第三話
展開に困ってきたので新キャラを出そうという回です(←安易過ぎ)
ちゃんと動いてくれたら良いな♪
「あぁ、もちろん。ぜひ試してもらいたいと思うが、ちょっと待っててもらえるかい?
あれ? おかしいな、ちょっと、柊君?! ひーらぎく~ん! 」
なかなか準備が終わらないなと思ってたら、何かアクシデントがあったようで誰かを呼び始めた。
本当に大丈夫か?このおっさんと機械。
ほどなくして、廊下からバタバタと足音がした後にドアがガチャリと開き、女連れのチャラそうな若い男が
入ってきた。
「はーい。なんスか? 先生? 」
「『なんスか? 』ではないよ。柊君。また機械で遊んでたな?
もうこの際、遊ぶのは構わないが、数値とかは元に戻しておいてくれんかね。
危うく機械をそのまま使って、記者さんを廃人にしてしまうところだったじゃないか」
「そんな、俺のせいだと決め付けないでくださいよ」
「ん? 違うのかね? てっきりまた君と優奈君が遊んでそのままだったかと・・・」
「そういえば、昨日遊んでそのままだったような気が・・・ あぁ、多分俺っスね。すみませんでした。
その人が記者さんっスか? 」
「うむ。科学雑誌『ネーチャン』の記者で、黒崎亜美サンという方だ。君は確かあの雑誌読んでいただろ? 」
「あぁ、あの雑誌っスか。毎号読んでますよ。
科学とグラビアの融合という無茶なお題目の割には、科学記事が硬派で面白いですよね」
「ありがとうございます」
賞賛の声をもらい、ニッコリ笑って御礼をしたが、内心では、ウチのような5流とも言えない様な
科学雑誌を、本物の科学者に読んでもらっている事に驚愕していた。
だって、本の名前からして、世界的学術誌の『ネイチャー』のパクリだぞ?
記事の内容とまったく無関係にビキニのお姉ちゃんがムネを強調したポーズをとっているような紙面で
部数を稼いでいる雑誌だぞ?
ちなみに両親にもどんな仕事をしているかは、まだ言えてない。
そんなわが社の仕事を毎号読んでいるとは、本当だろうか?
「参考にお伺いしたいのですが、今までの記事で一番のお気に入りってありますか? 」
「やっぱり、創刊特大号でやった『季節の風の恵み パンチラ大実験』ですね」
笑顔で淀み無く答えやがった。
コイツ、本当に読んでるな。
これは、つらい企画だった。どの季節のどういう地形でスカートが風でめくれ易くなるかという事を
延べ人数500人のグラビアアイドルを動員し、数ヶ月に及ぶ実験の末にまとめたデータとパンチラ写真を紙面に
載せたという創刊号にふさわしく、かなり力の入った企画だった。
風が吹きすさぶ屋外で、同性のスカートがめくれるのをカメラ片手にひたすら待つという作業
はもう二度とやりたくない。何度不審者として通報され、警察のご厄介になった事か…
ともあれ、そんな苦労した企画を評価してもらえたのは素直に嬉しい。
思わず笑顔とともに読者への感謝の言葉が出てくる。
「どうもありがとうございます。あの企画は他の読者様からも好評を頂いてるんですよ。宜しければ
これからもご愛読お願いしますね」
「ハ、ハイ。これからも楽しく読ませてもらうっス。ところで、お姉さんの写真も紙面に出てたりするんスか? 」
「はい。ちょっとだけですが出ていますよ。『ラプラスの継続の法則』の実証実験の記事の所で」
「あぁ、確か3年前の冬頃の記事でしたよね。その実験。後でまた読ませてもらいますね って、痛ぇーよ!!! 」
男は和やかに話していたが、急な痛みに顔をゆがめると、一緒に来た隣の女の子に怒鳴った。
見ると、その女の子は不機嫌そうな顔で男の二の腕をつねっている。
小ネタ大好きなんですよ。