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死人とクチナシ〜死を悼む日と11の詩篇〜

スーツにガソリン

 あたしの心きざむ、エッジがキいてる横顔。

 鼻先のキスが唇傷つけ、赤く流れるものは。

 君の為だけのガソリン。火遊びして居たら骨も残らない。

「柑橘めいた香りを吸った、黒と白であたしを包んで」

 君の細身な角度が、この寝室にたちこめる。


 うたた寝してる君の、あどけなさまるで別人。

 隙だらけの襟を指で正して、不意に香れるものは。

 君の身に纏うガソリン。身体に毒だと知りつつ吸い込め。

「汗と煙草の煙を吸った、黒と白であたしを包んで」

 君の鋭利な角度が、見知らぬ私室にたちこめる。


 洗いざらしのシャツと、無造作極めた前髪。

 中身がなくとも今は構わない。目がしみる原因は。

 君から気化したガソリン。火花で燃やして跡形無くして。

「ひどく甘えた香りを吸った、黒と白であたしを包んで」

 黒い上下のスーツは、車の中でもたちこめる。

 

 白い花を抱えて、黒い傘がゆく葬列。

 見送るあたしは何もわからない。君の遺したものは。

 形の見えないガソリン。いずれは消えて無くなると知りつつ。

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