそう言うと名残りおしそうにスプーンをテーブルに置いた。

 そして軽く溜息をはいた。それはチョコレートパフェに満足したのとは少し違う感じだ。

 その雰囲気にジュディは気付くとトメを見つめた。

 先ほどの少女のようなトメではなく日本女性が持つ独特な「凛」とした感じを彼女は出していた。

 背筋を正すとトメはジュディを真っ直ぐ見つめ

「ジュディさん。厚かましいけど連れて行って欲しい所があるんだけど」

 と、静かに言った。

「大丈夫。じゃぁ早速行きまショウ」

 ジュディはそう言うと立ち上がった。

「え?私まだ行き先言ってないけど」

 トメが不思議そうな顔をすると

「ノープログレム」

 と静かに言い放つだけだった。

 二人は再びバイクに跨ると目的の場所へと向った。

 ビルの谷間。摩天楼に夕陽が傾くのが見えた。

 ジュディは30分程バイクを走らせただろうか?現代の東京に比べると少しだけだがトメいた昭和20年代位の面影を持つ街並みが現れた。

 とは言っても建ち並ぶ家屋はどれもモダンに見えた。

 道路の方も都心に比べると狭い。

 すると途中で「中野区」と書かれた看板が目に入った。

 いよいよだな。トメは心の中で決心を付ける。

 ジュディは何も言わず淡々とバイクを運転していた。

 そして二人はある石塚の前に降り立った。

 その石碑には


「陸軍中野学校碑」


 と刻まれている。

 トメはそれを神妙な面持ちで見ると拳を握りしめた。

「ジュディさん。帝国陸軍はどうなったのですか?」

 トメは石碑をじっと見ながらジュディに答えを求めた。

 ジュディはそっとトメに近づくと静かに話し始めた。

「1945年・昭和20年に終戦と同時に解体されまシタ。勿論、

 陸軍中野学校もその時に解体されてるはずデス。現在は『自衛隊』という組織が軍隊のような役割を果たしてマス」

「なるほど…」

 トメは改めて自分が現世の人間では無いことを再確認した。

 夕陽が石碑を朱色に染め上げていく。

 平成の世でも昭和の世でも夕陽は変わらず台地を鮮やかに染め上げ時を刻んでいく。

 なんとも言えない気持ちのまま二人とも石碑の前に暫く佇んでいた。






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